森のかけら | 大五木材


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全国のさまざまな木のモノをを見たり、木の話をするのはとっても楽しいのですが、今回はあくまでも出展者として来ているので数件回ったのちに正気を取り戻して自分の持ち場へ。正面ステージから向かって北海道、東北、と南へ向かって順に地域別にカテゴライズされていて、愛媛ブースの周辺は四国・近畿なのですが、対面に見えるのは奈良県ブース。OO森林組合とかOO材木店といったプレートが掲げられているの中で、そこには『黒滝村』というシンプルなプレートが掲げられているだけ。奈良県黒滝村・・・そうです、あの御大の村!

少し前のある休日に何気にテレビをつけたら、お笑い芸人のサンドイッチマンが、秘境路線のバスに乗って次の飲食店を見つけるまでは帰らないという番組をやっていて、奈良県が舞台でした。かなり山深い場所らしくてなかなか飲食店が見つからないようでした。私も田舎の生まれですが、ここは相当山奥だと思って観てたら、バスがたまたま道路沿いにある材木屋さんの前を通ったので、ちょっと立ち寄ってみようということになったのですが、なんとそこが御大の『徳田銘木』だったのでビックリ!あまりにタイミングが良すぎたので仕込みだったのかもしれませんが(笑)

まあ何はともあれそのお蔭で徳田銘木さんのお店の様子などを伺い知ることが出来ました。その日はたまたま御大は不在という事でしたが、建築番組ではないこういうPRも面白いと感じました(本当に飛び込みだったのかもしれませんが、それにしても宣伝効果は抜群だったのでは!)。その際にバスは黒滝村を巡っていたので、妙な親近感も湧いていましたし、なにより目の前なのにご挨拶も無しというわけにはいきません。どこでご縁が繋がるかなんて分りませんし、という腹黒い計算も多少はありますが(笑)

出展されていたのは、黒滝村役場の皆さんで、地元で作られた林産物などを展示されていましたがその中でも目を引いたのが、サンドブラストを使った『吉野杉透かし彫り』。知り合いがサンドブラストの機械を持っているので、その精緻な能力は知っていましたが、スギの板に施しているのは初めて見ました。しかも台木となるのが吉野で育った、俗に『糸柾』と呼ばれるような均質で見事な線状美を持つ目込みの柾目の杉だけに、仕上がりは実に上品で優雅。レーザー彫りとはまた違った風合いがあります。

作業工程をお聞きしたら、一旦板にテープを貼ってから、透かしたいデザインの部分だけテープを切り抜いて、そこにサンドブラストで軟らかい夏目部分を透かし抜くのだそうです。最後に残ったテープを剥がして完成という事なのでレーザー以上に手間はかかりますが、焦げないというには最大の強みです。他人の芝生の青さを羨むよりも手元にあるものをどう活かすか。とりわけスギやヒノキといったベーシックな素材は味付けが相当難しい。ネタで勝負するか、技術で勝負するか、全国各地それぞれのスタイルが見えてとても勉強になります!




埼玉県ブースでサワラの話を聞いた後は山梨県のブースへ移動。今回のモクコレでどうしてもお会いしておきたかったのが、こちらの山梨県の『㈱モック犬橋』の佐藤智秀社長。山梨県東部道志村で国産材にこだわって愛らしい小物を販売されていて、大五木材の『木のもの屋・森羅』が開設した時からずっとお世話になっています。耳かき、根付、マグネット、押しピン、ストラップ、キーホルダー、クリップスタンドなど、それらに動物や魚、果物などをあしらった商品のアイテム数は驚異的!

手軽な値段で購入できるので子どもたちにも大人気で、弊社のイベントでも必須アイテムで、イベントでたまに私が店番していると、「シリーズで買い揃えているのだけど今日はOOはないの?」と尋ねられるほどに固定ファンもいるほどに売れ筋商品です。こう見えても実は私はこういう可愛い系の動物モノとかも好物でして、お気に入りはトライノシシ。とにかく加工が精緻で、それを手作りで仕上げて着色までされているのですから相当に根気がなければ出来ません。こちらの商品を前にしたら、弊社の『端材のものづくり』なんてまだまだ甘いと恥ずかしくなります。

モック犬橋さんの商品については、『木のもの屋・森羅』で家内が扱わせていただいているのですが、仕入れのやり取りの際に時々私も電話を手にすることがあるので、お声はよくお聞きしているので馴染みはあるものの実際にお会いするのは初めて。電話でのお話しぶりや丁寧に作られた商品を見ればおおよそ想像はついていましたがその通りの穏やかなお人柄。作るモノに人柄は表れるといいますが、まさにその言葉通り。お会いして、業態は違えどもものづくりの姿勢はもっと考えなばならないと痛感させられました。

いつもニコニコしながら仕事をすることだけが「仕事を楽しんでいる」というわけではありませんが、納期に追われ、コスト削減に躍起になっているとつい眉間に皺も寄って、大好きだったはずの木の仕事が少し苦痛に感じたりすることもあったりして、自分が選んだ道なのにと、自分が情けなくなることがあります。それぞれの立場で思い悩む事は違うとは思いますが、佐藤社長の商品を見てブースに戻って自社の商品を見ると、『商品が必死に肩肘張って無理してる』ように見えて木に対して申し訳ない気持ちになりました。商品は作り手の心を映す鏡・・・佐藤社長、ありがとうございました。




宮城県の次は山梨県ブースにご挨拶。と思ったらお目当ての方のブースは大人気でお客さんが絶えなくてなかなかタイミングが合わず。そしたらちょうどその前が埼玉県のブースで、そちらの方がお声をかけてくださったので、それならばこの機会に、少し前に書いたばかりの『埼玉のサワラ』についてお話を伺わせていただくことに。その時に【森のかけら】用にサワラの端材を分けていただいていた製材所さんの名前を失念してしまい、「あの・・・飯能辺りでサワラを挽かれている」と言ったら「それなら岡部材木店さんだ」とすぐに名前が出ました。

飯能でサワラといったらすぐ分ると仰っていたので相当有名なんですね~さすがです。その岡部材木店さんは出展されていませんでしたが、埼玉県行田市の島崎木材さんが『秩父の大滝サワラ』を出展されていたのでそちらでお話を伺いました。関東の方は地理に疎くて大滝という地名も知らなかったのですが、大滝とはかつて埼玉県最西端にあった大滝村のことで、現在は平成の大合併で秩父市となっていますが、旧村域全体が秩父多摩国立公園に指定されていて埼玉の自治体の中では最も広い面積を誇った地域だったようです。

 

そんな大滝の森で育ったサワラが、『秩父の大滝サワラ』なのだそうです。島崎木材さんは、自社で直接原木を買い付けして加工されているそうで、当日もサワラのフローリングを展示されていました。サワラというとかなり軟らかい印象があって床材よりは壁材に提案することが多いのですが、愛媛だといくら軟らかくても問題なしとされる『ヒノキ信仰』があるように、埼玉でもサワラに対しては地元の方はかなり寛容なのでしょうか。サワラの場合は後からジワッとヤニが滲み出してくるので【森のかけら】でもその対応に手を焼いています。

それは地元でも同様らしく、縁の周りにヤニが滲み出た桶をサンプルとして展示されていました。サワラだけでなくヒノキも仕上げた後長期間放置しておくとヤニが滲み出すこともあります。お酢や消毒用のアルコールなどで拭き取れば表面のねとつきは取れるものの、黄色くなった変色は残ってしまいます。しかし油分が多いからこそ耐湿性が高いわけですからそれも甘んじて受け止めなければならないと思うのです。木は人間に都合のいいように出来ているわけではなくて、人間が利用させてもらっているのですから、否定から入らずに特性を理解するのが最低限の礼儀だと思います。




モクコレ自体は10時から開会なのですが、その前に他のブースを見て回っておこうと思うのはいずこも同じで早速弊社のブースに足を止めていただいたのが、宮城県登米町森林組合さん。オンラインショップで全国に小物を販売させていただいているお蔭で、実際に行った事もないのに伝票の上だけの妄想全国旅行を日々楽しんでいるので、地名を聞く(見る)だけで妙に親近感が湧きます。ちょうど少し前にも宮城県登米町の方が端材をご購入いただいたので登米町という住所を書いたばかりなので勝手にご縁を感じていました。

今回は【森のかけら・日本の100】文を展示させていたのですが、東北にはないような木材に興味を示していただきました。【森の5かけら】でテーマを考えるためにとにかくいろいろと調べ物をしているのですが、各県の県木などは必須アイテム。宮城県の県木は『ケヤキ(欅)』なのですが、いかにわずかな隙間であろうとも、きっかけさえ掴めばそこから強引に手を突っ込んで思いっきり広げて相手の中に飛び込んでいいて話を無理やり広げていく「蟻の一穴作戦」はお手の物!すっかり打ち解けてお話を聞いていただきました。

ならば今度はこちらがブースにお邪魔させていただくというのが礼儀。現在、宮城県登米町森林組合さんがもっとも力を入れられているのが、地元のクヌギを使った内装材。小幅のクヌギの板を繋げて作ったテーブルと乱尺サイズのクヌギのフローリングが展示されていましたが素晴らしい出来栄え。クヌギの重硬な質感そのままによくぞここまでの商品にしたものだと感心するばかり。クヌギは大きくなると芯から放射状に大きなひび割れが走ったり乾燥工程で激しくねじれたり暴れるため取り扱いが非常に難しい素材です。

しかし一方で、とてもタフな木でもあり少々の環境汚染でもビクともすることなく耐えて力強く成長していく逞しい木でもあります。以前の出口のひとつであった『椎茸栽培の榾木』としても利用されなくなったクヌギは山中で秘かに巨大化していて、その用途の開発が求められている木でもあります。【森のかけら】にする小さなサイズのクヌギですら、加重をかけていてもねじくれたり割れたりしてなかなか取れなくて苦労しているのですから、それを内装材にするとなるといかに大変な事なのか想像を絶します。

愛媛や九州などでもその研究はされていて、商品化は出来ているとも聞きますが、そこから先の価格という大問題が大きく立ちはだかっています。歩留まりが絶望的に悪いためどうしても、他の樹種と比べるとリーズナブルな商品とはいきません。しかし、だからこそそこにクヌギの内装材の生きる道もある!品質や精度を越えた別のモノサシでクヌギをはかっていかねばならないと思うし、そこに共感してくれる人も世の中には絶対いる。ブランド椎茸を持つ愛媛だって事情は同じ。苦労を抜いてくれる苦(ク)抜(ヌギ)の事をもっとしっかり学んで語りたくなりました




日本海側の木材業界地図がよく分らないのですが、木青連での出向の経験や金沢とのつながりから、石川を中心に周辺の福井富山などとも多少はお付き合いがあります。とはいっても頻繁に大型トラックで材料が行き来するというような商売ベースではなくて、マニアックな情報交換が主たる『かけらルート』ですが。そういう流れでおつき合いが深まったのが福井県。『森のかけらの福井代理店』であるエンドウ建材圓道君は今回は参加していませんでしたが、その圓道君の親友である多田君の会社・中西木材さんは『ふくい県産材販路拡大協議会』チームの一員としてご参加。

石川しかり、そのやって協議会としてまとまってブースを作っている地域も沢山ありましたが、福井は石川のようにブランド材こそ無いものの、『恐竜』という無敵のコンテンツを持っているのでそこが強い!もしも愛媛が恐竜の有名な発掘地であったまらば、木とコラボさせて商品出しまくるんだけどな~と思ったりしますが、愛媛の場合それが「道後温泉」であり「坊ちゃん」であり「ミカン」であったりするだけで、結局誰もが使い倒す手垢にまみれたコンテンツになってしまうわけでやっぱり邪道にはけもの道しか行く道はないのであります。

しかし、数年前に行った福井の恐竜博物館は朝一番から並んだ甲斐あって大満足で恐竜を堪能しました。それでも最後のミュージアムショップで販売されていた(私が勝手にライバル視している人の)商品を見て嫉妬して、こういう場所にも置いていただけるような商品(「恐竜のかけら」とか「ジュラシックウッドの何とか」とか)を開発せねばと心に誓ったものです。その誓いも自宅に帰り付くころにはすっかり砂に埋もれてしまったのでなた掘り起こして火をつけねばなりません。福井ブースを見たたらそんな事を思い起こしました。

その後、自分のブースに戻っていたら福井の木材関係の女性の方が訪れていただきました。名刺を切らされていたらしく名前をお聞きしたのですがのでちょっと失念して申し訳ありません。中西木材さんから「愛媛に変態がいるから行ってごらんなさい」という事でご紹介を受けたもので・・・と朗らかに笑って来られたのですが、それに私はどう返せばいい?まあ、その光栄なる紹介に恥じないようにたっぷりと粘質的な木材トークをさせていただきましたが、通じたかどうか?恐竜もいいけど木の変態トークもね!果てしなく続く・・・




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