森のかけら | 大五木材


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先日、テレビを観ていたら日本のものづくりと世界の本場はどこまで競えるのか、という内容の番組があって、ワインやピザなどの日本の職人が本場のイタリアで審査員による対決を行うという番組を放送していました。その中で日本の木材だけで作った純国産バイオリンがイタリアの名品と争うというバイオリン対決がありました。日本代表は、長野県の井筒バイオリンという個人の工房でしたが、そこでは国産の木材にこだわられていて、北海道産の『イタヤカエデ』や『エゾマツ』を使ってバイオリンを製作されていました。

楽器の分野も木材の重要な出口のひとつですが、弊社のような端材と対極的な高い品質と完璧な感想が求められる世界で、同じ木材といえども縁遠い世界です。木は五感で楽しむものですから、木の音色も『森の出口』の大切な要素なので、それを活かしたものづくりもしたいところですが、プロが演奏に使う楽器となると異次元!同じ木材じゃないかと思われるかもしれませんが、そもそも私には音楽の素養がありませんので、音色の良し悪しが分からないという根本的な問題があります。

楽器にはいろいろな種類の広葉樹が使われていますが、弊社に来る問合せとしては主にギター。素材はいろいろありますが、国内でも取り扱っている材木屋の少ないブラジル産の『セドロ』によく声がかかります。材質的にはやや軽軟なので家具とかにはなかなか採用されにくいのですが、楽器としては非常に優秀な素材だということ。落語の『目黒の秋刀魚』ではありませんが、「う~ん、いろいろ使ってみたがどの木もイマイチ。そうだな、やっぱりギターにはセドロじゃ!ギターはセドロに限る!」なんて・・・

このブログでも何度か紹介しましたが、現在はカウンターに使うような大きなサイズのものしかないので、楽器には大き過ぎるのですがそれでも数年分の在庫として買っていただくチャレンジャーが後を絶ちません(笑)。国内でどれ程のセドロが流通しているのか分りませんが、希少性はかなり高まっているようです。なかなか売れずに超長期在庫となっていた事が幸いして高乾燥材となったうちのセドロがもしかして国内最後の一枚に・・・なんて日が来るのかも?それほど海外の特殊の輸入はタイトになって来ています。

テレビには続編もあって、かの名器・ストラディバリウスとの対決では〔10億円のストラディバリウスVS日本代表・200万円の国産バイオリン!〕という事で盛り上がっていました。結果は微妙でしたが、まあ味覚やら音色といった感性で味わい、個人の嗜好に大きく左右されるモノを審査するという事自体ナンセンスだと思っていますので、バラエティショーとして楽しみました。国産バイオリンはなかなか評価してもらなかった頃も信念を貫き、借金してまで木材を買い集めたそうです。こういう人がいてこそ『森の出口』も広がっていく。まさしく楽器ビーバー




狭い倉庫ゆえ、ひとたび倉庫の奥の奥の方から引っ張り出した大きな材については、元に戻すことなくその際に売り切ってしまいたいというのが本心。特に長さが4mを超え、幅が1m近いサイズになると、保管できるスペースが限られるため、それをここに置いて、その上にあれを置いて、その隣にこの1m材を・・・といった風に、ジズソーパズルを埋めていくように隙間なく詰めていかないと元の状態に収まらくなってしまうので、埃を叩いたからにはもう元にも戻しませんの覚悟!

とはいえ、こういう大きなサイズの材はなかなかそううまい具合に出会いがあるわけではありません。カットしてしまえば足は早いでしょうが、それは最後の最後の手段。出来るだけ長いもの、広いものに対応する形で世に出したい。というわけで今回、奥の方から引っ張り出したのがこちらの大きな『モミ(樅)』の耳付きの一枚板。倉庫の主とした永らく君臨してきた大物。比較的大きくなりやすいモミですが、それでも直径1mサイズになると貴重です。長さは4m未満ですが、3,400~3,600㎜あります。

テーブルとすれば、片側に5~6人は座れるので、全体では10人以上が座れるビッグサイズです。一般住宅となるとかなり広いダイニング・スペースが必要にはなりますが、最近は間仕切りのない大空間設計の家も多いので、大家族の方、友達などの来客が多い方、いかがでしょうか?モミは針葉樹で材質的には軟らかいのですが、裏返せば温もりを体感出来るという事。このサイズになると重量も相当になりますが、乾燥は完璧なので見た以上に軽くて掃除などで移動させるのは楽です。

耳の変化は少ないので、そのまま耳付きで仕上げても面白い木です。こういう木って写真で撮ると案外その大きさが伝わりにくいので、昔は子供たちをモデルに使っていたのですが、さすがに高校生ともなるとモデルもやってくれません。比較対照が無いとサイズ感が分りにくいので、興味のある方は是非ご来店いただいて自分の目と肌で大きさを実感してください。勿論商業店舗のテーブルもOK!元の場所に戻すつもりはないので、この機会にどうにか「解放」してやりたいので、お値段も「解放」するつもりです!




弊社ではウッドデッキを作りたいという方には、非常に硬質で耐久性に優れている南米ブラジル産の高耐久性木材『マ二ルカラ』を提案しています。マ二ルカラにはアマゾンジャラ』の別名もありますが、ブラジルでの一般名は『マサランデューバ(Macaranduba)』。マ二ルカラというのは、 学名:のManilkaraからきています。 国内に入って来るサイズは限定されているので、フェンスなどに使う場合は小割して利用します。あまりに硬いため製材すると挽き反りが出ることも多く、失敗した端材の活用を模索していました。

加工直後の材面は赤褐色ですが、経年変化でこげ茶色に変わっていきます。加工した際の大鋸屑が鮮やかなので色留め出来ればなあと思う木のひとつです。いつもここの色をウッドデッキ以外にも活かせないかなんと思うのですが、加工が始まるとその粉塵が粘膜を刺激して鼻がムズかゆくなるので、それどころではなくなってしまいます。加工する際には必ずマスクの着用が必要です。それで、『森の砂』用の木粉を収集するのも気おくれしていたのですが、先日それも兼ねてマ二ルカラの端材を少しカットしていたら・・・

その断面が、まるで焼いた肉のミディアムのように見えました。加工した時は全面赤褐色でしたが、そのまま倉庫に放置しておいたので酸化して表面が濃い茶色になっていたのですが、切断すると中央部は変色してなくて赤味が残っています。何個かカットしていたらだんだん肉に見えて来ました。右の写真は室内の蛍光灯の下で撮ったものですが、このままではただの端材。マ二ルカラは水に濡れると驚くぐらい赤くなります。やがて経年変化で落ち着いていくのですが、最初はビックルリされる方も多いほどの変身ぶり!

それで、この端材も水に濡らしてみると、中心部が真っ赤になってまさにミディアム!乾くとまた色が褪せますが、しばらくすると馴染んできてここまでの鮮やかさは損なわれますが、じっと見ていたら肉というよりチョコに見えてきました!そうだこれは木のチョコだ~!ということで、これに面をとってパッケージして、来たるべき2月14日のバレンタイデーに向けて、食べれないけどしばらく色味が楽しめる『チョコルカラ』として商品化することを決意!開封後は水に濡らして色の変化をお楽しみください。賞味期限は飽きる頃(笑)。




挽いてもらったクスノキの板を選別。一枚ずつコンディションを確認しながらサイズで分けて桟積みしていきますが、この作業は必ず私がするようにしています。この後、樹種にもよりますが、基本は天然乾燥で半年から長いものになれば二年ぐらい乾かせますので、どういうものを乾かしていて、どれくらい経った頃に使えるのかを把握しておくためと、値付けをするため。よく、我が子に名前をつけるように値段をつけやがって、なんて言われますがその通りです。自分の尺度と感覚で値段をつけますが、その分しっかりと木は見ているつもりです。

今回挽いてもらったのは近所の神社のクスノキ。あまりに大きくなり過ぎて倒木の危険もあったので伐採したものですが、昔に雷も落ちたことがあったとかなかったとかで、中に空洞があるかもと心配していましたが、それも杞憂で済むほど立派な鎮守の木でした。狭い境内から搬出するため短くカットしましたが、テーブルや座卓などの家具はもとより、【森のかけら】などの小物まで使いどころはたっぷりありますので、一切無駄にすることなく骨まできっちりとしゃぶり尽くしていただきます。なので側のペラペラまで余すことなく桟積み。

大きな洞こそありませんでしたが、高齢木なのでところどころに痛々しい「戦歴」もあって、部分的には腐っていたり割れが入っているところもあります。何枚かくってみると、板の真ん中あたりが楕円上に朽ちかけているものがありました。まだ完全に朽ちてはおらず、楕円の1/4程度がボソボソになっていましたが、その周辺がスポルテッドに変容しかかっていました。クスノキのスポルテッドを見るのは初めてですが、水分が多過ぎて触るとブヨブヨなのでそこを意匠的に使うのは無理。嗚呼、もう少し救出早ければどうにかなっていたのかも・・・

手入れされることのない神社などの巨木が成長する過程で木の隙間などの空間が巻き込まれ、その内部で芽吹いた植物の根などが空間を埋め尽くしてやがて朽ちて、製材するとおどろおどろしい毛細血管のようなネット状の塊が出てくることがあります。そういうものに出くわすと、私はいつも「もののけ姫」の「たたり神」が頭に浮かんでは、「救えませなんだあ~、申し訳ねえ・・・」と、誰視点かよく分らない気持ちになるのですが、スポルテッドはともかくその御身はなにひとつ無駄には致しませぬぞ!




木に関するいろいろなモノを作っていますが、変わったモノほど撒いた種がすぐには芽を出さない。撒いた畑が悪かったのか、種そのものが弱かったのか、養分が足らなかったのか、いろいろ考えますが、基本は種を撒いたら後はほったらかし農法で、陰から頑張れと声をかけるのみなので、相当に打率は低い。ただ、そこで諦めてしまうから失敗に終わってしまうので、気長に芽が出るまで待てばいいのです。終わりがないのだから失敗はないの精神(笑)。そのつもりで撒いたのが、この木の鋸屑を瓶詰にした『森の砂』。

ワンスペックでたにかく種類を増やすというのが弊社の商品づくりの共通コンセプト。さまざまな木の鋸屑を集めては、ふるいにかけて選別して瓶に詰めるという、手間がかかっているのか、かかっていないのかよく分らない商品なのですが、とにかく綺麗な色の、匂いにする鋸屑を焼却炉の灰にするのがモッタイナイ!実の方は華やかな舞台でちやほやされるのに、同じ体から生まれながら人目にも触れずその生涯を終えていくのは悲しい・・・という貧乏性が生み出した究極の端材商品ですが、少しずつ種類増えてきました。

本当は、【森のかけら】と同じぐらい240種もあると壮観だと思うのです。さすがにそこまで揃うと、匂いや色の多様性という点でも学校教材になったるするのではなかろうかと勝手に思い込んだりしているのですが、世の中そうは甘くない。面白いとか、綺麗~!これが自然の木の色だなんて信じられない~!なんて言ってくださる方は数知れず。ただ、それを対価を払っていただいて初めて芽が出るというもの。雨(PR)が足りずに地面が硬くなって芽吹けないのかと思い、何度もあざといPRも繰り返してきました。

 

そしたら先日、試作的に作った小瓶4種セットがオンラインショップで売れました。それをきっかけにSサイズ瓶入りの『森の砂』が店頭でも続けて売れたりと、ようやく「いいね」が対価の対象になってき始めました。出来ればもっと樹種を増やして、草木染めなどにも使っていただければと思っているのですが、瓶の方が足りなくなってきましたので仕入れにいかないと!少し売れると、いつものように大量注文来たら果たして応えられるだろうかと、捕らぬ狸の皮算用の妄想で心が震えるのです。笑わば笑え、我独りけもの道を往く者なり!




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