森のかけら | 大五木材


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20130317 1大気汚染などにも強い逞しい木としても知られ、よく公園木や街路樹としても植えられているのですが、私は【森のかけら】を手掛けるまでその存在をよく知りませんでした。愛媛大学農学部の森林講座に参加した時にその生態について初めて教わりました。このトウネズミモチが日本に伝わったのは明治時代初期とされています。耐陰性、対排ガス性などに優れ、公害にも強い事から、当時から街路樹など緑化工事には広く採用され相当な数のトウネズミモチが植生されました。

 

20130317 2すると、そのずば抜けて強い発芽性のため(1本の木に7万とも8万とも言われるほど大量の種子をつけて、鳥達に食べさせて運ばせ広がる)一気に周辺を占有してしまったのです。その旺盛な繁殖力のため、在来種に対する影響が懸念されて、平成17年施行の外来生物法において「要注意外来生物」に指定されています。緑化樹としては、ニセアカシアも同じく指定されています。そのため最近では、在来種を保護する目的でトウネズミモチは駆除されたりもしています。

 

20130317 3今回の城山公園のトウネズミモチの伐採の記事では、堀の水面のせり出していたトウネズミモチを伐ってしまい、そこを子育てに使っていた翡翠(カワセミ)が居着かなくなるという事で、事情を知らなかった松山市の管理のずさんさを責める内容でしたが、トウネズミモチが「要注意外来生物」である事には一切触れていませんでした。市がどういう目的で伐採したのかは書いてなかったので、ただ景観を考えての事なのか、在来種保護のために駆除したのかは分かりません。

 

20130317 4感情論としては、折角カワセミが子育てに使っていたのだから伐らなくてもという思いも分かりますが、決して悪意で伐られたわけではないでしょう。一方で城山公園の生態系を保護管理するという観点であれば、伐採にも理はあります。ただそこにカワセミが居たという点が問題ですが、鳥も木も人間の思惑とは別に一生懸命に生きていることは事実です。こういう問題って通常は、大切な木を伐採してしまって!という観点でしか取り上げられないものですが、今回の件について言えば複雑な感があります。

 

20130317 5新聞記事でこの点にまったく触れていなかったのは、この木が「要注意外来生物」であるという事を知らなかったのか、論点が鈍るから敢えて「カワセミの子育ての木」としてのみ取り上げたのか定かではありませんが、生態系や環境というスタンスは、立ち位置によってまったく捉え方も変わるので難しいところです。もし記者の方が、この木が「要注意外来生物」の指定も受けているという事を知らなかったとするならば、伐られた木側の専門家からの意見も訊かれるべきだったのではないかと思いました。

 

20130317 6人間が勝手に持ち込んで、公害にも強いからと街路樹や公園木としてドンドン植えておいて、想定外に繁殖して、在来種に影響が出ると駆除しましょうという構図は、トウネズミモチに限らず、人間の都合で生態系に手を突っ込みすぎてそのバランスを崩して元も子もなくなってしまう典型です。繁殖した木にも、そこに棲む鳥や虫たちには無関係で迷惑な事でしょう。駆除すべき対象かもしれませんが、その木とて使い方次第で有用な資源になるのですから、最後まで植えた責任を果たすべきだと感じています。




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