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先日のブログで少しだけブラジルの至宝『ブラジリアンローズウッド』の事に触れましたが、この木には、『ハカランダ』、『ジャカランダ』というも名前もあって、ギターマニアの間ではこちらの名前の方が馴染み深いという方も多いようです。ブラジル・アマゾン河の支流ハカランダ河流域に生息する事からハカランダ(Jacaranda=英語読みはジャカランダ)とも呼ばれています。楽器以外にもビリヤードのキューや高級家具、キャビネット、彫刻や木彫などにも珍重されています。
このブラジリアンローズウッド、ブラジル政府が絶滅危惧種として法規制し、1992年にはワシントン条約 (CITES) の附属書Ⅰに掲載され、大規模な輸出規制が行われました。その事がこの木の希少性と神話性を高める結果となり、価格が暴騰することになりました。無いと分かれば欲しくなるのが心情。ワシントン条約により、この木の輸出入は厳しく管理されているものの、国内でまだまだ条約締結以前に輸入した材を持っているところもあって、魚心あれば水心水心・・・・
その後ブラジルでは保護活動が活発となり、ブラジル国内では絶命危惧種の指定が解除されているのですが、ワシントン条約のレッドリストには登録されたまま。そこには希少で入手が困難だからこそ生まれる価値というものがあって、いくらでも簡単に手に入るという事になれば価値が暴落してしまうのは必然で、そうなっては困るという力が働いているようにも思えてしまうのですが・・・。ところで、弊社の倉庫の中にもわすかに数本ながら、そのブラジルの至宝が眠っています。
偶然この木を手にできたのは10数年以上も前のこと。探していたというわけではなく、買い付けに行っていた某銘木屋さんの巨大な倉庫の中でたまたま見つけて、執拗におねだりをして分けていただいたものです。需要があって買ったというわけではなく、やっぱりそれだけの木ですから小さくとも実物を置いておきたいという気持ちでした。なので今後もこれらは販売する気はないのですが、こういう感情が強くなってきてしまうと、あれもこれも売れない(売らない)病気に・・・。
今にして思えば若気の至り(既に若くもなかったですが)というか恐ろしいことを考えていたなあと思うのが、ブラジリアン・ローズウッドを『森のかけら・プレミア36』にも入れてみようかという事で、ネームシールまで作っていたのでした。その後、プレミア36に入れるレアな木が確保できたこと、冷静になって考えればそれがあまりに無謀すぎる事だと気がついて、一歩手前で幻と終わったのも今では懐かしい思い出。もはやこのシールが世に出ることはないと思われますが・・・。
うちの娘は長女も次女も学校の部活ではバドミントンをしていますが、自宅でも練習したいということで、会社の裏(自宅前)にバドミントンコートを作ることに。作るといってもアスファルトの上にペンキで白線を書くだけのことなのですが、これが思っていた以上にハードな仕事でした。たまたまこの数か月、木材にペンキを塗って故意に傷をつけて古く見せる「エイジング加工」の仕事の依頼が複数方面から舞い込んでいたりしたものですから、白ペンキがあったことが運の尽き。
まあ、部活も頑張っているから(次女は市の大会で上位に入賞)ご褒美の意味も込めて、また父の威厳を見せておくためにも、サラッと作ってやるかと思って始めたのですが・・・テレビや娘の試合で見たバドミントンのコート、思っていた以上に広い!練習に使うなら、実際のコートのサイズに合わせて作ってないと感覚がおかしくなるからと、なるべく正確に作ろうということで、次女と計測。縦13.4m☓横6.1m、縦は通し柱2本強、横は通し柱1本分か・・・職業的サイズ感。
丁寧に作ってやろうという思いはありながらも、早く練習したいという娘の要望に焦らされて、しかも俯きながらの作業で立ちくらみと戦いつつ、作業すること数時間。普段は加工してサンダーで仕上げられた材にクリアの植物性オイルを塗って、乾燥後には毛羽立ちを#600のサンドペーパーで磨き上げて仕上げるような細かな作業をしていのですが、アスファルトって木材のように塗装のノリがよくないので、思うようにペンキも塗れずに次第にイライラ。直線も曲がる、曲がる!
コート半面書くのに1時間近くもかかり、後の体力・気力のことを考えて、後半は丁寧・緻密な仕事は通常の材木販売の仕事に譲ることにして、大胆かつスピーディに仕上ることに。それで何とか日が落ちる前に完成。速乾性のペンキを使っていたこともあって、作業後1時間ぐらいでペンキも乾いたので、早速練習開始。駐車場や資材置き場としても使っているので、ネットがある対のエアーネットになりますが、発注元からは仕事への姿勢も含めて満足だとの高評価をいただきました。
何のために製材機にもかけれないようなこんな半端なサイズの丸太を持っているのかというと、弊社の小さな帯鋸でもこれぐらいのサイズだと割り返せるので、乾かしておいて必要サイズに合わせて製材するのです。【森のかけら】や『モザイクボード』などサイズが決まったものについては、材が入荷した直後にそれらの用途に合わせて加工して乾かせるのですが、用途未定のものは丸太のまま保管しておくこともあります。そんな丸太の中でこのごつごつした樹皮をつけているのがホオの木。 |
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美しき「棘」ホンジュラスローズ②
ホンジュラスローズの話の続きです。ローズウッド、その名前から優美で麗しく高貴な貴婦人のようなイメージを抱かれるかもしれませんが、製材したり加工するときには、身に着けた香水のあまりのけばさに辟易するほど。素材がいいんだからそんなにどぎつい香水をふりかけなくとも十分でしょうと忠告したくなるほど強烈な匂いで、思わずよろめきそうになることもあります。何も気にならないという人もいらっしゃるので、多分個人的な相性の問題だと思うのですがちょっと苦手。 |
そういう時には、「美しいものには棘がある」の言葉を噛み締めながら、加工後に現れてくるであろう優美で麗しきお姿を妄想するのです。さて、ローズウッドは非常に仲間の多い木で、私も全然把握できていません。建築や家具の分野においてはほとんど馴染みの無い木ですから(ローズを使うような高級家具の世界は弊社とは別物)、実際に使用した例も少なく、当社の場合は【森のかけらプレミア36】や小さなクラフトの分野に限られています。 |
その用途の有名なものとしては楽器があります。同じローズウッドでも、ブラジル・アマゾン河支流ハカランダ河流域に生息することから『ハカランダ』の別名もあるブラジルの至宝『ブラジリアン・ローズウッド』は、その中でも最高級材として知られ、ギターマニアにとって垂涎の的。楽器と家具、用途は違っても同じ木材なんだからよく知ってるだろうと思われるかもしれませんが、楽器に使う木材というのは通常の材木屋とはまったく別の特別なルートがあり私どもは門外漢。 |
それより実際にそれで音色を奏でる演奏者の方の方がはるかに詳しく、樹種の違いによる音色の違いなど、製材機の近くで作業していてだんだん難聴の傾向にある材木屋にとっては分かろうはずもありません。なので迂闊にこの分野の事を語ろうものなら、そちらの分野の方から厳しいご指摘が舞い込むのは必至!これから少しずつ学んでいきたいと思いますが、弊社にあるローズウッドはいずれも楽器に使えるような大トロではないので、今後も小さな「かけら」の世界の中で展開していきます。 |
わずか35㎜の「かけら」の中においてさえもローズウッドは存在感を示します。特に小口面の手触りの滑らかさは特筆もので、いつまでもいつまでも触っていたくなるほど。また木目が複雑に交錯した時に現れる複雑緻密な杢は優雅で、それは小さな端材からでも十分に伝わってきます。小さな端材においては、辺材の白身もいいコントラストになってローズの赤を引き立ててくれます。ただし、耳の部分はそげらが立ちやすく、刺さると痛さは半端ないので注意!美しいものには棘がある・・・。 |
いろいろありましてようやく本命に辿り着きました。ホンジュラスといえば、そう『森の宝石』とも呼ばれるホンジュラスローズ!もし、【森のかけら】を作っていなかったら今でも巡り合うことはなかった樹のひとつだと思います。それぐらい通常の材木屋の業務では縁の無い木。たまたま市場に転がってたから、ちょっと気まぐれで買ってみては的な感じでは手に入らない木でして、こちらが強く意識して覚悟を持って買いに臨まねばならない木です(少なくとも私にとっては)。 |
私が初めてホンジュラスローズを手にしたのは、【森のかけら】に着手する1,2年前のことなので、もう10年近く前の話になるでしょうか。一般的にはなかなか入手しずらいレアで特徴のある個性的な樹でプレミアム36(あくまでも私の独断と偏見によるプレミア基準!)を作ろうという構想があったのですが、果たしてそれが集められるかどうかということで全国各地の情報を収集し、少しずつプレミアな材を揃えていく工程で、偶然ホンジュラスローズとの出会いもあったのです。 |
端材職人としては、少々のことであれば活かす手口は持っているものの、なかなかどうしてそんな私の手に余すようなところもあって、かけらを取るのさえひと苦労。いや、思い切って大胆に木取りすれば取れるのは取れるのですが、そこは貧乏性な性分と、端材職人としての意地もあります。モスキートコーストで未開のジャングルと格闘したハリソン・フォードよろしくここは私も格闘せねば!と妄想を巡らせながら、大割れや曲がり、虫穴、青染み等との格闘が始まるのです。続く・・・ |
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