森のかけら | 大五木材


当ブログに記載の商品の料金、デザインは掲載当時のものであり、
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20160321 1ブランドデザイン等をお願いする少し前に、先行してネーミングは決定していました。ネーミングについては、考えて欲しいとご依頼を受けており、頭をひねらせていただきました。【森のかけら】や『モザイクボード』、『森のしるし』、『木言葉書(きことのはがき)』など自社商品についてはすべて自分で考えてきました。それは昔からそういう名前を考えたりするのが好きだったということもありますが、自分の商品は自分がもっともよく分かっているからという矜持もあるからです。

 

20160321 2私の場合は、作っている商品そのものが、木という伝統的かつシンプルな素材ということもあって、あまり奇をてらった名前とか、突飛な難しい当て字はなるべく避けて、もっと根源的に素材の持ち味や、それを使う意味のようなものから考えるようにしています。汎用性の高い木のモノの場合、いろいろな擬態化させやすいのですが、牛肉という食材の性質上、あまり極端な擬態化はリスクが強すぎます。といって、ただ地域名を冠するだけではその他大勢の中に埋もれてしまうばかり。

 

20160321 3調べてみれば、全国のいろいろな地域で国産和牛のブランド化が進められていて、「神戸ビーフ・松阪牛・近江牛」(または「神戸ビーフ・松阪牛・米沢牛」)というビッグ3を筆頭に、ほぼ1県に1~3件の銘柄が登録されていました。黒毛和牛の代表的なものとしては、 宮城の仙台牛、佐賀の佐賀牛、沖縄の石垣牛、兵庫の但馬牛、京都の京の肉、山形の山形牛、岩手の前沢牛、岐阜の飛騨牛などがあります。いずれも一度は名前ぐらい聞いたことのある一流のビッグネーム。

 

20160321 4一畜産農家が作ったブランドではなく、伝統的に地域で育まれてきた産業としての地盤があるため、地名が関せられて全国発信されるブランドとして名が通っていますが、今回考えているのは一畜産農家が作る商品名なので、地域や地名よりもインパクトがあって、その名前から肥育スタイルや生産者の思いが伝わるものがいいのではと考えました。そう考えたとき思い浮かぶのは、やはり木々に囲まれた自然豊かな肥育環境のこと。そして静かな山々に響く牛の鳴き声。命名、『山の響』(やまのひびき)。




20160320 1高橋畜産の牧場は、家内の実家から車で数分の山の中にあります。もっとも人家があるところも含めて周囲はほとんど山の中。私の実家からでも車で数分の距離ですが、少し山を上ったところにあるため、牧場から見える風景はほぼ山のみ。子供の頃からそういう環境で育ってきたため、それはごく日常の当たり前の、何の違和感もない普通の光景に過ぎないのですが、地元を離れて松山で暮らすようになってから、遊びに連れてきたりした町育ちの友達にとっては異様な光景に映るようです。

 

20160320 2以前にも子供たちが幼かった頃、家内が子供たちの友達を連れて実家に行った時、町育ちの子供たちは、「山の中にプールがある!」(小学校のプール)とか「山しか見えない!」(周囲360℃ほぼ山)などと大騒ぎだったそうです。そうやって改めて指摘されれば確かに、周辺に大きな山とかがないため、緩やかな稜線の山々が折り重なる風景が広がるばかり。材木屋となってことで、余計にその環境の事に考えが及ぶようになりましたが、そうでなければ今でも何も感じなかったかも。

 

20160320 3まあそういう山の中で畜産業を営んでいるわけですが、その牧場に行くには、一本道を覆い隠すように伸びたスギ・ヒノキ林を抜けなければなりません。手入れもされずに放置され、朽ち倒れた痩せた老木が重なり合い、痩せた土や石が剥き出しになり、年々木々の影が伸びて不安を煽るようなその光景は地方の山林の縮図でもあります。なので、牧場に行く際には必ず、林業の今後の姿も同時に考えさせられることになるのです。ですから今回のお手伝いも決して他人事ではないのです。

 

20160320 4肉のブランド化という、いつもとは勝手の違う仕事(お手伝い)ではありますが、汎用性の高い木という素材が、どこかで肉牛と繋がらないとも限りません。そうでなくとも商品化もコンセプトづくりはモノづくりの基本。何からでも何かは得られるもの!それで今回、ブランド化を含めてデザインをお願いしたのは、【森のかけら】でいつもお世話になっているパルスデザインさん。まずは現地を見ていただこうということで、天気のいい日に車を走らせ山の中の牧場へ向かいました。続く・・・




20160319 2私の故郷である愛媛県西予市野村町は、『ミルクとシルクの町』として有名で、古くから畜産と養蚕が栄えてきました。かつて町内には多くの畜産家、養蚕家が存在しましたが、外国製品に押され、徐々にその数も減ってきました。大正初期には1000戸を越える養蚕農家がいたそうですが現在では10戸。それでも高品質なシルク製品は市場でも認められ、伊勢神宮の式年遷宮の御用生糸にもなっているほどなのです。一方、畜産は県下でも有数の畜産地帯として今でも盛んです。

 

20160319 1畜産の中でも酪農は特に有名で、四国カルストの急峻な山々に囲まれた大野ヶ原地区は県下屈指の酪農地帯です。西予市の乳用牛の産出額は、県内市町の中でもダントツの1位で、県全体のほぼ半分を占めています。実は私の家内の実家も畜産業を営んでいるのですが、こちらは牛乳ではなくてお肉になる方の牛の肥育業。和牛を育てる場合、種付けをして仔牛を生ませて育てる繁殖農家と、生後8ヶ月ほど経って市場に出荷された仔牛を買ってきて大きくなるまで育てる肥育農家があります。

 

20160319 3以前にも少し触れましたが、家内の実家は畜産業を営んでいます。苗字がたまたま同じ高橋なのでややこしいですが、家内の実家の『高橋畜産』は肥育農家で、およそ400頭の国産黒毛和牛を肥育していて西予市でも有数の規模を誇っています。お陰様でいつもA4クラスの和牛をいただいて家族で舌鼓を打っております。肉類が苦手な長女ですらも、その肉だけは別格ということでペロリと平らげてしまうほどの美味。現在は家内の弟にあたる長男夫婦が後を継いで頑張っています。

 

20160319 4今度自社肉のブランド化をするということで、いつものご恩返しの意味も込めて少しだけお手伝いを。自分の舌で確認しているので、その味は保証付きなのですが、以前から特別に名称を付けたりしていなかったため、海外からも注目を集めますます激戦化する『国産黒毛和牛』ブランドの中で他社との差別化を図る目的で、ますはネーミングをつけることになりました。【森のかけら】をはじめ自社の商品については私が命名してきたので、牛の世話は無理でもこれなら少しは役に立てるかも・・・続く。




本日は『スモモ(李)』の物語について。中国ではかなり古くから栽培されていたようで、古い諺などにもよく引用されていて、有名なものに「李下に冠を正さず」があります。この場合のスモモは栽培種だと思われますが、諺が出来たのは漢代と言われていますので,既にその時代にはスモモの栽培がされていたことからもスモモと人の付き合いの古さが伺い知れます。霊力があるとされるモモ(桃)と並んで栽培されたようですが、果実とともにその花の美しさも愛でられたのでは。 20160318 1

20160318 2 諺の意味は言うまでもありませんが、「瓜田に履を納れず」と並んで、「賢明な人は事件が起きる前に、あらぬ疑いを抱かれるような立場に身を置くことはしない。」という戒めですが、こういう言葉があるということは、実際にスモモの木の下で曲がった冠をかぶり直してスモモ泥棒と間違われた事件や、瓜畑で靴を履き直していて瓜泥棒に間違われた事件もあったのかも。戒めの対象として諺に残るぐらいなので、それぐらいスモモもポピュラーで人気のある果実だったのかもしれません。

他にも中国ではスモモが使われた諺に「道傍の苦李(どうぼうのくり」というものがあります。四文字で「道傍苦李」とも表わされます。昔、王戒が七歳の時に友達たちと一緒に通りかかった道端にスモモの実がたわわに実っていました。友達たちは争って実を取りましたが、王はまったく無関心であったそうです。そこで人々が不思議に思いその理由を尋ねると、道端にあってしかも実が沢山なっているから多分美味しくない、苦いスモモでしょうと答えた事に由来しています 20160318 3

20160318 4 そこから、「人々から顧みられない事。人から見捨てられ、見向きもされない物事の例え。」に使われるのですが、こちらは道端にあってたわわに実っていたということから野生種だったのかもしれません。中国においても本来の目的は果実にありますが、材は緻密で耐朽性もよいことから、彫刻や農具などに利用されこともあるとか。そう考えれば、苦いからと人から見向きもされなくとも、決して役に立たないわけではないという事。ならば尚更活用を進め「道傍の甘い李」を目指そう!




話はブラックバスからスモモ(李)に戻します。サンタ・ローザの幹や枝をいただいてから数日後に、「スモモの木、もう1本伐ったよ」とのご連絡がありました。早速取りに伺わせていただきました。今度は「大石早生(おおいしわせ)」とい品種。明治時代に海を越えて、後に逆輸入されたサンタ・ローザは、日本で更に手が加えられて改良され「大石早生」や「月光」などの品種に発展したということで、福島の大石さんが育成した大石早生は現在日本で一番多く栽培されている品種。 20160317 1

20160317 2 近くて栽培されていることもあって、食べ頃になるとどこからかおすそ分けが舞い込んできて、毎年美味しくいただいているのですが、こうして名前の由来などを知ると、これからスモモを見る目を変わってきそうです。大石早生の旬は7月中旬ということなのでそれまで覚えておかねば。この大石早生には「キング・オブ・早生品種」の別名もあるとか。ちなみに「キング・オブ・フォレスト(森の王様)」は言わずもがなですが『ホワイトオーク』。

さて、材としてもスモモについてですが、サンタローザと大石早生と合わせて実に軽トラック2台分ぐらいの幹、枝を分けていただきました。これだけあれば、全部を35㎜角の【森のかけら】に加工したとしたら、向こう10年どころか一生「スモモのかけら」では苦労することもないと思われます。樹齢だと30年そこそこということで幹回りは大きくても300㎜前後で、「かけら」を取るには十分な大きさなのですが、小枝までいただきましたので「かけら」以外のも作りたい。 20160317 3

20160317 4 とりあえず大きなサイズのものは芯で割って荒加工して、重しを載せて天然乾燥させるわけですが、それでも結構な量を確保できました。小口から見ると『モモ』のような複雑で濃厚な赤~橙褐色。これから少なくとも半年は乾かしますので、半年後にどれぐらいねじれや暴れが抑えられるかが勝負ですが、当然『スモモのりんご』は作りたいと思います。分かりにくいでしょうが、『森のりんご』仕様のスモモという事。スモモの材をまざまざと見た人も少ないと思いますが驚くほど緻密




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