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いつもお世話になっているエス・デザインスタジオの佐野勝久さんと、今回は木を使った店舗の仕事です。店舗全体に木を使うという訳ではなく、カウンターテーブルといったメインのパートに効果的に木を使ってただきます。材木屋が住宅を建てる業態の場合、木を使いすぎてそれぞれの木が相殺してしまうケースがあります。良かれと思って提案するのでしょうが、床も壁も天井も木ばっかりなるとよほどセンスがないと、印象がかなり重たくなってしまうと思います。木そのものにはかなり『力』があるので、やはりポイントを絞って効果的に使うべきなのでしょうが、どうしても材木屋の『性(さが)』が出てしまいます・・・やや強めに提案する材木屋と、抑制の効いた設計士さんの組み合わせが理想では。
今回は、【秋田杉】の大きな耳付の1枚板を使っていただくことになりました。これから加工させていただくので、詳細は仕上がった頃にまた改めてアップさせていただきます。佐野さん立会いのもと、木取りさせていただきました。ちょうど同じ時期に伐った丸太を製材したものなので、色目や節の雰囲気はよく似ています。弊社にやって来てからも5年程経過していて、乾きすぎるくらい乾いています!表面に割れ止めが塗ってあったので、部分的に剥がして仕上がりの色調をイメージしていただきます。画像で一部白っぽく見えるのが、割れ止めを剥がしたところです。
かなり白っぽく見えるかもしれませんが、植物性油を塗ると浸透して濡れ色になり、赤身もクッキリします。軽く見積もっても150年は経過している目込みの材で、杉とはいえ適度な硬さがあります。この状態で、長さ4mで、幅は600㎜ぐらいあります。収まりの都合で、それぞれ片方はストレートに落として使います。もともと8枚セットの板だったのですが、それぞれ別の所に旅立っていきました。松山市内でも数箇所のお店のカウンターとして、立派に役目を果たしています。またこうして、新たな店でお役に立てることになりましたが、長らく在庫として持っていた木がなくなるのは、一抹の寂しさもあります。商売人がいちいちそういう感情を持っていては仕方がないとは思うのですが。
カットした残りも使える部分は使っていただきますが、それでも使えないような端材は【森のかけら】として再生させていただきます。ちょうど【秋田杉】の在庫が少なかったので助かります!ご覧のように大きな節もありますが、濃密な杢が現れ表情も豊かです。風雨や雪の影響を受けて、入り皮や小傷も少々ありますが、それもこれも秋田の森で150年も生きた勲章です。素材がいいので下手に手を入れずにダイナミックに使ったほうが、木が活きてきます。立派な材です、端材も大切に利用して無駄にしたくないです。カウンターやテーブルに仕上がっても、一見してこれが【秋田杉】だとは分からないとは思いますが、『ただの杉ではない』という事は分かっていただけると思います。まだ下準備の段階ですが、佐野さんがご自分のホームページで詳しく書いていただいているので、そちらも合わせてご覧下さい。それでは仕上がりをお楽しみに!
★今日のかけら・#022 【桃/モモ】 バラ科サクラ属・広葉樹・日本産(愛媛産)
今日6月19日は、生誕100年を迎えた作家・太宰治の命日『桜桃忌』です。玉川上水に入水したのが6月13日で、発見されたのが6月19日なので、19日が『桜桃忌』だと思っていたら、13日に行っている所もあるみたいです。太宰の命日『桜桃忌』で、【モモ】とはかなり強引な荒業ですが・・・そんな事は気にしません!私は学生時代は文学青年でよく本を読みましたが、昔からこういう性格なのであえて地味で暗い太宰治あたりは好んで読みました。しかし根本的に太宰は話が暗く、読んでいて爽快な気分になる話ではありません。このブログをアップするにあたって、書棚から長らく合う眠りについていた太宰の小説を引っ張り出し、パラパラと読み返してみましたが、今更ながらよく高校生の頃にこういう話を読んでいたものだと思います。退廃的な匂いのする太宰を読んでいるという自分が好きだったのかもしれません。太宰の小説の隣に『もっと太宰治が分かる本』なんてのもありました。日付を見ると大学生になって購入していたようです。
今から20数年も昔ですが、当時印象に残っていたのは『斜陽』『グッドバイ』あたりですが、今となっては内容をさっぱり思い出せません。読み返してみても思い返せないというのはどうしたものでしょう・・・。太宰の小説は決して読みやすい文章ではなく、回りくどかったり妙な使い回しがあったりして、リズムもあまり良くないように思うのですが、でもそれがかえって『特別』なものという雰囲気を醸し出していて、文学青年の裏バイブルのような存在だったのかもしれません。懐かしい記憶を掘り起こしたので、太宰エピソードをひとつ。太宰の本名は「津島修治」で、ペンネーム・太宰治の由来はというと、『堕罪』(罪人になること)とドイツ語の『da sein』(ダ・ザイン)の語呂合わせだと言われています。ちなみに意味は、哲学用語で現に存在するということのようですが、どうも出来すぎた話のようで、津軽のズーズー弁のひどかった太宰がお国訛りを出さずに発音できるから、なんていう説もあるのは有名税ということでしょうか。
前置きが随分長くなりましたが、【モモ】について。【森のかけら】に使われている【モモ】は、近所の農家の方が畑に植えられていた物を分けていただきました。それまでモモの木をマジマジと見たこともなかったのですが、よく見ると桜によく似た雰囲気がありますが、それよりも更にゴツゴツしています。大体が食用なので、それほど大きな木は入手しにくいようですが、これだと結構大きい方です。モモの木をクラフト材に使ったという話は聞いたことがないのですが、小さな物でも櫛やボタン、あるいは薪炭などに使う地域もあるようです。
材としての用途よりも、そのエピソードの方が多彩で枚挙にいとまがありません。『桃の節句』、『桃栗三年柿八年』、『桃太郎』、『桃源郷』などなど。ここでは【モモ】の語源に触れてみます。『古事記』にこういうエピソードがあります。昔、イザナギノミコトが黄泉(よみ)の国へ、亡きイザナミノミコトを訪ねた際に、桃の実を投げつけて悪霊を追い払ったというものです。このように古くから【モモ】には邪気、悪気を追い払う霊力があるとされていました。この信仰が、中国から桃の木と一緒に伝わったというのです。この桃の魔力は、その表皮の薄い毛にあるとされていて、中国ではこれを桃毛(to-mo)と呼んでいました。このto-moが転化したのでは、という説が有力とされているようです。日本の『万葉集』にも【モモ】が登場しますが、これもこの信仰が尊ばれたからだといわれているようです。
昨日、広島に仕事で行ってたのですが、今日のためにサービスエリアで、隣県の岡山の名産ですが「桃のお菓子」を探して買って帰りました。それでどうこう言うつもりはないのですが、今日は『桜桃忌』の事を書く気満々でしたので、何か縁のあるものをと考えていましたので・・・。ブログを始めて以来、なるべく関わりのあるものをみつけようと注意するようになりました。そしたら、意外なほど色々な物が繋がりあっている事が分かりました。興味を持つことは、注意深く観察することに繋がります。私達の周りは、驚くほどに『木の物』や『木の話』で溢れていることに築かされるのです。やはりこの国はまぎれもなく『木の国』なのです!
先週の事ですが、よくブログでも登場している辻総合電機さんの所に打ち合わせに行きました。相変わらずいろいろな物にトライされています。こういうスタンドもありました。白+白で分かりにくいですが、右下にはレーザーで名前やメッセージが入っています。【森のかけら】シリーズの【膳】のレーザー印字をお願い始めてからのお付き合いですが、それからもう何回通ったことでしょう。昔なら、直接木材の売り買いでない方の所にこの頻度でお伺いすることはありませんでした。住宅着工数が減り、建築以外の分野の商品開発を始めたからではありますが、初めて辻さんの所に行った時、まさかこれほど深い関わりを持つとは思ってもいませんでした。その後、【円い森】や【プレミアムシリーズ】のシリアルナンバーなど多くの商品にレーザーを使わせていただいております。正式に発売しているのは、氷山の一角とまで言えば言い過ぎですが、まだまだ多くの商品が改良中で出番待ちです。
おかげでいろいろ試させていただきました。全般的に『木』と『レーザー』の相性はいいのですが、中でもやはり癖や特徴はあるので、多くの失敗を積み重ねながらデータを蓄積してきました。こういう商品を作っているので、よく「どんな木がレーザーに合うのですか?」という質問を受けしますが、どういう環境でどういう塗装条件で使うのかも分からないとはっきりした事は言えません。いい加減な事を言うのも失礼なので、詳しく聞くと「だいたいでいいから」とか言われますが、「だいたいって?!」あまりのアバウトさに、言葉を失います。詳しく聞いたからと言って、完璧な答えなど言えないのですが、なるべくベストは尽くしたいので聞き出すように心がけています。あまり聞くとしつこいと思われるでしょうが、最後までノッてこない場合は最終的にうまくいかないものです。私もついつい使いがちな言葉ですが、見積りとかお願いする時に「大まかでいいから」、「ザックリで」、「おおよその目安で」・・・キチンとしたもの造りを目指す方には、大変失礼な言葉かも知れません。緻密な作業になればなるほど、そんなアバウトな見積りなど出来ないものです。辻さんと知り合って、レーザーという緻密な作業を見るにつけ、その事を強く意識するようになりました。
今までは、あくまでも『木』という主役を目立たせたり、より磨きをかけるための手段としてのレーザーでしたが、今計画中の商品は、レーザーがなければ成り立たないような『木』と『レーザー』の両輪で成立するものです。とはいえ、満足のいく物に仕上がるまでまだまだ越えなければならないハードルはあります。まそこは辻さんのお力を借りながら乗り越えて行こうと思います。辻さんもいろいろ独自の新商品を開発されています。これは、『マンダリンパイレーツ』の応援ボードですが、このアレンジでオリジナルの名前を入れて、イベント等でのレンタルを考えておられるようです。昼間でしたが凄く鮮やかです!
辻さんの了解を得て撮影させていただいていますが、ガラスは撮影がとても難しいです!ライトの反射や映り込みを調整するのがひと苦労!特にガラスが2枚重なっているものなどは、目で見るととても綺麗ですが、写真に撮ると文字や絵がブレタように写ってしまうので、とぼけたような印象になってしまいます。他にもいろいろ撮りましたがどれも何かボケたようになってしまいました、難しい・・・!
ピントが合ってないわけではありません。下の台座を『木』でさせていただくように交渉中です。当然、何の木でもいいという訳にはいきません。また辻さんも、そのしつこさは充分承知されています。いつもの事ながら、すぐに変えるつもりが長々と滞在してしまいました。でもこういう時の会話の中から次々と良いアイデアが浮かんできます。一番楽しく充実する時間です。もの造りは、造り始める前が一番楽しいです!コラボの道は険しく遠く、そしてたまらなく楽しいです!
先日、愛媛県美術館の『こどものとも』展の事をアップしましたが、その際にいつもは城山下の駐車場から旧ラグビー場の傍らを抜けていくのですが、ちょうど工事中だったので、少し遠回りでしたが堀端の方を廻って行きました。堀端沿いの道ではなく、石垣の上の道を歩いてみましたが、そこを通るのは初めてです。道路の両側から木々が茂り、ちょっとした『街の森』の趣きがありました。
普通なら遠回りに辟易とするのですが、その日は時間的にも余裕があったので家族でのんびり散策を楽しみました。家内とこども三人で手をつながなければ抱えきれないほど大きな【マツ】もあり、嬉しい驚きがありました。タグが貼ってありましたが、直径約1mもあります。またその表皮の荒々しいゴツゴツ感は、排気ガスにもまみれながらも街に生きる樹木の威厳のようなものを感じました。
当日は日曜日の早い時間だったので人影はまばらでしたが、中にはベンチに腰を下ろし読書をされている方もいました。その落ち着いた様子が随分、優雅で贅沢な時間に見えました。【マツ】の恵みの【松ぼっくり】に子供たちも大はしゃぎです!しかしなぜうちの子供たちは、いつもこれほど【松ぼっくり】に興奮するのかと思うのですが・・・。
【マツ】以外にもいろいろな樹種が茂り、枝を広げさながら『森のトンネル』のようでした。【森のかけら】の240種版には入れているのですが、街路樹として植えられることの多い【ハリエンジュ】や【プラタナス】など、『街の木』にももっと光りを当てていきたいと思います。街に暮らす我々が直接恩恵を受けている『街の木』を改めて見直す必要があると思います。出来れば【森の5かけら】も作りたいのですが、これが案外手に入るようで集まりにくく苦戦しております!どなたか【プラタナス】や【クロガネモチ】などの街路樹の端材を廉価で分けていただける方ないでしょうか?
★今日のかけら・#022 【榛木/ハンノキ】 カバノキ科ハンノキ属・広葉樹・日本産(北海道産)
空青く澄み渡り、田植えの季節となりました。配達に行く先々で、農家の方々が田植えに励む姿を見かけます。私は田舎の生まれですが農業経験はないので『米作り』はほとんど無知です。今更ではありますが、『米作り』の事も少しは勉強しようかと思い、早速『久万郷』の【ペットボトルで米づくりコンテスト】 にエントリーしました。ご興味のある方、是非参加してみてください。なにしろ、『米作り』のプロ・田村ファーム&フォレストの田村隆悟君がついていますから!田村君のHPは、こちら→http://www.tamura-f-and-f.com/
ところで、その田んぼと深い関わりのある木があるのをご存知でしょうか。北海道から九州まで湿原や湿地帯に育つ【ハンノキ】です。【森のかけら】では結構前からリストに掲載していましたが、恥ずかしながら立ち木ははっきり確認した事がありません。今度しっかり立ち木でも葉や枝も確認してみるつもりですが、探せるかな・・・。一口に【ハンノキ】といっても、その種類は多く、川辺の周辺によく育つ『カワラハンノキ』、一方山手の渓谷や皮辺に現れる『ヤマハンノキ』、『ケヤマハンノキ』、さらに山奥の斜面の岩盤などに僅かに流れる水を利用して育つ『ミヤマハンノキ』など。
いずれの種類にも共通しているのは『水辺』という事ですが、なにしろこの木の学名は、『Alor amne』というラテン語で『水辺に栄える』という言葉を起源としているという事ですから当然といえば当然でしょう。ですから【ハンノキ】のホームグランドは、川や沼地、湿地帯ということになります。では何故そういう場所を好むのかというと、【ハンノキ】の持つ特殊な能力に因ります。根に根瘤菌(こんりゅうきん)のコブが出来て、それが空気中の窒素を取り込み、窒素を固定して養分として利用出来るというのです。また、洪水や長雨で水浸しになったとしても、本来の根とは違うところから伸びる不定根うやひこばえを使い酸素を吸収できるので、簡単には根腐れしないというのです。この不思議な能力のお陰で、【ハンノキ】は湿地に適応したといわれています。そういう場所にありながらも、最大で高さ30メートルにも成長するものもあるようですから立派と言うほかありません!
その名前も田んぼに由来していて、『ハンノキの花多き年に不作なし』とか『ハンノキの実が多い年にはよく米が出来る』という俗言もあるほど、かつての田んぼにはつき物の木だったのでしょう。【ハンノキ】が地下水位の高いところに生えるために、水田を開墾する際の適地の目印とされたたというのです。また【ハンノキ】を利用して土地改良を行ったり、水田の周囲にこの木を植え稲の肥料にも利用したとも伝えられています。そこから、開墾の懇の字から『墾の木(ハリノキ)』になったといわれています。なるほど理屈に合っています。
またこの木の果実や樹皮は、染料としても利用されていて、かつては『日本書記』などの書物にも登場したようです。実際に【ハンノキ】の染物を見たことはありませんが、伐採後の材の色の変化は明快です。直後は鮮やかな橙色ですが、1週間もすると淡い褐色に変身します。【森のかけら】を作るために、初めて生木を立てかけておいた時には、少し見ない間に違う木になっていたので驚きました。材としては【ハンノキ】は決して用途が広いとはいえないようですが、クラフト細工などにこれからいろいろ探ってみようと思います。
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