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今月はいろいろは樹種をご提案させていただいたのですが、加工して現場に取り付けられて、養生も解けて晴れて現場写真に納まるのは数ヶ月先になりますので、いずれまとめてブログでもアップさせていただきます。中には建築・住宅分野ではマイナーな木もたくさんあります。恐らくこちらも、その分野ではほとんど活用されていないであろう木「クロガネモチ」。その端材を磨いて、壁面の壁掛けにご提案。クロガネモチは、「苦労が無い」+「金持ち」に通じる事から、縁起の良い木として庭木にもよく植えられます。
結構大きなクロガネモチの端材の部分で、いい形の材が取れましたので、樹皮を剥いで磨く事にしました。クロガネモチはモチノキと同様に、樹皮から鳥モチを作ることが出来る木です。樹皮を集めて水に浸らせて、臼などでつき砕いてゴム状の粘着質の鳥モチが出来ます。伐採後時間が経つと、樹皮が乾燥して硬くなりポロリと剥げ落ちるのですが、そこまで待ち切れないので一部はグラインダーで久削り落とす事にしました。さすがに鳥モチが取れる木だけあって、これがなかなか手強い・・・!
樹皮もネットリしていて、グラインダーで削り落ちた粉末にも独特に匂いが!更に屈(かが)んで作業をしているとものの数分で額から顔からボタボタと大粒の汗がクロガネモチの上に滴り落ちます。その水分を吸収して途端にクロガネモチが粘りを帯びてきて、結構な(!)匂いが喉から侵入。汗にまみれた木粉が作業ズボンに付着すると、これがネットリして簡単には拭き取れません。染料にも使われるだけあって、紺色の作業ズボンの上に、みるみるうちに緑色の染みが点々と・・・!
クロガネモチの樹皮でこれほど手を焼くとは思ってもいませんでした。しかし、厚い樹皮を剥ぎ落とすと、身は堅くしまっていてサンダーで磨くと触感も滑らかです。植物性油で塗装すると、やや赤褐色を帯びた色合いで、広葉樹らしい雰囲気を醸し出します。エッジの具合も丁度よい加減で、1本の木をカットしている共木ですので並べると木目が揃います。これを壁掛けとして壁面に取り付けていただきます。当然施主さんから「クロガネモチ」という樹種の指定があったわけではありませんが、形の面白さと、「苦労が無い」+「金持ち」のエピソードを寛容に受け止めていただきました。小さな部材ですが、室内ではしっかり個性を発揮して家族の皆様を楽しませてくれることだと思います。施工後の画像は後ほどご紹介させていただきます。それでは、次のオーダーの調理に取り掛からせていただきます
先月今月と、新築の住居での無垢材の提案が増えています。天井材、壁材やフローリングなどの内装材をはじめ、カウンターやテーブル、手摺りや枠材など多岐にわたる用途で、無垢材を利用していただきありがたい限りです。弊社の事務所2階で内装材の提案を始めた10数年前は、どうやって新建材から無垢材に切り替えてもらうかが最大の命題でした。個人の大工さんはごく普通に無垢材を使用していましたが、桧、杉、松など地元でスタンダードな樹種以外にはかなりの抵抗感がありました。
一方、設計士さんやハウスメーカー、工務店さんは、まだまだ無垢材を使う事に対して腰が引けていました。やはり反る、曲がる、歪むなどの無垢材の特徴に過剰に反応していた部分もあったでしょうし、無垢材を提供する立場からの説明不足もあったと思います。説明しても理解してもらえないのではという諦めがあったというよりは単純に努力不足だったと反省しています。時代が変わったという言い方をする方もいますが、それは単なる逃げ口上でしょう。最近の施主さんの理解度の高さにはこちらが舌を巻くほどです。
しっかり説明さえすれば、きちんと理解もしてもらえるし無垢材を使う覚悟も持ってもらえます。そのうえで、ここにも無垢を使いたい、出来ればここも無垢にしたい等の逆提案をいただく事もしばしば。ただ何でもどこにでもという訳には行きませんので、そこはそれぞれの樹種の特徴をお伝えして、在庫のサイズとの微調整を図りながら適材適所にご提案をさせていただいています。最近は、大きな材だけでなく、ちょっとした出窓のカウンターやニッチの棚材、壁のワンポイントなどに無垢を使いたい旨の要望が激増しています。
右に少し曲がっていて、ここにちょっとコブがあって、カーブの大きさがこれぐらいで、ここでこれぐらいの穴が抜けていて・・・変わった材木屋に来られお客様は、変わったご注文が多うございます。それも当然の事。だからといって、こちらも何でも言う事を聴くわけでもありません(キッパリ)!相手は自然素材です、作れるものならどうにでもできるでしょうが、無いものは無いっ!ただそれでは偏屈屋の名がすたりますので、無いものは無い・・・けれど、ある物の中からご希望の材に近づける努力は惜しみません。では明日は実践篇!
猛暑の始まる少し前に、我が家に『鉄と木のブランコ』がやって来ました。アンティークな雰囲気漂うシンプルでキュートな鉄製のブランコです、座面には「米栂」が使われています。うちの子供たちであれば、ちょうどふたり並んで座れるぐらいの大きさです。足元を安定させるため、メッキ塗装した杭を打ってはいますが、移動させる事も可能です。うちの子供たちだけでなく、遊びに来た近所の子どもたちにも大人気です。ホームセンターなどでは、カラフルな色のポップな感じのブランコも売っていますが、我が家にはこれがよく似合います。この郷愁そそるブランコを製作しているのは、鉄の吟遊詩人こと「ツヨニー工房」改め、「さびさびくらふと」の西山 毅さん。鋼の鉄を遊び心の熱で柔らかく溶かして、オモシロイモノを続々に作り出していきます。何気ない鉄の塊に命を吹き込み、新たな命を宿らせるその技は、ある意味で錬金術師のようでもあります。
まったく雰囲気は違えども、鉄も木も同じ自然素材という同じ根を持つものですから、遠くて近い存在なのかもしれません。無垢の天板にアイアンの脚がうまく馴染むのもそのためでしょう。以前には、キッチンカウンターのL型のブラケットも製作してもらいましたが、遊び心に溢れたその仕上がり具合にお施主様も大満足!私自身が鉄に対する知識が薄く、相性の良さは分かっていながらも今まで「木と鉄」のコラボに消極的でした。これから同じ自然素材との共生をもっと考えてみます。
西山さんは鉄を使ってさまざまなモノを作り出されていますが、小さなエイリアンのような造型のこの小動物などは私のお気に入りです。じゃあ、買え!と言われそうですが、こういうモノは1個でも集め始めるとコレクター魂に火をつけてしまうのが目に見えているので、手を出さないようにしています。この中で私のイチ押しは、画像の右端付近で軽快なステップを踏む「イカ星人」のような生き物、いや鉄モノ。いかん、ひとつ集めるとブレーキが効かなくなりそうです。
このブランコは、「さびさびくらふと」さんのホームページで通販もされているので、ご興味ある方は是非覗いてみてください。今なら感謝セールで20%オフになっていますのでお買い得です!それにしても、人はなぜ「揺れる」事でこれほど心地良く感じるのでしょう。自分の力で大地を蹴って振れるその推進力にブランコとの一体感を感じずにはいられません。ほんのわずかな時間だけですが、重力に逆らう楽しみに心が解き放たれるのでしょうか?娘達にとって格好の遊び道具になったようで弾けてます!これぐらいの事ではビクともしません。さすがは錬金術師!風の仲間入りが出来る「アルプスの少女ハイジ」のようなスーパーブランコから、このキコキコとした揺らぎを楽しむブランコまで、ブランコは偉大です、自由です。自分で地面を蹴ってキコキコ揺れて、風を受けないと人のココロにも何かが滞留してくるのかもしれません。
一昨日のブログで、本棚とビーチとの相性が良いのは、深いドラマがあるのですがそれは明日のお楽しみ!と謳っておきながら、その事をすっかり忘れておりました。如何に勢いだけで書いているかという事の実証です・・・。1日遅れになりましたが、本日こそはその話をさせていただきます。太古の昔、鉄器を手にするようになった人類は木の棒や小片に文字を書いて占いなどをするようになりました。それぞれ地域で、その地に生育する木を使い、占いの内容に合わせてさまざまな木が使われたそうです。
その中には当然、色目が淡白で肌が精な「ビーチ」も使われていました。かつて魔法の文字と見なされ、ゲンルマン民族の間で使われていた「ルーン文字」が、8世紀頃に言葉や文字を形成する「記号としてのアルファベット」に変化しました。占いや礼拝などに使われていた神聖なシンボルは記号と化し、その後多くの民族の間で使われるようになりました。「文字」を意味する英語の「レター/Letters」は、ラテン語の「リッテラ/Littera」から来ていますが、ドイツ語では「ブーフシュターベン/Buchstaben」といいます。それを英訳すると、「ビーチスティック/Beechsticks」となります。訳すると「ビーチの棒」という意味です。その後、文字を記したビーチの薄い板を束ねて、大切な知識を保存する巻物のようなものが生まれます。つまり、それが「ブック/Book(本)」になったというのです。
太古の昔より、ブックとビーチには切っても切れない深い関わりがあったのです。ゲルマン民族をはじめとすヨーロッパ人にとって、ビーチは建築や家具としての材を与えてくれる森の恵みとしてだけではなく、知恵や文化を育んでくれる側面もあったのです。またビーチの実は昔から、たんぱく質を豊富に含む貴重な食料としての役割も果たしてきました。海外でそれほど(文化的にも)高い評価を受けてきた木が、日本においては「木で無い」とまで卑下され「橅」という漢字まであてられたブナですが、もしかしたらその裏に隠されたエピソードがあるのではないかと考えております。木に深い造詣と愛情を持って接してきた我らが先人達の見識が、それだけではあまりにも狭いような気がするのです。何か秘められたサイド・ストーリーの影がちらついて仕方が無いのです・・・。
それはさておき、そういう訳ですから「ビーチと本棚」の相性が良くて当たり前!本来のあるべき姿に落ち着いたとも言えるのです。そう考えれば、ビーチ独特の胡麻塩模様がアルファベットのくずし字のようにも見えてきたりして・・・?単純に「材」として人間の暮らしに関わってきた木と、知恵や文化を育んできた木とでは歴史の重みが違う?いえいえ、ほんの少しだけ身が詰まっていて比重が高いだけです。人間の文化が始まるずっとずっと前から、ビーチは姿を変えてはいませんから。これからは、「本棚にはビーチを」!
最新の『適材適所NO.157』で(こういう言い方をしないと、最近翌月にずれ込むのが確信犯的になっているので、O月号が最新なのか分からくなりそうなので・・・)、『赤橅(レッドビーチ)、降臨(きたりて)』というタイトルで「赤身の強いグルジア産のビーチ」について書かせていただきました。いずれ完成したらアップさせていただくつもりですが、このレッド・ビーチを店舗の床材として大量に使っていただいております。こちらが入荷したレッドビーチの挽き板です。
今まで弊社で扱わせていただいた白身の強い『白橅(ホワイトビーチ)』に比べたら、やや癖はありますが、その分個性があるとも言えます。これからTPOに合わせてうまく使い分けていただきたいと思っています。この2つのビーチは、それぞれが違う種類の木ではなくて、ビーチの色合いの濃淡で呼び分けているだけです。これも地域性や扱い商品のルートの問題で、どちらの色合いのビーチが主流かで主役の座が決まってしまうのだと思います。弊社でも今まではほとんどが淡白な白橅(ホワイトビーチ)でした。
とはいえ、ビーチはクリア塗装すると(植物製オイルでも)少し黄身色っぽい色合いに変化するので、その時点で純粋な意味での「雪化粧のような白美」は損なわれてしまうのですが・・・。それでも美白を求められる方には、石鹸成分のソープフイ二ッシュがお勧めです。しかし、そういう捉え方も人それぞれで、少し黄色身が差すことで経年変化のような味わいを利用できる事もあります。本日、『白橅(ホワイトビーチ)』の本棚を収めさせていただたお宅は、数年前に建てられたお家で、本棚を設置する部屋の周辺の桧の柱は、経年変化でいい感じに日焼けしていました。そこに真新しい色合いの本棚が付くと、妙に浮き上がってしまうのですが、植物性オイルを塗ったお陰で、黄身色を帯びたビーチは、うまく桧の経年変化に溶け込みました。まるで何年もそこに佇んでいて、時間の衣を身にまとったかのようにすっかり馴染んだ感があります。恐らくいい感じに馴染むと想像していたのですが、予想以上にうまく収まりました。
施工はいつものウッドワークかずとよさんから、善家君と馬越君の若手ふたりが来てくれました。歳は若くても、今までこなしてきた無垢材の種類はかなり豊富で、その仕事ぶりにも安心感が出てきました。職人さんの中には過去に使った事のない樹種には極力手を出さない方針の方もいらっしゃいますが、弊社の場合は否応無しに多品種を加工していただく事になりますので、自然と樹種数の経験は増えていくこととなります。
私としては自分に技術があるわけではないので実際に木を加工していただく、職人さん達により多くの樹種を触れて、その性質や特徴を身を持って感じていただきたいのです。その経験は、私が施主さんに提案する時の大きな指針になります。この木だと水廻りには不適だとか、逆目が出やすいからサンダー仕上げが向いているとか、乾燥していても収縮の可能性が強いとか、結局木とうまく付き合うには自らの体験しかないと思います。若くともそういう体験や修羅場をくぐってきているふたりのお陰で、今回もきっちり収まりました。幅木から天井一杯まで一分の隙も無く綺麗に収まると、それは本棚というよりは壁面収納。壁面の雰囲気もガラリと変わります。本棚とビーチとの相性が良いのは、美白の色合いだけではないのです。実はこの組み合わせには深いドラマがあるのですが、この話はまた明日・・・。
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