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この話は、本来『今日のかけら・桧篇』として書くつもりだったのですが、そのために私と桧の出会いの事について少し触れようと思っていたらついつい話が感情的になり横道に逸れてしまいました。まあそれぐらい桧は私にとっても特別な存在だったという事です。あえて過去形にしたのは、今私にとっての桧は、建築材、化粧材としてではなく、全国有数の生産量を誇る豊富なクラフト資源として見えているからです。当然建築材としても利用させてもらっているのですが、
それよりももっと高い価値のあるものに変えることが出来るのではないかというのが私の桧に対するスタンスです。よく学校などで、30年生のヒノキの木1本いくらすれでしょうか?という質問をします。こういう質問をすると木材関係者の中には、手入れの状況は?生育環境は?などと突っ込みを入れてくる方もいますが、あくまでザックリしたイメージで捉えて下さい。その問いに対して純粋な子供たちは思い思いの価格を言います。10万円、50万円、100万円!
そうです、子供たちの脳裏には、天を衝くほど通直に伸びた木の姿がイメージされ、自分の身の丈の十数倍もある「生き物」に対して、本能的な価値観としてそういう値段が口から出てくるのです。私はそれこそが木に対する本質的な揺るがざる『生命価値』だと思っています。実際にはわずか数百円から数千円の価値として取引されるわけですが、私はそれを『経済価値』と呼んでいます。本来人として感じる100万円の価値を100分の1以下の価値に貶める事が材木屋の仕事なのか?
この考え方には大いに反論もあろうと想いますが、あくまでも私の考えかた。材木屋が100軒あれば100通りの考え方があっていいというのが私の考えなので、それぞれ自分の思うべき道を進めばいいのだと思います。その道を明確にもせずに他人の考え方に異を唱えることこそ不遜。実践してこその理屈。私は私なりに、今の桧に建築材とは違う価値を見出したいと考えています。ならば立つべきステージを変えるしかない!そこで新たな桧の出口を求めようというのが結論。まだ続きます!
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