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弊社が創業してから20数年は県内の木材市場での仕入れがメインでしたが、その後私が 入社してからは、それまで非常勤でほとんどこちらの会社(大五木材)には来ていなかった社長(父親)も時々顔を出すようになって、私の仕入力の弱さをカバーするために高知県の市場に行くようになりました。まだ高速道路も未整備だった頃でしたので随分時間もかかりましたが、市場で仕入れる楽しさを学んだの高知の市場でしたし、何といってもピンク色の肌艶の高知のヒノキには惚れ惚れしたものです。
しかし高知は伝統的に割柱(芯を外して製材する柱)が中心で、芯持ち材が基本(一部東予地域では割り柱も使いますが)の愛媛では馴染まない事もあって、次第に柱の仕入れの出来る岡山の市場へ、更にそこへ出材している本家の三重の松阪の市場へと仕入が移っていったのです。現在では、柱の挽き方にこだわる大工さんの家造りが減ってしまい、全国どこでも統一化された規格製品で、規格化された家ばかりになり、柱材の流通形態も一転しました。その流れを受け弊社の粧柱の取り扱いは激減。
その後、スギやヒノキの針葉樹から国内外の広葉樹に軸足を移すようになり、そういう取扱い商材の変遷もあって最近は三重に仕入れに行く機会もほとんどなくなってしまいました。それでもときどき注文のあるスギ、ヒノキの化粧材については三重県の木をお薦めしているものの、昨今は過剰な『地域材』のくくりが強すぎて、使えないケースも多々あります。それぞれの地域には得手不得手や特性もありますので、本来は地域それぞれの特徴を活かしてうまく使い分けすればいいと思うのですが・・・
さて、そういう事もあって三重には特別な思い入れもあるのですが、映画の中でも立派な木が沢山写っていました。CGにこだわらず実物で撮影されたという事ですが、決してアニメチックな巨木でなくともリアルに木の大きさや存在感は充分に伝わってきます。映画『猿の惑星・創世記』では、ミュアウッズ国立公園にある世界で一番大きな木の一族『セコイア』(ちなみに世界一高いセコイアは樹高124m)の巨木の頂に登り、遥かサンフランシスコの街並みを見ろす姿が描かれていました。
木材業界で噂の、矢口史靖監督の青春林業映画『WOOD JOB! 神去なあなあ日常』を封切初日に観てきました!以前から予告篇を観ていて、公開をとても楽しみにしていたので、なるべく事前情報を入れないで観たのですが、これがとても面白くて感動的で素晴らしかった〜!公開初日の初回にも関わらず劇場の観客はまばらで閑散としていましたが、少しでも多くの人に観てもらって口コミで面白さがジワジワ拡がりヒットすることを祈念しています。映画のキャッチコピーは、「少年よ、大木を抱け。」
物語は、大学受験に失敗した都会育ちの普通の男子・平野勇気(染谷将太)が、ふと目にした林業体験プログラムのパンフレットに写っていた美女に連られて、山奥の林業の現場で1年間の実習をすることに。そこは携帯の電波も届かず、鹿や蛇が跋扈し、コンビニも駅もない神去(かみさり)村。林業現場の過酷さに逃げ出そうとするものの、表紙の美女(長澤まさみ)が村に住んでいることを知り村に留まる事を決意。ワイルドな兄貴分のヨキ(伊藤英明)たちに仕込まれながら村での林業暮らしが続いていく・・・
映画のロケは屈指の林業大国・三重県で撮影されたそうですが、舞台となっている神去村は実在の村ではありません。都会の人が見れば、ありそうでなさそうな虚構の田舎のように思われるかもしれませんが、林業現場の最前線はどこもこの神去村のようなものです。林業が成立する環境が、どこでもドアでひょいと行けるところにあるわけではありません。私の実家も、少し車を走らせば映画の中と同じような風景がごく普通に現れます。まあ、田舎の山間部の風景ってどこでも似たり寄ったりですが。
最近はあまり行かなくなりましたが、数年前まではよく三重の木材市場にも出かけていました。映画のエンドロールでは馴染みのある材木屋さんの名前が並んでいて羨ましかったですが。三重の木は良質で肌艶も良く私好みで、うちの倉庫にも沢山在庫していますが、個人的には杉・檜の造作材に関しては品質、供給の安定性の両面からも三重の木が日本一だと感じています。それで以前は、化粧柱に始まり、鴨居や敷居、畳み寄せ、廻縁、竿縁、枠材などの造作材を仕入れに松阪あたりに行っていました。
昨日に続いて、会社の創業のはなしです。ある統計によると、全国の124万社のうち、創業100年以上の会社がおよそ2万社もあるそうです。更にそのうちの1200社は200年以上、300年以上が400社、500以上が30社、そして大台の1000年超え企業が7社もあるというのですから恐るべし!それだけ日本という国が、世界の中でも奇跡的に超長期的平和が続いてきたという事。そしてその中で島国として固有の価値観や文化伝統を築きあげ長く継承してきたという事でしょう。
特に産業の根幹をなす職種の場合、歴史が長くなる傾向があり、木材産業もその類に漏れません。時の権力者たちが群雄割拠し活躍した地では、幕府御用達とか、OO城築城御献上などという教科書の中の世界を体現されている老舗の木材屋さんもいらして、その伝統にはただただ圧倒されるばかりです。なので木材産業界で創業40年なんていうと、本当にひよっこもいいところなのですが、1000年とて1年1年の積み重ねですので今の1年、今日の1日を大切にせねばならないと感じています。
ちなみに世界最古の企業は日本の建設会社であるというのは有名な話。それが大阪にある㈱金剛組さん。創業は飛鳥時代、西暦578年!つまり創業1400年という事!かの法隆寺の創建をはじめ神社仏閣建築の設計・施工、城郭や文化財などの復元を手掛けられています。代々金剛家の一族の皆さんが事業を継承されてこられたのですが、厳しい住宅産業不況の中での2005年に経営危機を迎えますが、地元企業からの支援を受けて新たな経営体制のもと、更なる歴史が刻み続けられています。
1400年ともなると、その間に事業継承に関わられたひとの数も膨大で、その歴史を受け継いでいくだけでも私などには計り知れないプレッシャーがあることだと思われます。そこには単なる利益追求だけではない強い企業理念や社会的使命があることでしょう。会社の規模は遥かに違えども、誰かに求められ感謝される仕事をしたいという思いは同じです。わずか40年の歴史の小さな小さな材木屋ですが、木のファンを増やすという勝手な使命感を胸に今後もかけら道を精進してまいりたいと思っています。
気が付けば大五木材も40歳になりました。弊社も入会している松山商工会議所に会員創業記念表彰というものがあって、3年以上継続している会員事業所のうち、創業(開設)から20年を迎えた事業所を対象に、10年毎に表彰が行われているのですが、弊社も創業40年を迎え表彰していただくことになり、松山市総合コミュニュティセンターで開催された平成26年度の会員大会に参加してきました。会員創業記念表象の式典では、創立20周年から130周年まで多くの企業が表彰されました。
入会しているといっても恥ずかしながらほとんど会の活動にも参加していない幽霊会員なのですが・・・創立記念表象というのは私の世代だけで作り上げたものではないので、創業以来大五木材に関わっていただいたすべての方に感謝する思いで、日頃の非礼に負い目を感じながらも出席させていただきました。松山商工会議所は明治15年に全国で19番目に設立された伝統と歴史ある会で、それこそ松山が舞台の小説『坂の上の雲』の時代の真っ只中に設立され、一昨年に創立130年を迎えました。
配布資料によると、今回もっとも古いのは創業文久3年の石崎汽船㈱さん。文久3年といえば、1863年。徳川第14代将軍家茂の時代であり、勝海舟が山内容堂と面会し、坂本龍馬の土佐藩帰藩を願い出たり、長州藩が外国船と誤って薩摩の船を撃沈した「薩摩船撃沈事件」が起きた頃・・・まさに歴史で学んだ時代の話です。その140周年を筆頭に、130周年4社、120周年3社、110周年3社、100周年でも10社もあります。そこから10年ずつ刻みで表象が行われていきます。
弊社の40周年の順番までにおよそ100数社もあり、40周年だけでも90数社ありました。ちなみに法人格された愛媛でもっとも古い企業は、天正年間(1573~1592年)創業の㈱シンツさん。回船問屋として創業され、現在は食品資料や建築資材などを取り扱われています。四国には911社の創業100年超え企業がありますが、その割合は100年超え企業全体の4.3%、出現率は1.43%で全国でも東北に次いで2番目の高さだそうです。四国には古い企業が沢山存在します。
先日、オープンして間もない久万高原町の道の駅『天空の郷(さと)さんさん』に行く機会がありました。早朝から久万への木材の配達の途中で立ち寄ったのですが、開業してまだ数日ということもあって朝の開店直後にも関わらず、駐車場はもとより店内にも沢山のお客さんの方がいらっしゃいました。久万高原町は愛媛県内有数の林産地で、弊社でも国産材の多くをこの町から仕入れています。弊社からこの道の駅までおよそ38キロほどありますが、トンネルも開通して、随分と時間も短縮されました。
この道の駅建設に関して、弊社が建物の部材を納品したとかそういう直接的な関わりはないのですが、その名の通り国道33号線沿いにあるので、早朝の配達を終わらせちょっと覗いてみました。地元の特産品や農産物の販売の他にも、地域食材を使ったレストランやパン工房、災害時の活動拠点となる防災センターなどが整備されています。木材基地を標榜するだけあって、久万で建てられる公共の大型物件に関しては木造なのですが、この道の駅も地元産材を使った大型木造施設となっています。
店内には、木材の産地らしく木のモノが溢れていました。こちらは井部健太郎君が手掛けている『ほめ×3』の杉板の黒板。新商品開発というと、何か今までになかった斬新なものを作らねばという強迫観念を持ってしまいがちですが、原点回帰すれば昔は暮らしに関わる多くのものは『木製』でしたので、それを少しだけ現在風にアレンジすれば抵抗なく受け入れてもらえる事は多いもの。弊社の『誕生木の出口商品』もなるべく既存の「使われ方」をブラッシュアップするよう心掛けています。
ただ個人的には世界の広葉樹に関心が強い天邪鬼なので、世間に国産材や県産材の風が吹けば吹くほどに、逆に向かって歩こうとするのは悲しき性・・・。そういう材木屋が1軒ぐらいあったって構わないでしょう。皆と同じことをしていては小さな会社は生き残ってはいけません。多様な樹種を孕んだ森が健全であるように、多様な企業があったほうが世の中もオモシロイもの。今は清々しい表情を浮かべるこのスギやヒノキたちも、数年後にはまったく別の表情を見せてくれている事でしょう。
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