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最近、木材の関係の会合の他にも、いろいろな処に顔を突っ込んでいるので、集まって話をしたり、飲んだり、飲んだり・・・する機会が多いのですが、そういう時によく利用させていただいているのが、松山市内の繁華街にある『居酒屋・なが坂』さんです。100人以上が入れるほど大きなお店で、奥に広い座敷があるので大人数の時にはとても助かります。年を食っていくとやはり畳の上で盃を傾けたくなります。店内にも木材がふんだんに使われています。そうです、その木材を弊社が・・・という訳ではありません。残念ながらこちらのお店には木材を納品させていただいてはいないのですが、オーナーとご縁があってよく利用させていただいています。こちらのお店の前に、二番町で『代官町別邸・橙(だいだい)』というお店を開店されました。もう5,6年(もっと前かな?)も前の事です。その時に縁があって、こちらのお店には内装の材料など1式を納品させていただく事になりました。オーナーの長坂さんとも、その時が初めての出会いでした。
工務店さんのご紹介でお会いした時は、随分若い方が経営されるのだなという印象でした。長坂さん自身まだまだお若いうえに、どちらかというと童顔で当時は大学生ぐらいに見えたものです。その時に、ご自分でも古民家を解体された材をストックされていたので、カウンターやテーブルなど使える部分には古材を使い、不足する部材を加工・納品させていただきました。お店は、三越の西側で私達が学生の頃、ディスコがあった場所で、地下に潜っていく造りです。工事の最初の頃は照明灯が心細く、足元の不安定な地下に潜っていくのですが、洞窟の中に入っていくような独特の雰囲気でした。
次第に階段ができ、床が貼られ、壁が立ち上がり、内装が出来ていきます。我々木材屋はこういう店舗の場合、土台や柱などの初期の構造材を納品する時には、まだ何も出来てなくて、内装材を般入する頃は短い納期のため、多くの業者が入り乱れ混乱しており、のんびり店内に立ち入れるような状況ではありません。最後に、使っていただいた木の写真でも撮らせていただこうかなと思ったら、検査、手直し、備品搬入、開店準備と慌しく、気がついたら開店していたというパターンが多いです。しかし、『橙』さんに携わった時は、取り付け物も多かったのでかなり頻繁に長時間、現場に滞在しましたので、店舗が出来上がっていく工程をじっくり見させていただきました。
ひとつのお店でこれだけ色々な種類の木を使わせていただいたのも初めてでしたし、壁材、階段材、テーブルの天板、造作材などいろいろな加工もさせていただき相当勉強になりました。その当時はまだ店舗の内装を植物性油で塗装するお店はなかったと思いますが、オーナーのご理解が深く、全ての無垢のテーブル、カウンターを植物性油で塗装させていただきました。正直まだ弊社にも塗装のノウハウが少なく、試行錯誤の中の挑戦でした。住宅で無垢材を使う経験は豊富にありましたが、人の出入りが激しく、手入れの頻度も高く、照明や冷暖房など、無垢材に過酷ともいえる厳しい環境でどこまで持ちこたえられるのか、かなり不安や心配もありました。案の定、いろいろな問題も生じました。こちらに不安があるのですから、さぞやオーナーも不安だったと思います。メンテナンスにも何度も何度も足を運ばせていただきました。その後、十数回も飲みにも行かせていただきましたが、メンテではそれ以上伺いました。昼はメンテ、夜はお客さんで、という事も何度かありました。
東京で有名な飲食店をデザインされる設計士さんの造りは、私達が見ても斬新でかなり話題にもなりました。京都のおばんざいのような料理も新鮮で、いろいろな意味で刺激を受けました。料理も独創的で美味しく、お客さんも引っ切り無しで大繁盛!このお店の成功を元に、数年後『居酒屋なが坂』も開店されました。そういう意味でもオーナーは勿論でしょうが、私にとっても『橙』は忘れる事のできない思いで深いお店の1つです。今ここに、『橙』がオープンした時に配られた宣伝物のひとつがありますが、いまだに何だか捨てられません。『男だって初めての女を忘れられない』なんて映画の宣伝コピーがありましたが、『業者だって忘れられない思い出深い現場』があります。長く深く関わらせていただき、それがご縁でオーナーとも親しくお付き合いさせていただくようになりました。曲がりなりにも関わらせていただいたお店が繁盛していて、そこで自分が収めたカウンターの上でおいしいお酒を飲ませていただける、材木屋にとってこれ以上の醍醐味はありません。
最近の我々の会合は、大人数で集まり大声で長時間話をするため、他の方のご迷惑にならないように広くて間仕切りのある『なが坂』さんの方を利用させていただいております。『橙』さんは、少々お洒落すぎて我々おじさんには不釣合いになってきたという事もありますが・・・。いつものように飲食店の紹介をさせていただきながら、ほとんど食事の事に触れないというのは、筆才不足という事でご容赦いただきたいと思います。どうぞご自分の舌でお確かめ下さい。味は保障いたします!内装の木材については、また日を改めていずれ。
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