森のかけら | 大五木材


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私が小学生の頃は、ニッケイの根っこをよく噛んでいたものです。私たちのところでは、『ニッケ』と呼んでいましたが、何とも言えない清涼感のある味が好きでした。でも自分でニッケイの根っこを採った記憶はありませんので、いつも誰かにもらっていたのだと思うのですがよく思い出せません。当時は、木の事などに一切興味もありませんでしたが、専門的な知識などなくとも、あれがトリモチの採れる木、これがニッケの採れる木、などと妙に詳しい友達がいたものです。

料理にスパイスに用いられるシナモンは、ニッケイはニッケイでも外国産の『セイロンニッケイ』という同じクスノキ科の別類のもので、日本のニッケイにはそこまでの香ばしさはありません。セイロンニッケイの樹皮を剥がして、内側のコルク層の部分を薄く削って乾燥させると、皮が丸まりスティック状になるそうです。また、京都の八つ橋などに含まれるニッキ油も、『シナニッケイ』という別種の根から作られるそうで、用途によって細かく樹の使い分けがされているようです。

しかしそれも最近では、シシャモと呼ばれて流通しているもののほとんどが、カラフトシシャモこと「カペリン」であって、その味にも舌がすっかり馴れてしまい、本家の味の混乱が生じているようにニッケイの世界でも混乱があるようです。本来はセイロンニッケイにしか含まれていないオイゲノールという成分があるため、よりマイルドな香りが得られるセイロンニッケイがシナモンの原料であったはずなのに、最近日本で販売されているものにはシナニッケイで作られたものもあるとか。

安さや供給の安定ばかりを望んでいると、自分たちがそうだと思って使っているものが実は全然違うものであったということは少なくないと思います。もともと供給が細いものが、ある日突然廉価で市場に大量に出回るようになったら、その正体を怪しまねばなりません。特に自然素材の場合は。徐々に慣らされてしまえば、五感の記憶もあやふやになってしまうもの。食べ物の分野については『本物』に出会えることがこれからドンドン難しくなってくるよう感じて不安です。




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