森のかけら | 大五木材


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★今日のかけら番外篇・E031シャリンバイ/車輪梅】 バラ科シャリンバイ属・広葉樹・三重産

Rhaphiolepis indica var. umbellata

ビーバー隊長の素晴らしいところは沢山ありますが、その中のひとつにストライクゾーンの広さがあります!それは恐ろしいほどに広くて、広葉樹中心に針葉樹、街路樹、低木、灌木何でも来いです。ビーバーメンバーの『熊鷹』こと柳田国男さんと日々材の捜索には余念がありません。『木に貴賤なし』がモットーのお二人は様々な木を『救出』されるのですが、中にはこういう木もあります。バラ科の『シャリンバイ(車輪梅』。私の中では製材する木という認識すらありませんでしたが、まさかこういう形で巡り合うとは!


名前こそ知っていたものの枝をまじまじと見るのは初めて。誤解を恐れずに言うならば、この木にどれほどの特徴があるのかというのはビーバーにとってはあまり意味がありません。シャリンバイという種類の木が今ここにあるということこそが肝心なのです。一体全国でどれだけの人間がシャリンバイの木を探してきて製材しようと思っているのか。日本植物学の父・牧野富太郎博士によると、「梅のような花が咲き、枝葉が密集して輪生状に(車輪のスポークのように)出るからである」と、その名前の由来を説明されています。

分布域は東北南部より以南ということで愛媛県にも分布しています。日本一細長い半島で知られる愛媛の佐田岬周辺では、『ハマモッコク』の名前でも親しまれているそうです。これは先に『モッコク(木斛』という木の説明をしておくべきなのですが、それは項を改めるとして、浜辺の山に生えるモッコクという意味です。どちらも常緑で、葉が厚くて表面に光沢があり、その特徴がモッコクに似ていることが名前の由来だそうですが、材質はどうなのでしょうか。まだ挽かれていなかったので、その中身が気になるところです。

乾燥や大気汚染にも強く、よく刈り込みに堪えることから道路脇の分離帯や街路樹にも植林されているそうですが、幹や根にはタンニンが含まれていて染色用の染料にも利用されます葉には消炎作用があり、潰瘍の腫を煎汁で洗浄する他、打撲傷に用いられたりもします。なるほど低木ながらいろいろ利用価値のある木のようですが、材としての用途については硬いので木槌に使われるというぐらいで、他にはほとんど記述が見当たりませんでした。やはりそうなると、【新・森のかけら】の1つに加えねばなりますまい!




ビーバーハウスは昔からビーバーハウスであったわけではありません。ごく普通のまっとうな製材所時代もあったそうです。隊長(武田誠さん)から訊いたところ、昔は水力を動力源とした水車製材所だったそうで、その当時の貴重な写真を見せていただきました。当然今はその設備はありませんが、武田製材さんが昔からこの土地で木の仕事に関わられた事が伺えます。昭和の初め頃まではこの水車を使って製材していたということでしたので、隊長の先代か、先々代の時代でしょうか。

武田製材がビーバーハウスと呼ばれるようになったのは、現社長の隊長(武田誠さん)の時代からではあるものの、隊長とて最初からビーバーだったわけではありません。逆に驚いたのですが、ビーバーになったのは今から7、8年前の事で、それまではスギなどの針葉樹で梱包材を挽かれる『時間と競争する納期厳守』の製材工場だったそうなのです。今の状況からは想像もできないのですが、驚かされたのはその事よりもわずか7、8年でここまでになったビーバーの破壊力!?

1年365日のうち正月を含んだわずか数日だけが心休まる日々で、毎日が迫りくる納期との争いで、5,6人の社員の方々と一緒に梱包材を挽かれていたそうです。やがてその反動から、ビーバーへと生まれ変わっていかれるのですが、その当時の土場を写した写真を見ると、そこには梱包用のスギの丸太が並べられ倉庫にも整然と梱包材が積み上げられていて、現状とのあまりの変貌ぶりに笑いそうになってしまいます。人間、やる気になれば短期間でここまで変われるものか!?

ビーバーハウスの土場や倉庫では挽かれた材に、小さな木の板が打ち付けられ木の名前や挽いた日付などが書かれています。挽く材がかなりマニアックなものが多いのと、その数も100種を超えているので、さすがに名前を付けておかねば分からなくなってしまうためですが、これすべて隊長が自ら行われていて、その仕事ぶりは実に几帳面。何の端材だったかすぐに分からなくしてしまう雑な私には到底真似ができません。本来ビーバーはこうでなければなりません。それにしてもそれらの名前を目で追うだけでも食指が動く~!




日本の広葉樹に魅せられたビーバー隊長こと武田誠さんは、変わった木を見つけたら挽かずにはいられなくなる『ビーバー症候群』に患われていて、まるで挽くことが目的になってしまったかのように次々と珍しい木々を鋸にかけています。挽かれた薄板は所狭しと工場の内外に積み上げられています。そんな光景を見て、私の心はドキドキ!こんな場所に長居していたら、すべて欲しくなってこの材がそのまま松山に移動してしまうそうになりそうで怖い・・・当然ながら私も長年ビーバー症候群を患っている者です。

恐らくここを訪れた多くの方が隊長に以下の言葉を投げかけられることでしょう、「こんなに挽いてどうするんですか?どうかお願いですからもうその質問は止めてあげてください。本能的に木を集めてしまう(隊長の場合は集めて挽いてしまう症状)ビーバー症候群を発症しているのです、病気なんです!どう評価されようとも気にしないので、どうかわたしたちの事はそっとしておいて下さい。そして静かに見守っていて下さい。どこまで本気なの?いやいやどこまでも本気なんです。それが分かる人は軽いビーバー病?!

何事も極めれば芸というか、それなりの評価を受けることになります。周囲から何と言われようともわき目もふらずに日々鬼神のごとく木を挽き続けた隊長のそれは、もはや地域の「観光事業」に指定されてもいいのではないかと思うほど。それほどにこの地には多くのビーバー症候群の潜在的感染者が全国各地からやって来るのです。それは「お客さん」というよりも信者による「巡礼」に近い感覚なのかもしれません。まさにここは聖地!何事もやるからには突き抜けなければ意味がないということをここは示唆してくれるのです

私も【森のかけら】を作り始めた時に、当初は周囲から相当に白い目で見られましたが、その種類が200を超えるようになって、全国から注文が舞い込むようになり、その販売数が500セットを超える頃から周囲の反応はガラリと変わりました。その志は当初から何も変わっていないのに、変わったのは周囲の反応。隊長もきっと同じような体験をされているはず。最新機械の大型工場で大量に挽くことを目指す住宅資材向けの製材業とは別次元の、ある種の人々から求められる製材業の「あるカタチ」がここにはあります




 

三重県は「松阪牛」だけでなく、「伊勢海老」に「志摩の真珠」、「桑名のハマグリ」など全国に名だたるブランドの宝庫。その名前を言うだけで誰でも理解できるブランドが定着しているって凄いなあと思う反面、偏屈な材木屋としてはブランドイメージに縛られてしまうリスクや、ブランドの冠に埋没してその中での差別化が難しいのではなかろうかなんてつまらない詮索をしてしまうのです長いものに巻かれることをよしとしない我々ビーバー一派の進む道は、光の当たらぬ広葉樹を巡るノーブランドの世界   


決してひがみやねたみで言っているつもりではないのですが、どうしても性格的に巨大なるものへの反発心が強いのと、自分の手で新たなモノを作り出したい、新たに光を当てたいという思いがあって、世間の潮流とは逆へ逆へと舵をきってしまうのが悲しきビーバーの性・・・。まあそれが損だとか回り道だとか思ってもなくて、好きだからやってるというだけのもの。多くの方がビーバーハウスに足を踏み入れられて思うことは、「なんでこんな無謀な事をやっているんだろう?!」という疑問ではないでしょうか。

いろいろなメディアの取材なども受けられていて、その書き手がそれぞれに、この人はこれこれこういう理由でこういう無謀な事をしているのだと、理由付けをしようとされているようです。不遇な状況にあった日本の広葉樹にスポットライトを当てたいとか、日本の林業の新しいビジネススタイルを模索する高邁な理念がここあるとか。そうやって何かの動機づけをしなければ自分の中でこの行為が説明できなくなって不安に感じるのかもしれませんが、動機はもっとシンプルで単純なもの。「好きだからやっている!」それだけ。


ビーバーハウスに足を踏み入れた最初の私の印象。うず高く積み上げられた様々な広葉樹の板を見あげて、「嗚呼、もうこの人はたまらなく木を挽くことが好きなんだろうなあ・・・。」世間では「なぜ?」と思われるビーバー活動ですが、もうこれは本能なんだから仕方がないのです。ただただ好きでやっているだけで、ゴールがあるわけではなくて、珍しい木があれば挽いてしまうという条件反射のようなもの。そこに理由などないのです。同じビーバーの血が流れる私には分かる・・・嗚呼、哀しくも愛すべきビーバー魂!




ちょうどいい時間になっていたので、工場を見せていただく前にお昼ご飯をご馳走になることになりました。工場の隅には既に焼き肉セットが用意されており、そこへビーバー隊長武田誠さんの奥さんが慣れた手つきで焼き肉を持って来ていただきました。恐らくこれは、ビーバーハウス流の「歓迎の儀式」!これぞ材木屋の醍醐味です。日本三大和牛のひとつである松阪牛のご当地松阪が近いということもあって、この辺りはすっかり牛肉文化圏かと思いきやこのあたりは鶏肉文化圏ということでした。


ちなみに『日本三大和牛』ですが、日本人はとかくこの『三大OO』というのが大好きで、ありとあらゆる分野で『三大OO』が謳われています。木材業界も類も漏れず、例えば『日本三大美林』(青森ヒバ、秋田杉木曽桧)や『日本三大人工美林』(天竜杉、尾鷲桧、吉野杉)、『世界三大銘木』(マホガニー、ブラック・ウォールナットチーク)などなど。昔から不思議に思っていたのは、これって一体誰が決めていつからそう呼ばれるようになったのかということ。時間をかけて収斂されたとしても始まりはあるはず。

そういう事が相当に気になる性格なので、機会があれば起源などについても調べてみたいと思います。木の場合は見た目や手触りが判断材料になったのかもしれませんが、肉の場合は何と言っても味覚が最大の基準要素でなおかつ嗜好品ということなので、判断の難しいところではないかと思うのです。多くの人の感想の最大公約数的なところから決まったのだとは思うものの、偏屈材木屋としては『材木屋万流』の旗を掲げているので、『肉屋万流』ちょっと味覚にへそ曲がりな肉屋があってもいいと思うのです。


『日本三大和牛』ですが、必ずしもその三種が固定化されていないらしく一応、松阪牛と神戸牛(神戸ビーフ)はほぼ決まっているものの、あとのひと枠は近江牛であったり米沢牛であったりするそうで、やはりそこが嗜好品の難しさか?まあ、こういうものは目安程度で考えておくぐらいがちょうどいいのだと思います。ところでご当地松阪でも一般的には牛肉ではなく鶏肉を甘辛の濃い味噌で食べるらしいのです。昔から養鶏農家が多かったためだそうですが、百聞は一見にしかず。三重の鶏肉とっても美味でした!満腹~(^^♪




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