森のかけら | 大五木材


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20130816 1息子が生まれた年に、敷地内に立てた鯉のぼりの竿が、経年変化でかなり危険な状態になっていたので、先日倒す事にしました。上の子供が女の子で、それから2年後の双子(二卵性の男女の双子)の誕生で初めて授かった男の子でしたので、当時は嬉しくて結構頑張って長い竿を立てました。45尺(およそ13.5m)桧の丸太です。今では運搬するだけでも大変ですが、その長い長い竿の先にたなびく鯉ののぼりを見上げる時、ささやかな幸せを感じていました。

 

20130816 2しかしその長尺ゆえに、一度立ててしまうとその後おいそれと倒したり立て直す事も出来ず、それから10数年の間、鯉のぼりを上げなくなってからも竿はそこに立ち尽くしていました。当時は張り切って深い穴を掘って、支柱となる枕木を埋めたつもりでいましたが、時間の経過と共に土が削られ流失したりして、枕木がやや斜めになりはじめ・・・最近ではかなりの角度で傾き、危険な状態になっていました。事故でも起こさないうちに倒さねばと思ってはいたのですが先日ようやく決行。

 

20130816 3根元で直径が6寸(およそ180mm)ぐらいはある丸太で、いくら古くなっているとはいえ、13、5mもある長ものですからそれなりの重さもあります。3人がかりで慎重に、ロープを掛けて倒す位置を決めて、鋸で切り込みを入れて引き倒しました。倒してみるとやはり先端部分はかなり朽ちていて脆くなっていました。木元の方こそ表面は灰褐色でも中身はまだしっかりはしていたものの、先端は強い台風でも来ればポッキリ折れてもおかしくないような状態でした。

 

20130816 4思えば11年もの間、風雪に耐えてよくぞ頑張ってくれたものです。倒す瞬間には、一生懸命に穴を掘った時の事や、雨が降るたびに大急ぎで片付けた事、大空にたなびく鯉のぼりの勇姿など、本当に走馬灯のように懐かしい思い出が蘇りました。いつも仕事が終わった夕焼け空の中に悠然とそびえていた桧はもうそこにはありません。10数年も見慣れた光景の中から、あるべきものが無くなるという事に一種の喪失感のようなものを感じます。森の中にいれば13、14mの桧といってもありきたりの存在で、特別な感情を抱くわけでもありませんが、森を離れて町にやって来た1本の桧が、こうして今その担わされた役割を終え、姿を消そうとする時、ただ「モノ」を片付けるという感覚以上の複雑な感情が湧きおこりました。我々家族に幸福な日々を与えてくれた桧ののぼり竿に感謝を込めて・・・。




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