森のかけら | 大五木材


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20120926 1昨日に続いて、映画『リバー・ランズ・スルー・イット』の話・・・無邪気に鱒を追ったあの日、同じ時間を共有していた兄弟は、知らず知らず少しずつ違った時間を積み重ねていきます。日常的なささやかなエピソードが丁寧に描かれることによって、その少年期から青年期へ成長していく微妙な兄弟関係が実感を伴い伝わってきます。四人きょうだいの次男(兄・弟・妹)である私にとっては、兄の立場も弟の立場も理解でき、そのエピソードがごくありふれた日常的なものであるからそこの兄弟の気持ちがとても身につまされるのです。

 

20120926 2映画の中でも兄弟は、くだらない事から一度だけ殴りあいをしますが、実際には殴りあいながら本音をぶつけるなんて芝居じみた事は余程あるわけではなく、成長と共に互いの立場を慮(おもんぱか)り、そのテリトリーを侵さないように一歩退いた距離感で接するようになっていくもの(私の場合)。言葉をかけるのも妙に照れくさくなるものです。その間をとりもつものが互いの子供であったり、映画のようなフライフィッシング(趣味)なのかもしれません。

 

 

20120926 3ギャンブルにのめりこんだ弟(ブラッド・ピット)は、悲しい結末を迎えます。押しつぶされそうになるつらい現実の中でも川は静かに変わらぬ姿で流れ続けてゆく(A River Runs Through It)・・・。兄弟だけでなく、その周辺の人々、自然に対するレッドフォードの眼差しはどこまでも優しく、悲しい結末にも決して絶望したり突き放したりはしません。初監督作品『普通の人々』以来、奇をてらわず淡々と日常を見つめ、来るべき運命を前向きに受け止める、彼の演出スタイルが好きです。

 

 

20120926 4鱒釣り(フライフィッシング)が舞台の映画ですが、兄の履歴が語られる冒頭の独白シーンに「」の事が語られます。「1917年にアメリカが第一次世界大戦に参戦、その影響はミズーラにも及び、身体壮健な男たちは戦場に駆り出され山には老人と少年だけが残った。16歳になった私は合衆国営林署で屈強な男達に混じって働いた。どこを見回しても山、山、山以外何もなかった・・・。」子供の頃には、その懐に抱かれて遊んだ大自然も、大人になると山は別の側面を見せるようになります。

 

 

20120926 5映画の舞台モンタナ州は、スペイン語で山、あるいは山の国を意味する Montaña から来ていて、州面積の25%が森林に覆われている大森林地帯です。ロッキー山脈やイエローストーン国立公園の一部も含まれ、愛媛県の70倍ほどの面積(全米第4位)に、その7割ほどの人しか住んでいないわけですからスケールが違います。州内にはロッジポールパインポンデロッサパイン、ダグラスファーウエスタンレッドシーダーなどの針葉樹と、シラカバアルダーなどの広葉樹が多く生育しているようですが、残念ながらまだモンタナ履歴の木材を扱った事はありません。映画の中でも ブラピが付き合っていたインディアンの女性が登場し、いわれなき迫害を受けますが、この辺りにはインディアンの先住民族が暮らしていて、今で州内に7箇所のインディアン居留地があります。

 

 

20120926 6出来ればブラピには、地元の新聞社ではなく、地元の製材工場にでも就職して、原木を製材しながら「やっぱり家具にするにはやっぱこのアルダーだなあ」なんて台詞を喋らせて欲しかったものです。でもどうせ字幕じゃ「この木がいいな」なんて樹種なんて省略されてしまうんでしょう、きっと。プロの材木屋の鑑賞眼にも耐えうる、北米広葉樹の製材工場が舞台で、1本の原木がドラマの大切な鍵を握る、そんな男の材木屋兄弟の魂の映画、レッドフォード様撮っていただけないものでしょうか・・・。




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