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昨晩の酒席で深酒したにも関わらず、銘酒は翌日に残らず!翌日は頭スッキリで目覚め、そのまま帰る・・・わけはなく、愛媛木青のメンバー6人全員で、三瓶小豆原埋没林公園に向かいます。これで当地を訪れるのも三度目になります。初めてここに来たのはもう数年の前の事ですが、三瓶山の山間に位置するこの公園は、交通アクセスも決して良好とは言えず、初めて来た時は道に迷いながら辿り着いたものです。今回も道路工事にもぶつかり、再び迷い迷い辿り着きました。それでも当日の開園1号。
上の記念写真は、埋没林公園のスタッフの方に撮っていただいたものですが、お願いすると快く撮っていただけるので、いつもお世話になっています。ちなみのこの1枚は、三瓶埋没林公園のホームページの記念写真コーナーにもアップしていただいております。ちなみに私は、向かって右端から2人目。背景に見える低層の建物が展示棟で、この入り口から、円筒状に掘り下げられた構造になっています。そこには太古の昔の姿のまま、埋没した巨木がそびえ立っています。
初めて来た時に比べてやや樹皮が黒ずんで退色しているような印象を受けましたが、どうやら4000年の眠りから目覚めた巨人達が大気に晒され急速に酸化しているとの事です。わずかな人間が原始的な暮らしをしていた縄文の時代から、タイムマシンでやって来た巨人たちにとって、平成の地上は耐えられないほどの紫外線が降り注ぎ、大気の汚れた苦行の世界であったのかもしれません。その保存に対しては薬剤処理が施され、万全を期されていますが、空気の質そのものが違うのではないでしょうか。この状態で発掘され、その深さまで周辺を掘り起こして施設が建設されていますが、4000年前にこの地は地獄と化し、大量の土砂が巨人達を一気に飲み込んでいったのです。それから悠久の時間を土中で過ごし、再び人類と邂逅したのは奇跡といわざるを得ません。その姿は修行僧のように真摯で、痛々しくもあります。
地下というよりは、見上げた天井に光る照明が星のように瞬き、まるで宇宙空間を連想させるような構造です。以前にロシアかどこかで立ったまま氷漬けになったマンモスが発見され話題になりましたが、この巨人達にも一瞬の間に生き埋めになりました。身じろぎできない己の運命を呪う時間もなかったことでしょう。それから4000年経って、掘り出され綺麗に泥を落としてみると、木はまだ生きていました。直接木肌に触れる事のできる設計構造になっているのですが、鼻を近づけると泥臭い臭いに混じって、杉の香りがします。生命力の驚異と神秘を感じずにはいられません。チェーンソーも重機も無い時代、これだけの巨木群がそびえ立つ森は、神の居所であり、信仰と畏怖の対象であったでしょう。彼らが青々とした葉を茂らせていた時代、そこは精霊達の住処でもあったのではないでしょうか。
さすがの私でも、彼らに対峙して「これで【森のかけら】を作れたら」などとは考えも及びません。それは、巨人達が伐られて終わってしまったモノではなく、そこでまだ命を紡いでいるからでしょう。いくら魚料理の好きな人でも、水族館で泳ぐ魚を観て「美しい」とは思っても、「美味しそう」とは思わないのと同じ事です。威厳やら尊厳という言葉が決して軽くは感じられません。初めて訪れたメンバーの口からも感嘆の声が漏れました。この地へのツアー提案者としては、その姿こそが喜びなのです。
愛媛木青の役員会や大会の翌日には、こうして木に関する施設を訪れてきましたが、その中でもここは第一級!なにせ三度目ですから。そんな私の上を行くのが、同じ愛媛青協の岡慎治君。今回が四回目だとか。大学時代から20数年来の腐れ縁ですが、友人達と共有できるからこそ楽しみも増します。この巨人達も1本だけであれば、さぞ孤高の悲劇の主人公になっていた事でしょうが、群生だからこそ神話の舞台装置になりえたのでしょう。ゆえにここにあるのは、木ではなくまぎれもなく森の姿なのです。
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