森のかけら | 大五木材


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昨日、子供たちの通う高校の校庭で『アコウ』との出会いの話をしましたが、今日はそのアコウに関する少し怖い話。アコウの英語名は、『Banyan Tree』(バニヤンツリー)と言いますが、そのBanuyan(バニヤン)はインドが原産で、当地では『ベンガル菩提樹』などとも呼ばれるように宗教上の聖木として東南アジアに広く植えられています。しかしその一方でこの木にはもうひとつの『絞め殺しの木』という恐ろしい俗名があります。その名前の由来は、この奇妙な姿の木の成り立ちに関わっているのです。

バニヤンの果実を食べたサルやコウモリ、トリなどの動物たちによって、森の中に育つ他の木の上に運ばれ、そこで糞とともに排泄され発芽します。そしてまずは宿り木として生活を始めます。樹上から気根を垂らして成長し、気根が地面に届くと本格的に成長し、幹が太くなり、宿主である木に巻きついて養分を得るのです。やがて宿主の木を覆いつくし、自分の方が大きくなると、その姿が木を絞め殺しているように見えることから『絞め殺しの木』の名前がつきました。遂には無数に伸びた気根が、「1本が林に見える」ほどに成長。

普通の木に反して上から下に向かって成長する性質や、気根が宿主にまとわりついた異様な姿から、バニヤンの木には夜叉神が宿るという古代信仰があり、その果実は怪しげな呪術、妖術などにも使われたそうです。同じクワ科のガジュマルも『絞め殺しの木』と呼ばれ、宿り木も種類は多いものの、宿主そのものを本当に絞め殺してしまう例は他にないとか。奄美大島でも、アコウの木には赤毛の妖怪が棲んでいるという伝説があるなど、洋の東西を問わず妖しげな伝承には事欠かないのですが、その姿を見ればそれも納得。

同じ絞め殺しの木の仲間でも大きなものになると、樹どころか建物までも飲み込んでしまうほどに巨大化するものもあって、アンコールワットの遺跡群を押しつぶさんばかりに成長したガジュマルは畏怖すら超えてもはや映画のセットのような造りもの感が漂うほど。いずれこれらの貴重なクメール王朝の遺跡もガジュマルによって破壊されていくのでしょうが、もしこれが日本だったら遺跡を守るためにガジュマルを伐ろうなんて言い出す愚かな輩も出てきそうで怖い。絞め殺しの木に絞め殺されるのも自然の摂理で、そこに良いも悪いもない。

そんな絞め殺しの木ですが、四国や九州ではアコウの大木が国の天然記念物にも指定されています。四国だと、愛媛の伊方町佐田岬の『三崎のアコウ』、高知の土佐清水市の松尾神社松尾のアコウ』、いずれも自生のアコウがあります。ちなみに愛媛の佐田岬と佐賀県の唐津市が自生するアコウの北限だそうです。その異形から『タコの足』とも呼ばれていますが、文字通り宿主に巻きつく姿は、獲物に吸盤で吸い付き圧死させるタコのようでもあります。こうなると『毒りんご』の上をいく『キラーツリー』としてまた別の魅力が見えてくる!




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