森のかけら | 大五木材


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弊社が仕入れたのはハンカチーフではなくて木綿の触感を持つカツラの木です。その素朴な触感がテーブルなどとしても人気なのですが、もうひとつカツラが好まれる舞台が、『木言葉書などのレーザー彫字の素材として。レーザーで文字を彫るようになってさまざまな木で試してきましたが、中でも抜群に相性がいいのがカツラ。彫っ部分が真っ黒に焦げる事から、小さな文字でもとても鮮明でレーザー映えのする木なのです。また温もりのある木綿の触感も手によく馴染むのです。

ずっと前に東北産のカツラの耳付き板をまとめて仕入れていたのですが、出口がよく分からないままに興味本位だけで購入したため、長い間倉庫の中で席を温めてくれていました。その後、(あくまでも弊社内部での話)レーザー彫字素材という出口が確立されて以来、何千枚、何万枚というカツラのストラップ、木札が旅立っていきました。それでいよいよ在庫にも底が見えてきたので、いずれその責を負ってもらうべく仕入れたのが、北海道は旭川産のカツラの耳付き板なのです。

ただしこちらは旭川で原木を丸太挽きしたもので、松山に運んでから乾かせるつもりで仕入れたので実際に使うのは恐らく早くても1年後ぐらい。すぐに必要としているわけではないので、それで十分間に合いのですが、カツラは乾燥しやすい木でもあるので、桟積みしておくだけでもドンドン乾いていきます。乾燥が進むと、端に巻いた鉄帯が次第に緩んできて、もう既にユルユル。通常は鉄切鋏でバシャーンと切断するのですが、緩んでしまうとその必要もなし。乾燥の目安になります。

このカツラの木を使った出口の1つに『木言葉書(きことのはがき)』があります。改めて商品の説明をしますと、ハガキサイズにカットして磨いた木に、木言葉やそれぞれの木にまつわるエピソードなどをレーザーで彫ったもので、92円切手を貼ればハガキとして使うこともできます。カツラをはじめ現在10種の木がありますが、入学祝や結婚、出産、引越し、転職、記念日など人生のいろいろな場面で使えるように設定しています。

ちなみにカツラは、『永遠のムーンツリー』ということで、結婚する友人・知人に贈るという設定。「桂の木言葉は「不変」。日本固有の種、人間の体温にいちばん近くて温かい桂の手触りは木綿のごとし。葉っぱの形はロマンチックなハート型。月には巨大な桂の木があり、その盛衰によって月の満ち欠けが決まるという伝説もあるほど月との関わりも深い。満月のような愛情が変わらずに永遠に続くことを願っています」の言葉が彫ってあります。月との関係については『今日のかけら』をご覧下さい。

 




建築用材としては、愛媛ではあまり馴染みの薄い『カツラ(桂)』の木ですが、弊社では日頃から大変お世話になっている木のひとつです。「カツラは木綿の肌触り」という言葉がありますが、カツラは仕上げ加工しても触るとちょっとザラザラゴワゴワした木綿のような独特の触感があります。木綿の対義語として使われる「絹糸」の触感を持つ代表格の木にトチ(栃)がありますが、そちらはまさにサラサラツルツル。その2つの木を並べて触り比べてみると、その差は歴然としています。

こちらがカツラとトチを並べてアップで撮った写真。画像だと質感までは伝わらないかもしれませんが、雰囲気の違いぐらいは分かっていただけると思います。トチには縮み杢など木目の変化が出やすく表情も豊かで、いつまでもいつまでも触っていたくなるようなそのツルツルした触感に心が持って行かれそうになりますが、カツラの少しザラットしながらも心が落ち着くような感触も捨てがたいのです。なにせ『人間の体温にもっとも近い』とも表現される手触りに安心感が漂います。

木綿の肌触り・・・「木綿」という言葉を聞くと、太田裕美さんの「木綿のハンカチーフ」という曲を思い浮かべるのは昭和世代(ちなみに1975年の曲です)。作曲:筒美京平、作詞:松本隆という黄金コンビが作った大ヒット曲で、東京に旅立つ男性と地方に残る女性との遠距離恋愛を、視点が入れ替わりながら進行するという斬新にして抒情溢れる名曲です。4番まである長い歌なのですが、その4番の最後に女性が未練を断ち切るように男性にねだるのが木綿のハンカチーフです。

当時は「ぼく」、「あなた」と視点がクルクル変わる構成の意味も、木綿のハンカチーフがどういうものなのかも分からなかったのですが、ハンカチーフなんて独特の言い回しがオシャレっぽく感じて口ずさんでいたものです。この歳になると、木綿という素材にまで言及した歌詞の奥深さが心に響きます。シルクでもリネン(麻)でも無い木綿という素材を選んだのは彼女の心の純真さ、素朴さなのか、普段使いで浸透性のよい木綿を「私という過去」と見立ててたのか、何とも切ない曲です。続く・・・




りんごの病気?

カタツムリが這うような歩みながら少しずつ、1個ずつ手元から消えていく『森のりんご』。売れてこその商品ではありながらも、多樹種収集フェチとしては、レアな木が「消失」していくことはとても辛くて悲しかったりもするもの。売りたいのか、売りたくないか!?非常に珍しくて鮮やかな木を見ていると、自分でもよく分からなくなることがあります。せめてもの救いはそれが原料たる木そのものせはなく、そこから派生して出来た木のモノであるということ。五十歩百歩・・・。

 

そのアンビバレントな衝動は【森のかけら】についてだって同じように起こるのですが、結構な量のストックがあり、まだサイズ的にも補充がききやすく、700セット(総個数で考えれば5万個を越える)もの「かけら」が私の(気持の)中を通過したことで、それなりの耐性が身についたため、さすがに売れることの喜びや感謝の気持ちの方が大きいものの、かけらよりもひと回り大きなサイズが必要となり、それなりに珍しい木を使って作っている『森のりんご』についてはまだ抗体が出来ず。

 

あくまでも私目線ながら、比較的硬質で世界中のレアな木を集めたプレミアのかけらの新しい出口として作り始めた『森のりんご』なのですが、加工が出来て事務所に届いて箱を開封するときのドキドキする気持ちはいまも変わらず。形が球体ということもあって、杢目の表情も1個1個実に個性的で、自分で材を用意しておきながら言うのも何なんですが、出来上がったりんごの形に生まれ変わったそれらは、素材の段階よりもはるかに鮮烈で美しいばかりの輝きを放っているのです。

20160324 4嗚呼、これにオイルを垂らしたら一体どれほど美しくなるのだろうか・・・硬質で滑らかなりのごを掌で転がせながら私の妄想は膨らむばかり。もともと個性軍団の集まりであるプレミアウッドですが、緋色やピンク、まっ黄色、漆黒、縞柄など綺羅星のごとき派手なスターたちが集いし箱は、童謡の世界の中に舞い込んだがごとく私を魅了します。自分の商品をそこまで恥ずかしくもなく褒めるものかと思われるでしょうが、褒めているのではない、惚れてしまっているのです・・・病気!




20160323 1BRANCH COFFEE TUBAKI』さんの内装・家具工事の続編。今回は家具をはじめ店内のいろいろな什器も製作させていただくことになっているのですが、中でもメインとなるのは1階の商品販売スペースの商品陳列棚。棚といっても広い室内の3面にわたって高さ4段で広がる無垢の棚で、しかもそれらすべてがワイヤーで吊られるという特殊な仕様。使うのはホワイトオークですが、使用量も半端ではありません。こちらは棚が付けられる前の状態ですが、ここ一面が吊り棚。

 

20160323 2あまりに長くて大きなサイズなので、幾つかに分割して仕口を作り、現場で吊りながら組み立てていくということになりましたが、丁度適寸の材が揃うわけではありませんので、ザックリしたボリュームを善家君(ZEN FURNITURE)の作業場に持っていって、木取りをしていきます。数枚で幅剝ぎして作りますが後々の反りなども考慮して、サイズだけでなく材質や木目の具合なども考慮しながら木取りしていくため、納めても収めても足りないほど。それに合わせて端材も大量発生中。

 

20160323 3ようやく棚が完成して取り付けとなるわけですが、木選びや納品が終わってしまうと、こういう時ぐらいしか私の活躍できる場面がないので、私も取り付け工事のお手伝い。とはいえ棚を持ったり抑えておくぐらいしかできないのですが、何しろ枚数が多いのでこんな私でも少しは戦力。頭に板を乗せて待っていると、自分にも技術があればなあとつくづく思うこともあるのですが、集中力がなくて飽き性の私には務まらない仕事です。木工職人にとって大切なのはセンスと集中力とデリカシー

 

20160323 4棚を1枚ずつ繋いでワイヤーで吊って何度も何度も微調整を繰り返してようやく完成。全体像が大きすぎて画面には収まり切れていませんが、ひとまず第一関門クリアといった気分。ちなみにそれぞれの棚には、南面からの直射日光が当たることも配慮して、反り防止のために同じホワイトオークの「端喰(ハシバミ)」が施されていてます。アトリエ・バウ中尾忍さんの設計ですが、完成すると細いワイヤーで吊られた雄々しいホワイトオークが絶妙なバランスで、繊細にして実に美しい~!




20160322 1他にもいくつか候補はあったものの、自分でも一番自信のあった『山の響(やまのひびき)』を気に入っていただき、これに決定。野村の深い山々に囲まれた牧場から聞こえる牛の鳴き声、そこからイメージされる牧歌的な風景と「響」という漢字からイメージされる堂々とした力強さは、手塩をかけた育て上げた和牛の体躯が重なり合います。名前が決まりブランド化の骨格ができたので、ここからはデザイナーさんにお願いして肉付けをしていただくことに。これで話は振り出しに戻る。

 

20160322 23月の晴れた某日、パルスデザインさんと一緒に牧場を視察。どういう餌を与えてどういう肥育方法をとっているか、などを義父と義弟がデザイナーさんに説明するのですが、私も現場を見ながらきちんと話を聴くのは初めてで結構勉強になりました。肉の味は最高とはいえ、肉の味を差別化して言葉で表現するのは難しいため、「山の響」ならではの特徴をまとめてもらいました。それが、米穀やトウモロコシなど15種の原料を、50年の経験と牛の体調に合わせてブレンドさせた飼料

 

20160322 3そして、与えられる水は四国山系の岩間から流れ出るミネラル成分たっぷりの天然水。牛たちが肥育されている牛舎は、義父や私の父たちが通った地元の中学校の木造校舎を解体して移築したもので、堂々たる立派な合掌造り。私の生まれる少し前の昭和37年に廃校となったそうですが、たまたまそれを移築する工事を私の父親の土木会社が携わったというのも不思議な縁。吸湿性や保温性に優れた木造の牛舎は、牛たちにとっても理想的な空間といえますが、今新たに建てるとなると費用も含めてなかなか大変なものになるはず。高橋畜産は、義父が創業したものですがそれから50年、この地で畜産業に励んできました。

 

 

20160322 4そして最大の売りは何といってもこの環境。それらの特徴をまとめていただきました。日本酒の大吟醸酒を作る際に使用される削り取られた四国産の米粉を飼料に加えていることから、つけていただいたコピーが、「畜産50年、職人山の味」。そしてブランド名は、『吟醸牛 山の響』。これに基づきパンフや印刷物も作ってもらいました。ただし高橋畜産では肥育した牛を京都の市場に出荷する仕事で、牛肉の小売り販売をしているわけではないので、愛媛ではあまりその名前を見たり聞いたりする機会はあまりないかもしれませんが、京都など関西圏の和牛専門店などではその名前に接していただく機会があると思います。機会があれば是非一度、愛媛の『吟醸牛・山の響』をご賞味ください。

 




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