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先日久しぶりに町に飲みに出ると、大街道の中で懐かしいモノに遭遇。それがこちらの『まちなか目安箱』。これは、松山市内の大街道と銀天街などの商店主の皆さん方が集まられて、中心市街地活性化を目的として広告掲示・放映やイベント企画・開催、市政と連携した、安心安全なまちづくりの強固な基盤作りに取り組まれている『株式会社まちづくり松山』さんが設置されたものです。大街道・銀天街を訪れる方が自由に商店街への要望を書いて投稿できるというもので市内2カ所に設置されています。
その何が懐かしいのかというと、その目安箱に取り付けられた筆記用の棚こそが、うちの『モミ(樅)』の木なのです。ご縁があって納めさせていただいたのは今年の春先頃だったでしょうか。その時は詳細はよく分かっていませんでしたが、商店街で棚として使われるとは聞いていたので、機会があれば見ておきたいと思っていましたが、街には時々出かけていたものの飲めばそんな事も忘却の彼方で、ずっと見つけることが出来ませんでしたが、先日ようやく出会うことが出来ました。
樹種の要望まではなかったものの、折角なので愛媛県産材にしてはいかがでしょうかと、久万高原町で採れたモミの材をご提案させていただきました。何の木を使ったところで、そんなところを気にするひとなど誰もいないかもしれませんが、そこは偏屈材木屋のこだわり。むしろそういうニッチなところにこだわらなくなってしまったら、うちの会社なんて存在意義がなくなってしまいます。こういうケースだと、すぐにヒノキ・スギの出番なのでしょうが、そこは偏屈材木屋の本領発揮。
意地でも県内産のヒノキ・スギをご提案しようと!モミは決して堅牢な木ではないものの、乾燥すれば簡単に釘も打てないほどグッと締り、錐(キリ)でもんで下穴を開けなければならないほど堅くなる事から、揉む→モミに変化したという説もあるほど(他にも名前の由来は多数諸説ありますが、私はこの説が材の特徴をよく表していて支持しています)。ただ、公害に弱いため低地では育ちにくいのと、ヒノキ・スギに比べると分布量が圧倒的に少ないためほとんど利用されていません。
なので、その特徴等についてもよく理解されていないため、建築現場や家具などにおいても滅多に使われることがないのですが、そういう木にスポットライトを与えることこそが私の使命。モミに限らず、日の目を浴びていない木はまだまだ沢山あります。そういう木は、供給量の問題もあって使用範囲は限定されるものの、『適材適所』の特性に合わせて利用すれば、さまざまな場所でよく働いてくれるのです。小さな出口を沢山作ることが、豊かな森を作る小さな一歩となると信じて。
少し前の話になりますが、北海道の紋別市で体重400キロになろうという巨大な羆(ヒグマ)が駆除されたというニュースが報道されました。同時期に紋別市内の別の町でも推定350キロの巨大羆の足跡が発見されていて、地元の猟友会が警戒していたそうです。冬眠に備えてデントコーン畑に侵入して畑を荒らされているという農家からの被害を受けて、残ったデントコーンを刈り取って羆が潜んでいそうなエリアを絞り込んだところ、突然羆が現れハンターが猟銃で仕留めたという事。
その腕利きのハンターは10年前にも310キロの羆を仕留めたそうですが、今回仕留めたヒグマをユニックで吊り上げたところ400キロもあったという事で新記録だったとか。巨大ヒグマといえば思い起こされるのが、国内最大の野生動物の獣害とされる『三毛別(さんけべつ)羆事件』。胎児を含めた7人が死亡し、3人が負傷するという悲惨極まりない事件でしたが、吉村昭の筆によるノンフィクション『羆嵐(くまあらし)』は、自然の厳しさを冷徹なほどに描写した渾身の一作です。
この報道に対して、殺さなくてもよかったのではとか、射殺以外の方法はなかったのかなどとコメントが寄せられていましたが、そういう人はまず『羆嵐』を読むべきでしょう。三毛別事件が起きたのは今からちょうど100年前。そこに暮らす住人たちは、東北の貧しい農村から移住してきた人々で、北海道にしかいない羆についての情報は皆無。銃どころか掘っ立て小屋のような暮らしの中、わが身を守る者がほとんどない暗闇の中で、いつ現れるやもしれない巨大な獣に怯える恐怖。
私は巨大生物マニアですので、その存在には心が躍る反面、射殺された事に胸は痛むものの、当事者にしてみれば生きるか死ぬかの修羅場。自分が生き延びるのに必死な局面で理屈など意味がありません。羆の獣害としては、2011年にシベリア東部のペトロパブロフスクで起きた食害事件(羆に襲撃され2名の親子が死亡。娘が羆に食害されている最中に母親に電話で助けを要請した凄惨な事件)も有名ですが、弱きものが喰われるという自然界の厳しく残酷な掟の前に人間の倫理感など不毛。
三毛別に現れた羆は体重340キロだったので、今回撃たれた羆は更にそれを超える巨大さで、日本にも陸上でいまだにこれだけの巨体生物が存在するのかと興奮したものです。銃で武装していたとはいえ、これだけの巨体が突然目の前に現れたとしたら、どれほどの衝撃であったことか。これだけの獣がいて、人命が失われていなかったことが不思議なくらいですが、自然界にて大きなるものが命を永らくつなぐという事がいかに難しいことか。ゆえに大きなるものは、それだけで尊い。獣も樹木も。
もしかして私の思うカワリモノ(変人)どころか、もの凄くまっとうな常識人なのではないだろうかという不安が脳裏をよぎったものの、それは会議の後の懇親会ですぐに打ち消されることになったのです。なにしろ「後で酒を飲めないような会なら初めからやる意味がないっ!」と嘯(うそぶ)かれる酒豪伝説・甲斐朋香先生が目をつけられた御人ですから、そんな世間一般のようなまっとうな人であろうはずがない。そのカワリモノぶりが顔を覗かせるにビールジョッキは2杯も必要なかったのです。
その場所となったのが、『白熱教室』の会場となる愛媛県松山市男女共同参画推進センター・コムズから歩いて5分ほどの距離にある『艶吉・別邸』。こちらのお店ではテーブルに『ゼブラウッド』をお使いいただいておりますが、客としてお邪魔させていただいたのは初めて。初めから予定していたわけではないのですが、たまたま入ることになったものの、席についてゼブラウッドの個性的な木柄に目を移せば、この木もかなりのカワリモノ。美しい縞柄の裏には大きなリスクも伴っています。
重い、硬い、捻じれる、暴れる、反る、曲がる、人間の管理をあざ笑うような暴れん坊の木でもありますが、それらのリスクを踏まえてもなお心惹かれるカワリモノ。そんなカワリモノに惹かれる人こそカワリモノなのかもしれませんが、カワリモノゆえにカワリモノに魅せられるのかもしれません。考えてみれば、初めてゼブラウッドの板を仕入れてから20数年前が経ち、そんな暴れん坊ゼブラにも果敢に挑むようなカワリモノな人たちが私の周辺にも随分と増えました。類は友を呼ぶ。
ところで、西嶋理さんですが、先の会議では神職らしい毅然とした態度でお話しされていて、もしやまともな常識人なのではあるまいかと少々不安になったものの、お酒の席になると一転して、数々の武勇伝をはじめ、カワリモノっぷりをご披露いただきました。中でも西アフリカ原産の木の実に紐をつなげて高速で打ち鳴らして音を出す民族楽器・アサラトの演奏には驚愕!見事な腕前もさることながら、材木屋としてはその実の正体が気になるところ。調べたところオンコバスピノサという木でした。
初めて聞く名前でしたので調べてみると、樹高が6~8mの低木で、その実が乾いて落ちたものの中身をくり抜いて、小石や豆、貝殻、木の実などを入れて作るそうです。用材になるような木ではないようなので、有用樹種図鑑でもその名を探すことができませんでした。アフリカ発祥のシンプルで伝統的な楽器。これもたまたまながらアフリカ産のゼブラウッドのテーブルを囲んで、西アフリカ発祥の楽器の音色を聴く。そんなカワリモノの連鎖を肴にして今宵も酒豪伝説が生まれていく・・・。
『おとなの部活動』との交流戦(飛龍十番勝負)で刃を交えた地元の大学生たちのグループ(SENSE)と交流からスピンオフして生まれたある企画、『白熱教室の講師依頼』。そもそも『SENSE』とは、アート・デザインを軸とした自由な学びの場を作ることを目的とした愛媛大学と松山大学の連携事業なのですが、地域と密着して精力的にさまざまな活動をしているのですが、その一環として『おとなの部活動』との交流戦が実現しました。それで今度は、個人指名で私にお声が掛かった次第。
そのSENSEが主体となって行う参加・体験型のワークショップ、『COMS白熱教室2015』のゲストスピーカーとしてお招きいただくことになり、本日はその作戦会議。松山市三番町にある愛媛県松山市男女共同参画推進センター・コムズにて開催される企画なのですが、主に学生をターゲットにした、変わり者のおとなたちのひねくれた生き様を聴いてやろうという趣旨で、そのタイトルもズバリ『カワリモノ~多様性の時代に~』。ほ~、私が変わり者であると見抜いたという事か・・・。
11月末から計3回開催され、私は2回目の12月11日(金)を担当させていただくことになりました。1回目は、NPO法人農音さん(面識はないのですが、変わり者として招かれるわけですからきっと変わり者であることに間違いはないでしょう)、3回目は松山城の堀端にある出雲大社松山分祠の西嶋理さん。そう、このブログでも何度かご紹介させていただいた、木工する神主・ヤマドリ工房の西嶋孝仁さんの実兄。私と西嶋さん、ふたりまとめて説明会があるというので初対面。
ところで余談ながら、この場に甲斐先生が皆のためにとお持ちくださったのが上の写真の「ゴールドフィンガー」という品種の変わった葡萄でしたが、もうひとつ甲斐先生のカバンの中には食料が忍ばせてありました。それが、たまたま購入したという『ひなの屋のパン豆』!そうです、先日のブログでもご紹介した『大人の部活動・飛龍十番勝負第四弾』の舞台となった炎のパン豆屋こと『ひなの屋』さんのそれなのです!いや~、もうこうなると単なる偶然とかでは済まされそうにない恐怖連鎖!
さて話を戻して、西嶋さんも講師をされるという話は聞いていたのですが、すっかり弟である孝仁さんだとばかり思いこんでいたもので、会議室に理さんが入ってこられて「?」となって、そこで初めて気が付きました。孝仁さんから、お兄さんがいらっしゃることは以前から伺っていたのですが、神職という世間的には特別なお仕事に従事されているだけに、きっとさぞカワリモノ・・・いや、個性的なお方なんだろうと思っていましたが、会議の席ではもの凄くまじめなお話をされて、もしや?という猜疑心が・・・
| 以前に『モート・レイニーハウス』の主とジューサンケンチクセッケイの石村隆司君が二人でご来店いただき、ダイニングテーブルの木選びをしていただいた話をアップさせていただきましたが、その時選ばれたのが『赤紫の貴婦人・パープルハート』でした。そのテーブルがようやく完成しましたので、改めてここでご紹介させていただきます。加工直後は茶褐色ですが、しばらくするとサーッと鮮やかな紫色に変わっていきます。今回は写真のように5枚の板で幅剥ぎさせていただきました。 |
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