森のかけら | 大五木材


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20120821 1自分も子供の頃そうだったので、我が子にもあまり強くは言えないのですが、お盆が終わり楽しい楽しい夏休みも後半の2週間を切ったというのにまだまだ夏休みの宿題が・・・。「宿題終わったよ!あれとあれとあれ以外は。」その「あれ」がどれだけよ~!と思うのですが、血は争えません。果たしてこれは「血」なのか「環境」なのか分かりませんが、生まれた時から目の回りに山ほど使い放題の材料(木材)があり、小さい頃から木工広場には欠かさず参加してお陰でノコギリや金槌の扱いは手馴れたもの。

 

20120821 2最近は、小学校に出前授業に行っても「ノコギリの触ったことが無い」という子供が珍しくなくなってきています。松山にしてからこの有様ですから、東京などでは「ノコギリ経験のある子供」の方が珍しい状況なのでしょうか?どうなる、日本のものづくり?!さて、息子が取り組んでいたのは、ただの木工ではなく、どうやら自由研究の一環でした。読書感想文でも『森は生きている』という本を読んでいるようで、なにやら体系的に木材を夏休みの宿題に組み込んでいるようです。身近な使えるものは使う主義?!

 

20120821 3それで作り上げたのがこちらの『船』?船かと聞くと強く否定。息子が言うにはこれは『船型生簀(いけす』だそうです。愛媛県産材ののラス板を使って作りあがった船、いや船型生簀には、お盆で帰省した際に川で魚を捕まえこの中に入れるのだとか。おお~これはある意味『森の出口』なのかも?ついつい大人の視点で考えてしまいがちになりますが、子供なりに本能で感じる部分もあったのでしょうか。森のめぐみが川のめぐみと出会う壮大な物語になっているそうですが、そのためには『浮かぶ』事が前提。

 

20120821 4傍で見ていると、どうにも「浮かぶ」には心もとないのですが、器が狭すぎてなかなかその見極めが出来ないようです。こうすればのアドバイスもしようかと思いましたが、全部自分でやる、とデザインも組み立てもすべて自分でやり遂げたものに、何もしない親が後から口だけ出すのも失礼な話だと思い撮影に専念。川に行けば流れもあるのできっと浮く!という息子なりに自信はあるようです。マストではためく骨になった魚は、生簀に入った魚の運命なのか?さまざまな思いを乗せ『夏の自由研究・ホネホネ号』は川へ向かったのでした!




枕草子では、古名『あふち』に『逢ふ』をかけて歌にも謳われ、その姿に浪漫を重ねた事でしょうが、中世になってそのイメージはガラリと変わります。それは、かつてこの木が獄門台に使われていたからだとされています。センダンは木目の雰囲気や色合いから『ケヤキ』の代用として使われる事があり、九州地方の一部では『薩摩欅(サツマゲヤキ』とも呼ばれています。しかし見た目とは裏腹にセンダンそのものは、乾燥すれば軽くなり加工性もよく決して重硬な材ではありません。

そんな木がなぜ獄門台に使われたのでしょうか。かの生物学者・南方熊によると、そもそも『ホンモノの栴檀』にあたるビャクダンが、西洋ではその香気と相まって邪鬼を除ける霊力があるとされ霊木として崇められてきました。その後、この木とともに俗信も一緒に伝わり、悪気を祓うという意味で罪人の梟首(きょうしゅ/さらし首)に使われてきた歴史もあるのです。木が密接に生活に結びついてきたという事は、そういう場面でも木材が利用されてきたという事実にも目を背けてはいけません。

だから栴檀が不気味で不吉というのは、我々の身勝手なイメージで、センダンにすればいい迷惑です。本来霊木とされていたものが、どういう解釈で獄門台になるのか、その発想の方が不思議ですが、いずれにしても木に対する『拠り所』の多い時代だったのだと思います。骨までしゃぶって木を使う精神は、センダンにも適用され、その枝葉は毒性があることから殺虫剤に、樹皮は回虫、条虫の駆除薬に、果実は腹痛に、果肉はヒビ割れやアカギレなどにも利用されてきました。

また材は、前述したようにケヤキに似ている事から着色してケヤキの代用として大黒柱などに使われてきました。比較的大きな材が取れることから、弊社でも尺角のセンダンの大黒柱を取り揃えています。ケヤキで同じサイズであればとても持てないほどの重さでしょうが、センダンであればその半分以下の感覚。成長も早く大柄なも木目になりやすいのですが、時に綺麗な玉杢が現れたりします。ちなみに『チカミハウス』で使われた階段の材『カランタス』も、同じセンダン科の仲間というのも不思議なご縁。




今日のかけら・#069【センダン/栴檀】センダン科センダン属・広葉樹・宮崎産

先日の『チカミハウス』の完成慰労会が開催されたのが、が開催されたのが、道後石手の老舗料理旅館『栴檀』さんでしたので、木材の『センダン』について触れてみたいと思います。センダンと聞いてまず思い浮かべるのは、「栴檀は双葉より芳しい」の諺ではないでしょうか。こちらの店名もその諺に因んでいるそうで、日本の伝統と文化と心を5つの「き」とし、季・器・気・木・生の5つのコンセプトを意味し円でそれらを提供するサービスを表わされていらっしゃいます。その心意気にたがわぬしつらえ、お料理に大満足でした。

さて、その諺に謳われる『栴檀』ですが、実はそれは雅な香気を発するビャクダン(白檀)の事で、センダンの木を指しているのではありません。ビャクダンは発芽した頃から、香気を漂わせるために、大成する人物というものは幼い頃から人並みはずれた才の片鱗を見せるものだという諺に使われています。『双葉』は、『二葉』ともされますが、いずれも発芽して最初に出る葉を示しています。ビャクダンの中国名が栴檀である事から、混同して使われるようになってしまったのが真相です。

日本ではセンダンの古名を『あふち』といい、古くは『枕草子』にも登場してきます。『あふち』の語源は諸説あるものの、その花の色目が「淡く藤色」である事から『あふじ』に転化したという説が説得力がありそうです。四国・中国・九州一帯が主な生育域だそうですが、昔の歌人たちはいずこでこの花を愛でたのでしょうか。センダンの名前が使われるようになったのは近代に入ってからの事だそうです。沢山の実が鈴なりにつくことから千珠(せんだま)が語源ともされています

また鬼子母神を祭る祭事で、千人の子を持つといわれる鬼子母神に千個の団子を供えた「千団子」が語源という説もあるようです。千団子が縮まってセンダンになったとか。このセンダンは、冬葉がすっかり落ちた後に、黄金色に輝く実が枝にびっしりと鈴なりに群がった様子は壮観です。栴檀の実』は秋の季語ですが、石手川周辺で見かけるその光景は秋の深まりを知らせてくれる風物詩でもあります。しかしその光景も、中世になると古人の歌人たちが愛でた頃とは別の感慨があるようです。その理由は明日・・・

 




20120818 1海洋堂ホビー館/四万十』に入ると、やはり館内は私の想像通り、大人のフィギア魂をくすぐるものばかり。ここまで来てしまえば、もはや子ども達が楽しいとかどうかは二の次。童心が解き放たれます!息子は可動フィギアの手足のパーツなどで自由に好きなものを作れるコーナーがあって、入館するなりそこに釘付け。コーナーの奥に陣取り、無心でガチャガチャと何かを組み立てています。嗚呼、血は水よりも濃し!到着時間が早かったお陰で、まだ人が少ないうちに内部をじっくり観察。

 

20120818 2海洋堂の代名詞でもある『食玩フィギア』の歴史を展示するコーナーが、中央の船内(!)にあって、自分の持っているモノ、持ってないモノの確認作業。壁には商品を包装するパッケージと解説書も貼ってありましたが、何の意識も無くフィギアを収集していた当時から、この小さな解説文にどういうわけか心を惹かれていました。わずか10数センチの巻物に書いてある解説文や写真がどれほど私を豊かにさせてくれたことか!こちらは、あの荒俣宏大先生監修で海洋堂がコラボした『新江ノ島水族館への誘い

 

20120818 3知らず知らずいつしか私は、『同じぐらいのサイズで沢山の種類が揃う小さな宇宙』に洗脳され、それが数十年後に【森のかけら】を作り出す原点になったのかもしれません。こういう物をみてしまうと無性に欲しくなってしまうのです。販売してなくてよかった~。私の場合は仕事柄、その出口が『木』でしたし、何とかそれがうまく商品化され仕事に結びついたので、こういう事もある意味堂々と収集できるようになったのですが、違う業界に進んでいれば、いい歳してフィギア好きの変なおっさん扱いだったかも・・・。

 

20120818 4職種は違えども、この小さな宇宙にものづくり人として矜持と気概を感じます。何が入っているか分からない詰め合わせパック(¥800程度)も、パッケージの言葉に釣られて購入してしまいました。ある意味中身はどうでもいいんです。『創るモノは夜空にきらめく星の数ほど無限にある』・・・素晴らしい~!食玩フィギアを極めた海洋堂さんだからこえ言える言葉。だからこそ胸に響く言葉。モノを作り出すエネルギーとコストや労力を天秤にかけて、出来ない理由を探し始めた時、ものづくりの心は折れます。

 

20120818 5その言葉を近くに置いておきたくて購入。中はまだ未開封!それと一緒に購入したのが、こちらの『海洋堂食玩制作10周年記念公式図録』。そう、いわゆる『レゾネ』というヤツです。3000点の作品を収録した320ページに及ぶ力作!定価¥3000、充分に価値あり。にもかかかわらず陳列棚の前で少し躊躇していた私の横から、50代とおぼしき男性が何の迷いもなくレゾネを手に取り値段を見ることもなくレジへ。嗚呼、一瞬でも悩んだ自分が恥ずかしい~!心の海洋堂が泣いている~!

 

20120818 6お詫びの気持ちと畏敬の念を込めて、隣にあった宮脇館長のフィギアも合わせて購入させていただきました。あやうく大切なモノが崩れてしまうところでした。その頃には、私とまだ可動フィギア制作に夢中な息子以外は既に館の外へ・・・血は争えませ。『作りたいから作る、楽しいから作る』というモノづくりの原点に触れ、『マニアでいいんだ!無心に道を究めるマニア魂こそがエネルギー!』という確固たる確信を得、新たな商品開発の創作意欲が湧き起こった楽しすぎる『大人の夏休み』でした。




20120817 1さてお盆の帰省2日目は、朝から兄弟妹従兄弟15人で高知県へ!実家からだと高知が近い事もあって、ここ数年このパターンが定番となっています。道後を中心に観光化を進めている愛媛県ですが、お隣の高知県に比べるとかなり見劣りしてしまいます。メジャーな観光地・桂浜や室戸岬、足摺岬、四万十川、龍河洞などに限らず、穴場が数多くあり、我々もそういう所を目指します。山の形は似通っていますが、海は穏やかな瀬戸内海に比べて荒々しく広大な太平洋の織り成す造形は新鮮。

 

20120817 2しかし今回目指したのは山の奥。そもそも土地勘が無いのに、市町村合併で余計に混乱してしまうのですが、現四万十市(旧大正町+旧窪川町+旧十和村)打井川の廃校になった小学校の体育館に建てられた『海洋堂ホビー館・四万十』こそが目的地です。さて、今年はどこに行こうかという親族会議の中で、私が強行提案。ホビー館などという響きから子どものため、なんて思ったら大間違い!ただひたすらに私が行きたかっただけなのです。混雑を避けるため早朝より車に便乗していざ出発!

 

20120817 3松山からだと大変ですが実家からだとおよそ1時間40分足らずで到着。会場直後にも関わらず既に駐車場は8割方埋まっていました。この施設は2011年にこの地に誕生。株式会社海洋堂宮脇社長の言葉に、『ホビー、フィギュアを使った一番目の記念すべきミュージアムがオタクの聖地秋葉原ではなく、日本でおそらく一番不便な四国、高知の四万十町に出来ることは、常日頃とても便利な都会に生活している方々にとって、わざわざ不便な場所に足をのばして見に行くという「非日常を感じる」イベントとなります。』とあるようにかなりの辺境地。

20120817 4あえて『へんぴなミュージアム』という看板を掲げ、へんぴである事を『地の利』としているだけあって、東京方面から来られるマニアとっては本当に辺境の地でしょう。そこに我々四国人としては共感を覚えます。なんでもかんでも一極集中で東京に施設が集まり、東京とその周辺のひとばかりの都合を考えた東京基準の政策を忸怩(じくじ)たる思いで見ている地方の人間は沢山いるのです。なので、大好きな海洋堂さんが敢えてこの地を選ばれた事に敬意を払い拍手を送るのです。

 

20120817 5私が海洋堂のフィギアに目覚めたのは、コンビ二などで売っているペットボトルなどにオマケとしてついてくる『食玩フィギュア』からです。生来のコレクターである私にとって、仕事の合間の水分補給という口実のもと堂々と買える小さな贅沢!海洋堂という名前を知ったのも、食玩フィギアの中の解説書から。それは10センチ足らずの小さな作品ですが、手抜きのないシュールな動物達の動きと表情。そこに込められたものづくりの気概。その小さな宇宙に私は完全に虜となったのです。




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