森のかけら | 大五木材


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20150625 1北舞子のモデルハウス内部にご案内いただきました。まず玄関を入るとシューズボックスの上の壁面に使われているクスノキの板が目に飛び込んできます。敢えて大きな節のあるクスを使われていますが、ちょうどその板の前に家の形の置物が置いてあるので、見る角度によってはそのクスノキがあたかも雲もように、あるいは異次元の巨大な惑星のようにも見えます。クスノキの節の周辺に現れる独特の縮み杢がオモシロイ雰囲気を醸し出して、絵画的な演出にひと役買っています

 

靴を脱いで中に入ると玄関を入って驚ろくのは、床に貼られた幅6寸のヒノキの幅広の縁甲板。これだけのモノになるとフローリングなんて言葉で通常のユニフィンガーと混同してしまうのは失礼になるレベル。このヒノキをはじめ、使用されている材の多くは鳥取県の製材所から手配されたそうですが、実に立派なものばかりでこのヒノキもほとんど節のない幅広の一枚板。さぞかし良質の原木から製材された事でしょう。これだけ幅広のヒノキの床、そう滅多に見られるものではありません。

 

リビングにも全面この幅広の縁甲板が貼られています。驚くべきはデッキにも同じ幅の一枚板のヒノキが貼られていて、床がそのまま外にまでつながっているような感覚で室内が広く感じられます。ヒノキは床材だけでなく格子なども使われています。そのリビングの一角にあるのが、力強い生節を持つ赤身の耳付きのスギのカウンター。当然こちらも一枚板!足元が落ちていて、床暖房が施され掘りごたつ式に足を入れてそのままテーブルとしても使えるように配慮されています。

 

20150625 4近づいてよく見れば年輪幅が凄まじく狭くて赤身も濃さと艶っぽさも半端ありません!聞けば『天スギ』ということでそれも納得。天スギというのは、人間が植林して育てた木では無く、自然界で実生(みしょう/種子から成長して発芽する事)で逞しく育った天然林の事で、スギに限らずヒノキやマツなど圧倒的に人工林が多い針葉樹に対して、人工林と区別する意味で頭に『』という漢字を付けて『天桧(てんぴ)』とか『天唐(てんから/天然カラマツ)』などと呼びます。天杉威風堂々。




20150624 1昨日も少し触れましたが、明石住建さんでは連日各地イベントに出張さたりして、木育活動を非常に熱心に推進されていて、弊社からも『木の玉プール』セット他数々の木のおもちゃなどもご購入いただき、今ではすっかり木育活動する建設会社として地域では認知度を高められておられます。愛媛でも木育を行われている工務店、建設会社はあるもののここまで会社一丸となりスタッフ自らが実践する事を実践されている会社を私は知りません。詳しい活動の様子はHPをご覧下さい。

 

その明石住建さんの営業の皆さんがいらっしゃる北舞子に建てられている、木にこだわりまくった『五感で感じる癒しの住まい』モデルハウスに。こちらのモデルハウスを設計されたのはグループ会社で、デザイナーズ住宅などを手掛けられる『住空間Labo』さん。こちらの会社の代表でもある渡辺喜夫社長は自らも設計士でもあり、グループ内で熱烈な木フェチであるご自分で図面を引かれたモデルハウスという事だけあって、随所に散りばめられたこだわりも半端ではありません。

 

20150624 3その経緯や様子については渡辺社長㊧の口からもお聞きしていたものの、足を踏み入れさせていただくのは初めての事。モデルハウスの正面には美容アドバイザーとして活躍されている佐伯チズさん㊨がにっこりとほほ笑む姿が。佐伯さんが雑誌に書かれた記事を読んで、自分たちの思い描く家造りと共通する理念や生き方を感じ取り、手紙を送り届けたことが事の発端。その佐伯さんからアドバイスを得ながら、渡辺社長がそのコンセプトを日本の木を使って具現化させたのがこの家なのです。

 

Laboさんと共同で開発した『誕生木・12の樹の物語』というエッセンスもふんだんに取り入れられていて、それぞれの床材や壁材などにも木の説明文が置かれています。玄関を入った壁面にはその12ヶ月の誕生木で作らせていただいた『誕生木の箸』も展示されていて、製作した頃の思いが懐かしく蘇ってきました。これはあくまでも『見せるための箸』で実際に使うわけではありませんが、具体的にモノになっていてしかも形が統一化される事で逆に個性が見えてくるというもの。続く・・・




20150623 1伊丹空港を経て明石に到着。明石には今までも何度か来た事がありましたが、通過する事が多くじっくりと滞在した事はありませんでした。明石住建さんは、JR明石駅のすぐ傍、明石公園の南に面した場所にあります。渡辺社長はじめスタッフの皆さんは今まで弊社に何度も何度も足をお運びいただいたのですが、恥ずかしながら伺わせていただいたのは初めて。会社の窓からは明石公園が一望でき、そこには対のように並ぶ坤櫓(ひつじさるやぐら)と巽櫓(たつみやぐら)の姿が。

 

20150623 2若い頃は全国各地に行っても、目的である木の事や相手企業の事ぐらいにしか関心がありませんでしたが、歳を重ねてたせいか、異業種の方々といろいろな異分野のコラボ商品を開発をしてきたせいか、その土地土地の歴史や文化、観光や特産品の事にまで関心が及ぶようになりました。木を使った商品開発を考える場合、地域の暮らしに深くから根ざした木がどういう役割を担ってきたか、例えばその名前が材木町とかの地名になっていたりという歴史的背景も知ることは大切

 

ご縁があって明石に居を構えられる明石住建さんといろいろ木にまつわる仕事をさせていただいていますので、その地の文化や歴史を知っておくことは当然ながら、御地において木とどういう関わりが出来るのか、どういうつながりを持って木を語れるのか、物語を構築するためにも小さなネタを拾い集めて紡いでいかねばなりません。そこからいかにして『自分だけの木物語』を作れるか、ネタは現代の町の中にでもいくらでも落ちていて、それに気づいてうまく拾い上げられるかどうか。

 

20150623 4明石城は結局天守の台石まで積まれたものの、幕府への配慮などの理由から天守台が建てられることはありませんでした。そのためか公園に入ると地元愛媛の松山城のような観光地的な雰囲気は無く、市民の憩いの公園という感じでした。かつて藩主の居館に飾られていたという長谷川等仁の作と言われる「花鳥山水図」の襖絵は、その後海外にまで流出したものの長い歴史を経て奇遇にも現在は愛媛県美術館にあるのだとか。こんなところからも明石と愛媛のつながりが・・・至る所に物語の種あり




2兵庫県内各地で精力的に木育活動に取り組まれていらっしゃる(IKU-REA・木育ひろめ隊)兵庫県明石市の『㈱明石住建』さんから、またまた弊社にお声をかけていただきました。偏屈材木屋の木の話をまた聴いてやろうという奇特でありがたいお話です。それで明石に向かうため本日は機上の人となり、その機内で何気なくパラパラと雑誌をめくっていると、アメリカはテキサスのバーボン造りの話が特集されていました。タイトルは、『バーボンに人生を捧げた男』。


1そこにバーボン造りの名人といわれるダンさんの次のような言葉が・・・ダンさんが造ったバーボンは、キャラメルのような甘い香りで、まるで琥珀色のようなシロップのようだ「この色も樽がつくるのさ。樽詰めの前の液体は透明だからね。バーボンの甘みはコーンからも生まれるね。それに僕はライ麦ではなく小麦を使うから、その甘みも出るはずさ」・・・生憎私は日本酒党でウィスキーはほとんど飲まないのですが、ホワイトオークの樽が造りだす魔法の工程には興味津々。

 

3ホワイトオークにはチロースという成分が含まれていて非常に水を通しにくい性質があるのと、ホワイトオークに含まれているタンニンやカテコールなどのポリフェノール類などの成分が独特の香味を作り出すのに必要不可欠なためウィスキー樽に使われる事は有名な話です。材の特性を知り尽くして活かした典型的な例としてよく挙げられます。しかしそのためには先人たちの手によって膨大な試行錯誤が繰り返されたはず。木の最適性を探り出すなんて簡単な事ではありません。

 

20150622 4無数のトライ&エラーを繰り返しながら、苦い失敗を教訓としながら口伝で世代を超え時代を越えて、実践の中からより適性のある木が見極められていったのだと思うのですが、現代ではほぼ確立している木の適性用途。特に四季に恵まれ南北に長く多種多様な樹木の育つ日本においては、地域によって実に深くその適性が見極められています。例えば下駄を例に挙げるならば、軽さや履き心地、耐摩耗性などからキリ、アブラギリ、センニレ、コシアブラ、ノグルミなどなど。

 

4更にそこから技術の研鑚が繰り返され、片足に20~30本の柾目の乗った『糸柾』が極上だとか、並べると左右の下駄目がぴたりと一致する『合目』が最高級と、文化的な価値のあるものまでに高められを我々の暮らしの中に彩りと深みを与えてくれています。そんな事を考えていると眼下には広がる大阪の町が広がってきました。こんな大都会でまがりなりにも私の事を待ってくださっている人がいるという事が、どれほど明日の私の仕事の糧になっていることか。明日に続く・・・




20150621 1さて、弊社にご来店いただいたモート・レイニーハウスの主と、その設計士が企んでいたのはキッチンの壁面につく2段のカウンターの仕上がりの質感について。いい雰囲気のホワイトオークの木目の材を底の中から選ばれてきたので、「今はまだラフ挽きの荒材ですがプレ―ナーでちょいと削ってやれば嘘みたいに美しい表情が出てきますよ」と、私がその場で普通に削ろうとしたら、慌てて二人が揃って私を制して「それは止めて!」「?だってこのままじゃガサガサで使えないでしょう」

 

「いや、そこがいいんです。」「?!」どうやら荒板の表面、側面に深く刻み込まれた帯鋸の鋸目がお気に入りのようで、もう何の加工もせずにこのまま使いたいのだとか。確かに『キング・オブ・フォレスト』と評されるだけあって、ホワイトオークの木目の力強さは数ある広葉樹の中でも第一級。鋸目の豪快過ぎる荒々しさすらもこの木の魅力のひとつと呼んで差支えがないほどにダイナミック。そんな鋸目を落とさずにそのまま取り込みたいというお気持ち、分からないではありません。

 

20150621 3ただカウンターとしての機能性を考えた場合、そこに触るたびにささくれが掌を傷つけてしまっては元も子もありませんので、せめて表面だけはプラーナーをかけさせて下さいと懇願。ただし側面だけはどうしても削る事は許せんという事で、鋸目の上から粗目のサンドペーパーで磨いて仕上げると言う所で妥結。「じゃあ、ちょっと削ってみますね」「くれぐれも削り過ぎないでね」「でもこれぐらいは削らないと・・・」「あ~っ、ストップ!!(おふたり声を揃えて)

 

20150621 4「ええ~?!まだこれじゃあ、触ると危ないですよ〜」「う〜ん・・・じゃあもう少しだけ」「いつもの感覚の80%ぐらいで止めときましょうか?」「いいえ、30%で止めてください(キッパリ)」「30%?!」「恐らくそれでも磨きすぎると思うので注意して磨きすぎないように」ザラザラ・・・「あ~ッ!」ザラザラ・・・「もうダメ~!」なんてその都度質感をチェックしつつも3人の間でコントのような会話が延々と繰り返さるのでありました。面倒くさい?とんでもない、こんなディープなこだわりを持つ施主さん、設計士さんだからこそ弊社のような所にやって来られるのです。こんな時間が楽しいと思えなかったら材木屋なんてやっていませんって!これぞ木フェチ野郎たち至福のひと時。そんなこんなでどうにか無事カウンター完成。その全貌につきましてはまたいずれ~。




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