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昨日に続いて、中南米産のクワ科の木『タタジュバ』について。表面を削ってみるとこんな感じ。たまたま仕入れたモノが赤身だけの板材だったので、白太部分の状態は分かりませんが、文献によればその差は明瞭だそうです。心材部分はまだ水分が多い状態の時は、黄色で萌えるような輝きがあり、大気に晒すうちにバラ色~コーヒー色に変わってくるそうです。その生材の印象からなのか分かりませんが、この木をアマリロ(Amarillo)と呼ぶ地域(エルサルバドル、ベネゼラ、ボリビア)があります。
多少狂いやすい傾向はあるものの乾燥のスピードは速いようです。木目は交錯していましたが、特に削りにくいような印象はありませんでした。削った部分にオイルを垂らすと、途端に鮮やかなオレンジ色が現われました!17世紀の中頃からはカーキ色の染料として使われていたというのも納得の鮮やかさ。また、樹皮は皮なめしに、樹脂は薬用ならびに船のまいはだ(槇皮)に使っていたそうですが、材そのものも船材をはじめ様々な用途に使われてきた歴史があるようです。
耐久性が極めて高く、シロアリに対しても強い事から、船や桟橋など水に浸かる重構造物、荷車など乗り物のボディ、旋盤細工、ボートや水槽などにも利用。こうやって次第に木の正体が分かっていく瞬間が楽しいのですが、残念ながら少量しかありませんでしたので、内装などに出来るだけまとまった量がありません。とりあえず『森のりんご』などの小物で楽しませてもらおうと考えています。経年変化でこのオレンジ色がどこまで退色していくかというのも興味津々なところ。
最後にこの名前ですが、市場では『タタジュバ』とされていたものの、中央アメリカ、西インド諸島、南アメリカ北部における一般的な呼び名は、『モラル(Moral)』、もしくは『モラ(Mora)』だそうで、『タタジュバ』というのは主にブラジル、アルゼンチンなどの産地での呼称だそうです。TatayubaあるいはTatayiba。カタカナ表記で現わした場合、タタジュバでいいのかタタユバと書くのかよく分かりませんが。また染料としてはFusticaという商品名でも涼通しているそうです。
中南米やアフリカの木って、まだまだ日本では知られていない木が沢山あって、たまたま業者がその木を仕入れた場合、現地でよく使われている呼称がそのまま使用される場合が多く(木材図鑑などには載っていないその国の俗称など)、その名前で取引されると、同じ木なのに名前が違う事もしばしばあって余計に混乱します。まあ、そこを手探りで調べ上げていくのも『木の名前フェチ』としては大いなる楽しみなのです。それでは小物でも出来ればまたご紹介させていただきます。
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