森のかけら | 大五木材


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20130310 1どの季節に限らず、は材木屋にとって決して嬉しいものではありません。外部を工事中の現場であれば工事にも支障をきたしますし、雨中の配達は商品を濡らさないように気を遣いますし、濡れた靴で現場を汚さぬよう養生もせねばならず、何よりも屋根の無い場所に保管している材が濡れるのは胸が痛いことです。濡れて乾いてを繰り返す、それなりの天然乾燥でも支障の少ない羽柄材なら(それとて濡れないに越した事はないのですが・・・)まだしも、屋根下の材にも吹き込む雨が!

 

20130310 2という風に材木屋からは歓迎されない雨ですが、昔、ある方とお話していた時のこと。屋根にガルバリウム鋼板を使うことになり、屋根裏収納を設ける話になりました。ガルバリウム鋼板とは、アルミと亜鉛で鉄を守ることにより生まれた耐久性に優れた鋼板です。デザイン性の高い住宅の外壁や屋根材として広く使われていますが、その当時はまだそれほど普及していませんでした。耐久性も高い素材ですが、瓦に比べると雨音が少し気になるという話が出ました。

 

 

20130310 3私自身はガルバリウム仕様の屋根のある家に住んだ事はないので実感はないのですが、慎重な設計士さんだったので、少しでも情報は開示しようと丁寧に説明されていました。トタン屋根ほどではないものの、瓦屋根よりは雨音が大きいかもなどなど・・・すると施主さんは、「大丈夫です。私、雨音嫌いじゃないんで」。その言葉を聞いた時、まだ若かった私は強い衝撃を受けました。材木屋にとって『招かざる雨』、その雨音を嫌いじゃないという感受性も存在するのだという事に!

 

当時、木の物語の奥深さや魅力に目覚める前の若造にとって、大切なのは事前に説明をして『クレームを減らす事』だったのです。どうやって説得するか、理解してもらうか、客観的な数字とかデータとか、そういう事が最大の関心事でした。そんな私にとって、好きとか嫌いという個人の嗜好を基準にして大丈夫なのかともの凄く不安でした。まだ自分の中に、木に対する考え方が確立していなかったので、何が好きで嫌いなのかを判断する基準すらありませんでした・・・。

 

20130310 5それから時が流れ、降る雨にも風情を感じるようになったのは歳のせいでしょうか。雨が降りそうになるとそった葉を閉じる事からレインツリー(rain tree)とも『雨を予知する木』とも呼ばれるのが、「この木何の木~♪」の日立のTVCMでもお馴染みの『モンキーポッド』。降雨前だけでなく、朝は日の出とともに葉を広げ、夕刻には閉じる規則正しい木なのです。雨降る日にはこの木の事を考えたり、心に少しだけ余裕が出来ると、見えているものは同じでも感じ方は随分変わってきます。あの頃に比べて少し大人になりました。




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