森のかけら | 大五木材


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史実に基づき後世に語り継がれる中で手垢のついたエピソードでもあっても、人物描写を掘り下げ、キャスト・スタッフに本物のプロフェッショナルの職人が技術を結集することで、ひとを感動させる事の出来るものが生まれる見本のような作品でした。ストーリーのひねりだけで見せるのではなく、テンポのいい演出、人間くさい魅力溢れる俳優陣の芸達者ぶり、緻密に計算され安心して没頭できる裏方の技術力、それぞれの持ち味が充分に発揮されたスケールの大きな、気分爽快になる快作です!

圧倒的な数の力で高圧的に降伏を迫る三成軍の態度に、「我慢ならん、戦う!」と叫ぶのぼう様野村萬斎)の姿に共感を覚える人は多いはず。実はこの映画、1年以上前に完成していたのですが、水攻めの描写が「時節柄上映するには相応しくない」という理由で、およそ1年公開が延期されました。それが、皮肉な事に現在の混沌とする政治状況に対する、決断できるリーダー像として喝采を浴び、「嫌なものは嫌じゃ!」と言い切れる男の気概に溜飲を下げた世の男性は多かった事でしょう。

しかしそれは、武勇も智謀も持たず日頃から家臣や農民から「のぼう様」と親しまれ穏やかな男が、内に秘めたる矜持を貫いた決断であります。人生決して勝ち戦ばかりではないけれど、それでも戦わねばならない状況はあります。さて、その『のぼう様』とは、「でくのぼう」を略した呼び名なのですが、では『でくのぼう』とは何ののか?漢字では『出偶の坊』と書きますが、平安時代に作られていた「くぐつ」という操り人形の事です。人が操らねば自分では動けないことから役立たずの意味で使われたりします。

『でくの棒』と表わされることもありますが、本来の『ぼう』の意味は、親しみやすい軽い嘲(あざけ)りを表わす接尾語という事なので、『棒』は誤りで『坊』が正しいようです。ではその『でくのぼう』は何の木で作られていたのでしょうか?物の本によれば、仏像用材の樹種は、飛鳥白鳳時代は主に広葉樹の『クスノキ』が使われていましたが、平安初期になるとほとんどが針葉樹の『カヤ』に変わったようです。カヤが使われた背景については、厳密な規範に沿っていたようで、宗教的・精神的意味合いがあるようです。

 




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