森のかけら | 大五木材


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昨日の続きですが、『森の5かけら』の中の『日本の文学の5かけら』について。この5種は、アスナロ(明日檜)モミ(樅)、ウメ(梅)、シラカバ(白樺)キリ(桐。それぞれ文学にまつわる木という事でセレクトしました。解説しますと、アスナロ(文豪・井上靖の『あすなろ物語』より)、モミ(山本周五郎の『樅の木は残った』より)、ウメ(天神様・菅原道真の『飛梅伝説』から)、シラカバ(明治時代に起きた文芸思潮の白樺派から)、キリ(坪内逍遥桐一葉』より)。異論もあるとは思いますがあくまで私の独断と偏見の産物。

実はこの『日本の文学の5かけら』は改訂版で、最初に作ったものに痛恨のミスがあったのです!当初は『キリ』の代わりに『ツバキ』が入っていました。椿といえば・・・椿姫。椿姫といえば文豪・森鴎外、いける!何のためらいもなくそれで設定して解説書まで印刷してから、重大な間違いに気が付きました。森鴎外の作品は椿姫ではなくて『舞姫』でした!『舞姫』はジュゼッペ・ヴェルディ作のオペラ。完全な記憶違いでした💦。それがあってというもの自分の曖昧な記憶に頼らずに確認をするようになりました。

そういう事があったのでより慎重になって、余計に「古典小説を聴いて」ネタを探すようになりました。そんなある日、いつものネタ探しで芥川龍之介の名作『河童』を聴いていました。この時代の小説には、抽象的な「木」ではなく、樹種名までハッキリ明記した木がよく登場します。それはただの風景描写としてだけでなく、その樹を使うことで主人公の気持ちを暗示させたり、物語に奥行きを与えたりする役割もあるからです。そしたら案の定、後半部分に木の名前がいくつか出てきました。『イチイ』と『ブナ』と『生命の樹』。

主人公である私が連れていかれる大寺院に生えている『生命の樹』は、金(善の果)と緑(悪の果)から成るというのは、映画『アバター』に出てくる生命の樹のような架空のものなのでパス。河童の町にあるのがブナですが、ここにはあまり意味がないようなのでこれもパス。イチイは河童の国の巡査が持っている棒として登場します。昭和2年に発表された作品ですので、河童の国の巡査もかなり高圧的な「おいこら警官」として誇張して描かれていますが、そんな巡査が持っているのがカシ(樫)でなく針葉樹のイチイ(一位)であることに違和感を覚えました。続く・・・




高校生や大学生相手に木の話をするときに、少しでもイメージが広がるのではと思って、直接的な樹木としても木そのものだけでなく、その木が使われた小説や映画、歌、落語などを例に出したりするのですが、それがほぼ無反応。私の例えが古いというのが問題なのかもしれませんが、今の学生が「古典」といわれるものにほとんど触れていない、学校でも教わらない事に驚かされます。しかい考えてみれば、我々が思う古典は今の子どもたちにはもはや古典を越えた「歴史の彼方」なのかもしれませんが・・・

そういう私も多少齧っている程度で、未読・未見の小説や映画ばかりで今頃になって焦って読んだり観たりしているという有様なのですが・・・。特に文豪と呼ばれている作品については、学生時代に読みはしたものの、それは文字を目で追っただけで内容やテーマがまったく頭に入ってないものも多く、いま読み返してそういうことだったのかと膝を打つことしきり。という事で古典にも触れるようにはしているのですが、なかなか時間が取れないので、ブログを書きながら小説の朗読に耳を傾けることが多いので、「小説を聴いています

さて、国内外合わせて240種に及ぶ【森のかけら】は、個別に選んで数個だけ買うという事は出来ません。100個のセット(あるいは36個のセット)をひとつの森と見立てているので、建築や家具に向いているとか木目が美しいからといった価値基準だけで木を選ぶのではなく、美しい花を咲かせるとか、虫や鳥たちに住処を提供するとか、水を貯え豊饒な森を作るといった地味だけど大切な役割をすべての木は持っているという事を考えていただきたくてそのようにしています。ただそれだと結構お高いので木に興味のある学生さんたちがなかなか購入しずらい。

そう思って作ったのが、あるテーマに則して5つの木を集めた【森の5かけら】です。例えば単純にサクラというテーマであれば、ヤマザクラ、シウリザクラ、ミズメザクラフレンチチェリーブラック・チェリーで、『さくらの5かけら』といった具合。『音色の5かけら』とか『酒好きに贈る5かけら』、『どんぐりの5かけら』など様々なテーマがあって、中にはかなり力技で強引に結びつけているものもありますが(笑)。その中に『日本の文学の5かけら』というものもあります。こういうものを作るためにはそのための基礎知識、情報が必要となります。それで・・・。

 




その昔に南京からやって来たという『ナンキンハゼ』を製材してみた話。伐採された小口の色が『ハゼノキ』のようには黄色くなかったので、黄色い木肌は期待していなかったのですが、材質も全然違っていてかなり軽軟。『ハゼノキ』の名前がついているのが不思議なくらい。その名前の由来は、文字通り南京のハゼとい意味で、日本のウルシ科のハゼと同じように種子から「烏臼油(うきゅうう)」という油脂が採れて、蝋燭や灯用、塗料、石鹸などに利用されているそうです

ウルシと同じように油脂が採れることからハゼノキの名前が冠されたようで、材質はハゼノキとは似ても似つかない。根皮や果皮は「烏臼(うきゅう)」と呼ばれ利尿剤になるなど有益であるものの、種子には毒があるようです。材質が思いのほか軟らかいので、【森のかけら】以外の出口についてはちょっと頭を悩ましそうですが、実に毒があるので『森の毒りんご』に使えそう。まあ、しっかり乾燥した後のコンディション次第ではありますが。ちなみに烏臼というのは、ナンキンハゼの漢名

材としてあまり用途が明確でない木というのは、それなりの理由があるわけで、このナンキンハゼも材としても用途としては器具材程度ですので、種子や樹皮、根皮などに比べると材はほとんど利用されていないみたいです。細かく割って削ってみればそれも頷けますが、偏屈材木屋としてはそういう木の方が燃えたりするのです!この木の別名に『トウハゼ』、『カンテラハゼ』、『リュウキュウハゼ』などがあります。トウハゼというのは言葉通りに唐から入って来たという意味。

リュウキュウハゼも入国ルートが名前になっていて、中国から琉球を経由して日本に入ってきたためその名前がつけられたもの。カンテラギというのは、採れた油でカンテラ(携帯用石油ランプ)を灯すためだと思われます。別名とか方言名に、その木の特徴が込められている事が多いので、用途を考えるためには、こういう情報がとても大切になります。さあ、これから乾燥したらどういう表情になるのか。新たな出口はこれからゆっくり考えるとして、【新・森のかけら(仮称】にナンキンハゼ(南京黄櫨)加わるのは確定です!

 




今日のかけら番外篇・E046ナンキンハゼ/南京黄櫨】 トウダイグサ科・シラキ属 

いつもお世話になっている近所の造園屋さんから「結構大きめのナンキンハゼの庭木を伐ったけど要りますか?」という連絡が入りました。お付き合いが長いので、これこれこういう種類のこれぐらいのサイズの木が出たら(伐ったら)教えてくださいと伝えているので、いつもこちらのストライクゾーンに球を放り込んできてもらうので本当にありがたいのです。今までにも木材市場では決して手に入らないようなマニアックな木を分けてもらいましたが、『都市林業』には欠かすことのできない私の懐刀のおひとり。

個人の庭に植えていたのですが、大きくなり過ぎたので今回伐採したということでした。通直ではないけど根元の方は直径が300㎜を越えるものもあると言われてたのでちょっと期待して取りに伺ったのですが、想像以上に大きい!しかも運搬しやすいように短くカットしていただいて至れり尽くせり。ナンキンハゼの木を扱うのは初めてで、どういう性質の木なのかも分っていませんが、これぐらいあれば【森のかけら】にするには充分だし、もっと大きな出口にも使えそう。ありがたくいただいてきました。

ナンキンハゼは中国大陸原産のトウダイグサ科シラキ属の外来広葉樹で、日本には江戸時代に渡来したといわれています。主に西日本で植栽されていて、九州の一部の地域では野生化しているのだとか。【森のかけら】で『ハゼノキ』を調べているときに、ナンキンハゼの名前は目にしたものの、庭木・街路樹という事だったので、その当時はまあ手に入らないだろうと思って気にしていませんでした。それがこうしていま目の前にあるのも『都市林業』に目を向けたお蔭。こちらから望んでいなければ巡り合えない木もあります。

街路樹公園樹、庭木などに植栽されているものはせいぜい5m程度ですが、大きなものは樹高15mに達するものもあるとか。造園屋さんも、結構大きくなったものも見かけるという話でした。伐った直後だったので水分たっぷりでそれなりに重たかったのですが、持ち帰って2週間ぐらい置いていたら(通常はすぐに製材するのですが、今回は忙しかったので💦)乾燥が進んでかなり軽くなりました。ハゼノキのイメージがあったのですが、製材して分かったのは材質がまったく違うこと。とりあえず細かく割ってみました。明日に続く・・・

 




先日、サワラ(椹)の話を書きましたが、ちょっと書き足りなかった事があるので補足します。以前にもブログで書きましたが、同じ響きのサワラ(鰆)について。春先になると産卵のために沿岸に近づくので、春によく見かけることから、「春を告げる魚」という意味で魚編に春で『』。これぐらい由来がしっかりしていると分かりやすいし覚えやすいのですが、木の名前は往々にして音の響きからその漢字があてられているだけで意味のない漢字や誤用したまま放置されているものがあります。

樹木のサワラもまさにそれで、漢字としての椹は本来「桑の実」を表わす漢字なのですが、誤用されて今に至っているのだとか。ではサワラという言葉はどうかというと、同じヒノキ科のヒノキに比べると枝葉がまばらで少なく全体的にスッキリしていることから、髪の毛がすけすけで少ない状態を表わす「爽(さわ)らか」という古語に由来しているのだとか。あるいはその材質もヒノキに比べると軽軟で粘りもないからとか、その香りもヒノキより薄く爽やかだからという説もあるようです。

サワラの木を手にする機会が少なくて、弊社にいまあるのも壁板に加工されたものなので、しっかり乾燥されていることもあって、ほとんど匂いはしません。産地の方に伺ってもヒノキほどの匂いは無いと言われていました。木を見るとほとんどの方が匂いを感じようと鼻を近づけられます。ひとは本能的に五感で木を感じようとしているのだと思いますが、そういう意味では匂いも木にとって重要なストロングポイントのひとつ。その匂いが弱いサワラって自己アピール力弱いのでは?!

ところがよくしたもので、匂いが弱いという事は考え方を変えれば食べ物に匂い移りがしないという見方にもなります。更にサワラが水質によく耐える性質があるため、飯櫃やかまぼこ板、経木など食べ物に直に触れる用途に使われているのです。先人たちの木の特徴を見極めてそれに合った用途に用いる目利きぶりとその感性、骨までしゃぶって一切無駄にすることなく使い切ってやろうというモッタイナイ精神と樹木に対する畏怖と感謝の心にはいつもいつも頭が下がる思いです。

 




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