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「カラスザンショウ」もこれから【かけら】に加工仕上げる予定です。サンショウには幾つか仲間があって、サンショウが食用としてよく利用されるのに対して、山野に自生しまったく利用されず役に立たないという意味でイヌザンショウとかノラザンショウなどと卑下された名前を与えられたものもあります。このカラスザンショウ(鴉山椒)も、カラスが好んで木の実を食べる事から、「若芽は人は食べぬが獣なら食うかもしれないと軽蔑した意味で」命名されたものです。
悪意があるとかないとかという事よりも、材の特徴をしっかり見極めて、その違いを明確に言い表わしているという事のいう事の方に驚きを覚えます。辞典や図鑑の無い時代の事ですから、実際に食したり使ってみてその特性を見抜いていたのでしょうが、中にはイチイのように毒性を帯びたものもありますから、命がけだったといっても過言ではないでしょう。しかしそのネーミング・センスの良さには感嘆します。今ならさしずめ『グッドネーミング大賞』ものでしょう。
漢字だけを見ると、大山方面に向かっていた事もあって、大山(だいせん)に生育していた「椒」の匂いのする生き物で『大山椒魚』なんてうがった見方もしてしまうほど。かつてまだ国の天然記念物に指定される(1952年)前は、山口県などでは珍味として食されていたとか。腹を裂くと山椒の匂いがプンとし、かつてかの美食家・魯山人もお気に入りだったという記述まで残っているそうです。肉食性で昆虫から蛙や小魚、ザリガニやエビまで動くものなら何でも丸呑みにするとか!
あのずんぐりむっくりした体型からは想像も出来ませんが、仲間同士で共食いする事もあるほど食欲は旺盛だそうです。それでどうして山椒の香りがするのか不思議です。もしや水面に落ちた山椒の葉でも食しているのではなんて思ったりしたのですが、どこにもそういう記述は見当たりませんでした。しかし、四肢があるグロテスクともいえる風貌ですから、最初に食した人はさぞ驚いた事でしょう。本来、醜美は背中合わせの一対であり、香りのマントに身を包んでいるものなのかもしれません
岩屋の中で成長してしまい、頭が出口につかえて出られなくなってしまった山椒魚の悲哀。子供の頃、よく巨大な構造物に閉じ込められて出られなくなる悪夢を見て怯えていましたが、家族とも会えなくなり独り岩屋に閉じ込めれ、そこで生涯を過ごさなければならなくなった山椒魚の運命が潜在意識に刷り込まれたのかもしれません。この山椒魚は、現在体長90cm、体重6㎏と表示されていました。以前もっと大きいものがいたように思うのですが、何代か入れ替わっているのでしょうか。
その平均寿命は50年という事ですが、その発生は2億年前に遡る『生きた化石』でもあります。『山椒魚』という不思議な名前も、体の匂いが山椒に似ているからという事です。山椒そのものは、ミカン科サンショウ属の落葉広葉樹です。「椒」という文字には芳しいという意味がある事からこの名がついていますが、木よりも食材としての葉の方が有名でしょう。別名の『ハジカミ』は、山椒の古名であり、その実が弾(ハジ)ける事と、韮(ニラ)の古名の「辛味」を意味する「カミ」が合わさったものだそうです。
ちなみに英語名はJapanese pepper。材は黄色でエピソードも多い木なのですが、大きくなってもせいぜい3、4mmぐらいの低木で幹も細く、材としては流通していません。大きくなるものもあるのかもしれませんが、用材として大きなサンショウは見た事がありません。材としての用途は器具材やステッキなどがあります。また材から出る滲出物(しんしゅつぶつ)が魚毒を消す効果があるとかで「スリコギ」としても珍重されています。枝に棘がありますが、中には棘の無い栽培品種もあるようです。
『サンショウ』のかけらは持ち合わせていませんが、ある意味もっとレアなこちら、『カラスザンショウ』はかけら用の材料を確保しております!私自身、【森のかけら】を作り始めるまで、その名を聞いた事もありませんでした。それがあるあやしげな極秘ルート(!)を通じて入手する事が出来ました。ただ、その時には既に【森のかけら240+】のリストも解説書も完成しておりましたし、その後の供給も見込めませんでしたので、逢えて【森のかけら】には加えることはしませんでした。幻の【日本のかけら】です。
週末は、2年に1度のミセスホーム㈱さんの業社会・ミスター会研修旅行。不思議と島根にご縁があるようで、住宅会社の研修旅行らしく、出雲大社~石見銀山~三瓶小豆原埋没林コース。意識しているわけではないのですが、この数年は年に1、2度島根に縁付いています。しかもコースもほぼ同じ・・・。いろいろ見所はありますし、毎回同じ顔ぶれで訪れているわけではありませんので、何度訪れてもそれなりに楽しいものです。自分自身の興味の対象も歳とともに随分変わってきました。
かつては業社会の旅行も派手に行われていましたが、最近すっかり少なくなりました。およそ20名の参加者ですが、気心知れたメンバーなので余計な気遣いもないのが楽。時にはこういう「非日常」がいい気分転換になります。さて今回は神話の国・島根をいつもとは違う角度からマニアックに観て来ました。初めて島根に来た時は、見るもの聞くものがすべて新鮮でしたが、4度も5度も来ていると、何か違うところを見つけねばという義務感に襲われます(勝手に)。
初日は、一気に蒜山高原まで移動して昼食。蒜山高原センターには、オオサンショウウオが飼われていて間近で観る事が出来るのですが、生憎の雨で「おいしい」写真が撮れず。そもそもサンショウウオは夜行性ですので致し方ありません。ここ真庭地方には特別天然記念物・オオサンショウウオが生息していて、この辺りでは、体を半分に引き裂かれても生きているので、「ハンザキ(半裂き)」とも呼ばれるそうです。まあ「ハンザキ」とは残酷なネーミングでありますが生命力の神秘も感じます。
私とサンショウウオの出会いは、学校の理科の授業で「世界最大の両生類」として習う以前の小説『山椒魚』です。子どもの頃から本好きだった私は、よく本だけは読んでおりました(当時、国語の教科書に載っていたかどうかは覚えていないのですが・・・)。「山椒魚は悲しんだ。」で始まるあまりにも有名な井伏鱒二氏㊧の小説ですが、1985年の末文の改変論争は話題になりました。私は改変以前の作品の印象で記憶しているので、ここで飼われる山椒魚にもなにやら同様の悲哀を感じてしまいます・・・。
この荒涼とした赤土の大地は、ジョン・カーターがタイムスリップして辿り着いた惑星バルスーム・・・ではありません。生き物の存在をすべて否定するような乾ききった、まるで瓦礫のような赤き大地の正体は・・・実はこれアフリカ産のマメ科の木『ブビンガ』の表面なのです。もっと引っ張ってもよかったんですが、いつも前口上が長いので今回は手短に・・・。大太鼓の胴にも使われるブビンガは非常に重厚で硬い材です。通常こんな形に朽ちることは考えられません。触るとポロポロと崩れ落ちるほど。
実はこれは保存状態が悪く、ちょうどこの部分に長期間雨の水滴が落ちて、材を穿った結果なのです。ちなみにこのブビンガは私が仕入れた後でこうなったのではなく、この状態を知ったうえである事情があって購入したものです。当然この部分は朽ちて使えませんがそこ以外は充分使えます。長いカウンターなどには不向きですが、小割りして使うには磐石の乾燥具合。ここまで水滴が硬材を穿つには相当長い年月を要したものと思われます。1年や2年でこうはなりません。恐らく5、6年以上・・・。
水滴に穿たれ陽に照らされさぞ過酷な運命を辿ってきたことでしょう。乾ききって水分が搾り取られひび割れたこの姿はあまりに痛々しい・・・。何とか使える部分はギリギリまで使うように木取りします。建築材や家具しかしていなければ、きっとゴミのように扱われたこのブビンガも、長さをカットして幅をつまえて小さく割ってやれば充分使えます。端が朽ちているからといってすべてが死んでいるわけではありません。照明の具合で別物のように見えるかもしれませんが、右半分はまだまだ健康!
こういうコンディションのブビンガはいくらかあって、以前に【森のかけら】に加工したものがこちら。元の材は4m以上もありましたので、随分と小さな姿になってしまいましたが、それでもどっこい生きている!大きなモノはなるべく大きく使う事が大原則ではありますが、あまり鉄則にこだわりすぎるとその利用価値を高める事の足かせになる場合もあります。何事も適度のバランスが大切です。いろいろな引き出し(出口)があればこそ、このブビンガが生かせたわけですが、そんな出会いになにやら因縁めいたものすら感じてしまうのです。
昨日の事務所の大掃除&改修工事の続きですが、【森のかけら】コーナーも2階のショールーム(もはやその機能を発揮する場は、木のおもちゃに占有されつつありますが・・・)から、めでたく1階に移転させていただきました。【森のかけら】は、それぞれの樹種ごとに仕上げて、検品してネームシールを貼って在庫しています。その在庫量は樹種ごとにさまざま。人気があってよく出るものはすぐに在庫がなくなり、マイナーなものは一向に在庫が減っていきません。
適時適量加工がいちばんの理想ですが、あくまで端材ベースの商品ですから、そううまい具合にいくわけではありません。まあよく出来たもので、在庫が少ない樹種は端材も少ない、端材が山のように出てくる材は完成品も溢れるほどあります。端材との邂逅も「一期一会」、機会を逸せば縁遠くなるものです。そんな事ばかり考えているから、在庫を作りすぎてしまうのですが・・・。その在庫は、各樹種10個ずつ収められる棚に保管してあります。ここで数が減れば、籠からストックを補充していきます。
【世界のかけら】については、常に9割がた揃っている状態で、ストックホルダーもほぼ満杯。もともと大き目の端材が取れる事もあって、正直輸入材は端材も含めて安定しています。これが【日本のかけら】となると、常に3、4割が「欠品」または「あと数個」状態!欠品の危機感は常に持っているものの、端材をベースにしているため、端材を生み出す主役の出番が来なければ材の確保が難しいのです。国産材の場合、レアな材は素材も小さくて『かけら』といえども簡単には取れないものなのです。
かといって指をくわえて待っていても、特殊な材にそうそう「出番(注文)」は巡ってきません。そうなると自分で出番をつくってやるしか方法はありません。自ら特殊な材を使うような商品作りが命題となるのですが、結局そこでも多品種が揃うというコンセプトに徹してしまうため(もはやかけら呪縛!)、そのステージでも不足する樹種が発生してしまうという「かけらパラドックス」!しかしそれが苦痛となればもはや作る意義がなくなります。『足らずを知る』のも楽しみにすれば、これまた面白き哉。
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