森のかけら | 大五木材


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20150526 1溢れているのは小物ばかりではなくて、本業である木材の方も同様。高級銘木や長尺のカウンター材が所狭しと溢れかえっているとでもいうならたいしたものですが、そうではありません。いつかきっと日の目を浴びるであろうといった遺物のような木材の端材から、既に完全にブームは終わったものの「歴史は繰り返す」待ちな回顧的な装飾品、ただで分けてもらった街路樹(を割り返した木材)、廃業された家具屋さんの家具パーツ等々。見返すだけ何屋なのか分からなくなる・・・。

 

 さすがにこのままでは近所にある「なんでも売ります買います」ショップに同化してしまいそうなので、一念発起して倉庫整理。狭い倉庫ではあるものの、親の仇とばかりに奥へ奥へと詰め込んでいて、しかもそれが前後左右に複雑に交錯しているため、一番奥のモノを引っ張り出すには、パズルを紐解くように考えながらの非効率な作業が続きます。そしたら奥の方から懐かしいものがゾロゾロと出てきました。大工さんが手刻みをされていた頃に使われていた尺杖(しゃくずえ)

 

尺竿(しゃくざお)とも言ったりしますが、木材を刻む際に使う大きなモノサシの事です。その尺杖が奥の方から何本も何本も・・・。まだプレカットが定着する前の時代(20年以上も前の事)、作業場を持たない大工さんは材木屋の軒下を借りて材を刻むというのが一般的でした。狭い弊社の土場にも、ピーク時には5組もの大工さんが入られていて、刻み加工が行われていました。独りで黙々と刻む人もいれば、親子や弟子で作業される大工さんもいて、往時はかなりの賑わいでした。

 

 そんな大工さんが仕事に来られる初日にまず求められるのが尺杖、何はなくとも尺杖!大工さんによってさまざまでしたが、胴縁や野縁サイズで、モノサシにするわけですからなるべく節の無い、そして曲がりの無い素性のよい木が求められます。それに大工さんが自分の使い勝手のよいように削って、墨で目盛りを刻んで完成。初日は尺杖作ったら終わり、とか言って後は雑談でもして明日の仕事の英気を養うなんて言うようなのどかで余裕のある時代でした。今とは随分時間の流れも違ってました。

 

 今では手刻みする大工さんもすっかり減ってしまいました。当然手刻みにこだわる大工さんもいらっしゃいますが、そんな男気溢れる大工さんは当然自前の作業場も構えられていらっしゃるので、弊社で作業されることはありません。リフォーム等で作業場を使われることはあるものの、尺杖の求められる事はほぼなくなりました。今はむしろノギス(100分の5㎜単位まで精密に測定する測定器)で、小物のミリ単位を計っています。20年経ってモノサシの大きさだいぶ変わりました(笑)。




森のかけら】に代表されるように多様な種類の木を使って商品開発するのが弊社の持ち味なのですが、種類が多いと『欠品』が発生するという宿命がついて回ります。それは単に樹種だけにとどまらず、次々にいろいろな商品を作っていると、(生みの親としてはあってはならない事なのですが)すっかりその存在を忘れてしまっている事もあるのです。存在すら忘れていたということは、当然在庫の把握もあやふや。そういう商品に限って皮肉にも、注文が入ったりするものなのです。

 

本当は、在庫状況も逐一ホームページの商品紹介コーナーに最新情報の更新をしなければならないのですが、これも商品をむやみやたらに作り上げてしまった反動で、ほとんど更新が追いついておらず、注文したのに在庫がないのか~!とお叱りを受ける日々。先日も久しぶりに『円い森』にお問い合わせが入り、慌てて事務所の二階で在庫を確認。1つの商品が完成すると、無性に数十種類の木で揃えたくなってしまうため、それぞれの商品につき膨大な在庫が埋め尽くしています。

 

新しい商品ができると嬉しさのあまり、売れるかどうかも考えずについ作りすぎてしまうので、新商品が出来るたびに在庫が急増してしまい、さすがに最近は必要最小限の在庫しかしないようにしているのですが、小心者の私としては、また『欠品不安症候群』が発病しまいかと、山のような在庫を前にしてすらも不安がいっぱいなのです。更に悪いことに、それで飽き性だということもあって、出来た商品を辛抱強く売っていく事が出来ず、次々と新しいことに目移りしてしまうのです。

 

だから、【森のかけら】なんて私の中では信じられないくらい賞味期限の長い商品なのです。それは、種類こそ240種と多いものの、ただの35㎜角であるというシンプルさゆえに飽きがきにくかったということと、お陰様で定期的にご注文が入るため、存在を忘れるという事がないからかもしれませんが・・・。まあ、そういう反省もあって、このあたりで昔に作った商品で、あまり動いていないモノについては、不本意ながら特別価格でのセールをして整理をしていこうかと考えております。




本日も『廻縁』の話。造作材の切り込み隊長的な役割を果たしてきた廻縁ですが、無垢材から集成材に移行して数年が経過。新しい部材が使われるようになる背景には、住宅の仕様変更という現場事情に合わせて、供給メーカーの出現や安定した流通システムの確立などがあります。機動力のある集成材メーカーの奮闘よって、一時は完全に無垢から廻縁市場を奪った集成材でしたが、供給の切れ目が縁の切れ目。相次ぐ集成材メーカーの倒産などによって、供給安定に翳りが見え始めると・・・

 

20160524 2もう一度無垢に戻ってくると思うのは早計で、和室の減少から廻縁そのものが不要になり、更に塩ビシートなどの登場により、廻縁というポジションそのものが無くなることに。かつては材木屋の忙しさのバロメーターとも呼ばれた廻縁でしたが、その名を伝票に書くことが無くなって久しい。これはあくまでも弊社及び弊社周辺における廻縁の変遷であって全国的な話ではありませんので誤解なきよう。という事で、弊社の倉庫の中にも、かつて売れ筋であった廻縁たちが沢山残ったまま。

 

舞台を失った部材はもはやいくら値段を下げようが売れません。しかも丸身が付いていたりするものですから、他の部材への転用も効きにくく、不本意ながら長らく倉庫の中で埃をかぶっておりました。それが先日思わぬ注文が舞い込みまして、丁度この丸身のある廻縁が対応できる用途だったもので、ここぞとばかりに値段を下げてお使いいただくことに。廻縁であれば、8帖の部屋でも4mモノが4本あれば足りるのですが、格子材に使われるという事で、一気に大量の廻縁が出ることに。

 

丸身の付いた廻縁の丸身を落として角材に加工すると格子材に変身。昔からの習慣で、その名前の付いた材はその名前の用途として売らなければならないという呪縛があったものですが、最近はこうしてどんどんと別の用途に生まれ変わって倉庫から巣立っています。これなんかまだ建築関係材の範疇ですが、まったく別の用途になって、しかもそちら側で売る方が数倍も高い値段で売れたりすることもあって、いままでいかに非建築材分野で木を売ることに怠慢であったか反省するばかりなのです




家を建てる材料の中に、天井と壁の取り合いに用いられる部材に『廻縁(まわりぶち)』と呼ばれる造作材があります。言葉で説明するよりも実物の写真を見れば、「ああ、あれか」と理解されると思います。私がこの業界に入った頃は、松山においては廻縁といえば圧倒的にヒノキが主流で、借家などだとスギ、あるいは米栂(ウエスタン・ヘムロック)でした。そしてそれは1軒の家には必ず使われるモノであって、私たち材木屋にとっても廻縁は重要なマストアイテムの1つでした

 

全国的にどうなのかは分かりませんが、私などは材木製品市場においてもセリの始まり、つまりセリの露払いは廻縁という認識でいたほど、なければならない部材で、当然弊社でも毎回市場では仕入れて在庫を買い足さなければならず、それなりに在庫も抱えておりました。サイズでいうと、松山周辺で多かったのは45✕45㎜、あるいは40✕50㎜、大きくて立派な家だと45✕55㎜か60✕60㎜なども使ったもので、それぞれに3m、4mがあるわけなので結構な数になります。

 

20160523 3更にその品質においては、丸身が無い「特一(等)」あるいは「テッキリ」、少し丸身の付いている「上一(等)」あるいは「ちょい丸(身)」、大きな丸身のある「二等」あるいは「オオマルミ(大丸身)」など、マストアイテムゆえにその仕様も多岐にわたり、わずかな形状の差によって価格差がつけられていました。セリを見ていても、A材木屋は高くてもいつもテッキリ狙い、B材木店は安い二等狙いなどと、仕入れる廻縁によってそれぞれの材木屋の個性が見えてくるほどでした。

 

仕入れてきても常に動いていた廻縁ですが、徐々にその立ち位置にも変化が見られるようになりました。弊社においては、まず最初の変化は、無垢材から集成材への移行でした。狂わない、反らない、そして加工の必要がないという特徴(実際には仕様によっては反りなども出るのですが、ここでは割愛)を備えた集成材が、タフな外来種がデリケートな在来種を駆逐するがごとき勢いで勢力を拡大し、あっという間に市民権を獲得。無垢から集成材になれど廻縁のマストアイテムの座は揺るがず。しかし・・・続く。




20160524 1以前にも触れていましたが、最近テーブルやカウンターなどに一枚板を使いたいという方が増えて、弊社にご来店される方が増えています。一枚板となると、特にその木目や表情、形状、耳の具合な非常に重要な選択要素となるため、ご自分の目でご確認して納得していただくようにしています。ただし小さな倉庫しか持っていない材木屋なものですから、アポイントも無しに突然ご来店いただいても、そういう一枚板をすぐにお見せできるわけではないので、必ず事前のご予約をお願いしています。

 

20160524 2最近ご注文が増えてきたとはいっても、一枚板の耳付きのテーブルや4mを越すような店舗のカウンターなどの大物が毎日飛ぶように売れるというわけではありません。ですので、足が早いとはとは言えない大物につきましては、保管スペースの事情からも、倉庫の奥の方へ詰め込まざるを得ません。それで、実物を見てみたいというご予約が入れば、ご来店いただく日時を決めてそれまでに倉庫の奥から引っ張り出して、該当するようなサイズ、樹種の木を何枚か並べてご覧いただく事になります。

 

20160524 3それで先日も倉庫の奥から引っ張り出すのですが、なにせ小さな倉庫ゆえにその前に積み上げられた材の数も半端ではなくて、古いものだと軽く10年を越え牢名主のような材もあったりして、まずは台帳でその存在が確認できた材の捜査から始まります。埃をン払い、懐中電灯で照らし、よいうやく発見に至った暁には、本格的な「救出」開始。前方に気まぐれに積まれた材をどかしてどかしてスペースを切り開いていくのですが、全体が狭いので出した材ですぐに土場が溢れ返ります。

 

20160524 4でも大きな土場があればなんて考えません。こんな私の場合、どうせ大きな土場があってもそれなりに使ってしまうので結局木材ジャングルの規模が大きくなるだけだからとの自覚がありますので。それでどうにかこうにか目的の材を引っ張り出して、何年ぶりかに「再会」したりして感慨にふけったりするですが、えてしてそういう材は最終的に候補から落ちてしまうもの。でも空振りに終わってもいいんです。時々こういう作業を通じて、材の存在とコンディションを確認することも大事

 

20160524 5そして、お前の事を忘れてなんかないぞ!と、(自分自身にも)強く言い聞かせて、『飾るために仕入れたのではなく、売るために仕入れたのだ!』という事を、体と心に言い聞かせ自覚させるのです。忘れっぽい私はこのような「儀式」を常に繰り返し行っていないと、同じサイズの同じ木をまた買ってしまう。金額が金額なので、今週発売の週刊誌を2回買ってしまったというわけにはいきませんので。嗚呼、なんのかんのと理由をつけながら結局自分が楽しんでいるだけなのです・・・。




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