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一般に「木のヤニ」というと、大抵の方はこの写真のようなネトネトして、手や服に着くととんでもなくやっかいものの画像のようなヤニを想像されると思います。私たち材木屋にとっても、こういったヤニは決して歓迎すべき存在ではありません。ヤニの存在がはっきりと見えていれば、自分から触ろうなんて真似は決してしませんが、なさそうでありそうなのがヤニ。日々、数100本の木を触るわけですから、何気なく持ち上げた材の裏側に運悪くヤニが・・・!なんて事は珍しくありません。
ヤニの溜まっている部分を『ヤニ壺』と呼びますが、ヤニ壺が深いと噴き出して来たヤニを取り除いても取り除いても延々とヤニが噴き出てきます。底が浅い場合は、細い棒でも差し込んで、(クマのぷーさんが蜂蜜壺の中の蜂蜜を愛おしそうに一滴たりとも残さないように舐めつくすようなつもりで)壺の中のヤニをしっかり取り尽くせば大丈夫な場合もあります。ただし、蜂蜜壺のように壺の中身が見えないので、どの程度がヤニの余韻なのか見極める経験と感覚が必要です。
ヤニはすべての樹種に平等に現れるわけではありません。中でも特にヤニの神様の寵愛を受けているのがマツ科の一族。とりわけ日々出会う機会の多い米松(ダグラスファー)はその代表格。KD材(人工乾燥材)の場合は、強制的に高温で乾かせるので、ある程度のヤニ壺の中のヤニはそっと去ってくれるのですが、逆に乾燥して壺の中身が空になったことで隙間が出来、場合によってはそこから変形や割れを引き起こす事もあります。一方未乾燥の生材ではヤニは避けて通れません。
なるべくならばヤニのある所は使わないにこしたことはないのですが、ヤニはいわば人のカサブタのようなものです。生まれて一度たりともカサブタが出来た事がない人などいないように、自然界で雨風、雪や嵐に耐えて戦ってきた木の履歴書の1つと思えば、それを受け入れる寛容さも木を使わせていただく者の心構えでしょう。まあ、べっとり掌や服にヤニが付着した時には、とてもそんな気持ちにはなれないのですが・・・。しかしそれを否定しては木を扱う資格すら失ってしまいます。
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