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少し年上の先輩が、よくお酒の席でよく、「映画『いちご白書』をリアルタイムで観てない者には、その温度や空気感は絶対に伝わらない」という話(リアルタイム体験絶対主義!)をされていて、ホゾを噛んだものですが、今こうして私が書く内容も20代、30代の方には同じように伝わっている事でしょう。映画に限らず、過去の思い出話に浸ってしまう昔はよかった的なネガティブ思考は嫌いなので、避けてきたつもりですが、現在との対比で触れざるを得ない部分もあります。
それが懐かしさだけの懐古主義にならにように注意しているつもりですが、どうしても記憶は美化されがちですから、現在とのバランスをほどほどに保たねばと思っています。昔はよかったという人の多くが、今その歩みを止めて立ち止まり、思い出の中だけに生きている場合が多いですが、それはとっても残念な事。その年代、年代に合わせて現れる舞台の上でどれだけ戦えるかが勝負だと思います。ときどき過去を振り返りつつも前を向いて、常に感性を磨いていたいものです。
『ぴあフィルムフェスティバル』受賞作品の上映会で、映画製作にかける情熱のレベルの桁違いさをまざまざと見せつけられ、作る方ではなく観る方だと、自分の座る場所を教えられましたが、形は違えども青春時代の一時期に仲間と『ものづくり』に関われたというのは幸せな事だったと思います。その燃焼し切れなかった情熱のかけらが、20数年後に場所を変えて「材木屋」というステージで火がついた、というのが今の私かもしれません。ものづくりの原点は、そこにあったのだと思うのです。
現在の応募数は知りませんが、当時の『ぴあフィルムフェスティバル』では700本近い応募数があったと記憶しています。さすがにそれだけの激戦を勝ち抜いてくる作品には、ある種のオーラが漂っています。8㎜フィルムに刻み込まれたメッセージも半端ではありません。同じ時に観たもう1本の作品にも強い感銘を受けました。1人称の静かな語り口で始まり後半暴走する、圧倒的な自己表現に当時はかなり引いたものですが、その揺るぎの無いエネルギーにはねたみすら覚えました。
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