森のかけら | 大五木材


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今までに何度かご紹介させていただいた愛媛産の広葉樹ですが、もっとも初期に仕入れて乾かせていた『ヤマザクラ(山桜)』にもそろそろ表舞台へ立つ日が近づいてまいりました。今日はどれぐらい乾いているのか確認するために何枚か削ってみて確認作業。このヤマザクラについては、ヤマザクラ本来の木の艶と光沢、そして赤身の妖しい色気を失いたくなかったので、敢えて天然乾燥で乾かしています。そのため念には念を入れてたっぷり乾燥させるつもりで、数年間ほったらかしていました。

数年乾かしたからといって完璧に乾燥できるわけではありません。さすがにそれ1枚でテーブルやカウンターにしようというぐらい大きなサイズになると、人工乾燥機の力を借りないと難しい場合もあります(最終的にはどこまで待てるのかという費用対効果の問題となりますが)。今回確認しているのは長さが2m以下の小幅で、比較的厚みの薄いものを数枚引っ張り出してみました。ベルトサンダーを表面に走らせると、滑らかな削り心地ですが、木目がとぼけて不明瞭です。ところがここにオイルを垂らすと・・・

ヤマザクラの妖しい赤身が材中からすう~と滲み出してきて、表面に紅がのって、艶っ気のある赤身に染まります。これこれ!この艶やかさを求めていたのです!木そのものは直径300㎜前後の曲りの多い中径木で、辺材には幾つもピンホールがあって、節や割れも絡んでいて、お世辞にも立派な木とは言えません。建築材や家具材としても価値の低い材です。昔の私であれば、歯牙にもかけなかったことでしょう。それが今ではこの虫穴のある、節の大きな、曲がりくねったヤマザクラが宝物に感じるのです。

この木で『森のこだま』や『誕生木ストラップ』、『モザイクボード』などを作っていきます。お陰様で製材品の端材をベースに作ってきた自社商品たちも少しずつ軌道に乗って来ておりますので、供給的に不安定な「不本意ながら発生する端材」だけに頼らず、原材料の安定供給の道も探っているところであります。このヤマザクラとて、原木で購入しているので、虫穴も節もない立派な「トロ」部分もあります。それはそのまま板として売り、虫穴や節のある「赤身」部分を使うわけですから、これもある意味立派な『原木の端材』!




さて、そんな木のまな板の中で弊社が取り扱う機会が多いのは、圧倒的に『イチョウ(銀杏)ホオ(朴)』です。一応ヤナギ(バッコウヤナギ)も在庫にはあるのですが、まな板にするにはあまりに大振りで、高価なまな板になり過ぎるため断念されます。イチョウとホオについては、まな板にちょうどいいぐらいのサイズの小幅な板がお手頃な値段であるために、そちらを選択される方が多いのです。稀に、『青森ヒバ』とか『ヒノキ』で作って欲しいという樹種指定のケースもありますが基本はおまかせ。

サイズにもよりますが、一般家庭で使われるぐらいのサイズであれば、イチョウかホオで充分対応可能。先日は、ご自宅で使われるまな板のご注文をいただきました。在庫しているホオの中で、家庭用のまな板に手頃なのがこちらのホオの耳付き板。長さが2m前後で、幅が180〜280mm程度、厚みが30mm。業務用のまな板を取るには幅も足らず薄すぎますが、長さ400〜500mmぐらいの薄手のものでよければ、この中で赤身の張ったものを探し出して加工して仕上げていきます。

荒材で見ると結構大きく見えるものですが、実際に木取りして丸味やダメージのある部分をカットすると、案外狭いものしか取れなくなったりして、あと数センチ幅が足りない〜なんてこともしばしば。わずか数センチとはいえ、ご依頼のサイズが取れなければ意味がありません。極力白太部分を外して赤身で木取たいのですが、幅250mmぐらいをご所望されるとこの材で赤身だけというのは難しくなります。それで結局、更に大振りなホオの板を製材して作らせていただいたのがこちら。


光の加減で色合いがとぼけていますが、実物は赤身(緑)の張ったもので、ご依頼主にも満足していただきました。昨日も書きましたが、なぜ木のまな板を使うのか?回らない寿司屋さんに行って、プラスチックのまな板を使っていたとしたらどう思うでしょうか?それはただ衛生的とか価格のことといった点からではなく、まずもって雰囲気が台無しになってしまうでしょう。それは寿司という食文化を昔から支えてきた調理道具のひとつとしてまな板が文字通り切っても切れない関係にあるからだと思います。

暖簾をくずれば、清潔感のある白木のカウンターと新鮮なネタが並び、その奥に白衣をまとった大将がいて、柳包丁に木のまな板がある光景というのが、多くの日本人が抱く寿司屋さんのイメージではないでしょうか。食は目で味わうともいいますが、寿司はまさに雰囲気や風情も料理の味付けにおいて重要な隠し味のひとつだと思います。そう考えれば、木のまな板は必要不可欠であり、五感で味わう寿司という食文化を構成する大切なひとつの要素なのだと思うのです。たかがまな板、されどまな板。




まな板の話の続き・・・まな板の御三家としてよく知られているのが『イチョウホオヤナギ』の3樹種です。これらの樹種がなぜまな板に適しているのかというと、刃あたりが良くて刃を痛めない事、軽軟で扱いやすい事、赤味を使うと比較的水にもよく耐える事、また刃物による木屑が出にくい事などが挙げられると思います。よく、プラスチックのまな板にするか、木にするか迷っているという方がいらしゃいますが、私は根本的に比べるようなものではないと考えています。

木のまな板がいいという人は、何か特別な理由を持って選択されているのではないように思います、私を含めて。昔から家で普通に木のまな板を使っていたからとか、そもそもまな板って木しかありえないでしょ、というようなある種本能的な感覚で木のまな板を選ばれているように思えるのです。理由などないというのが理由のような。一方、プラスチックにしようか迷っている方は、例えば木の黒ずみが気になるとか、手入れが面倒とか、値段が高いとか、耐用年数が長いとか機能性や衛生面。

私はそういう方を説得して木のまな板に変えてもらおうとは思っていません。まな板に限らず、木の素材はその扱い方やお手入れ方法について手間暇がかかります。プラスチックのような抗菌処理もしていません。木は決して万能な素材ではありませんですが、その作法にのっとり、手間暇かけても大切に使えば長持ちもするし、機能的なものも以上のものも与えてくれると信じています。それを煩わしいとか面倒だとか思うようであれば、最初から木の素材なんて使わなければいいし、また使う資格もないのです。


あまり木に過信しすぎると、折角木を使ってもマイナス面ばかりに気を取られてしまい、本来の木の良さを見失ってしまいかねません。プラスチックにもプラスチックの良さはあるのです。それぞれの素材の良さをうまく活用すればいいのであって、異素材を異常に批判したり盲目的に過信せずに向き合えばいいと思うのです。木のまな板の上で調理した方が断然美味しく思える、と感じれば木のまな板を使っていただければいいのだし、私もそう思っているからこそ木のまな板をお勧めているだけの事。更に明日へ・・・




なぜだか急に特定の商品に注文が集中するという事はよくあることですが、先日から不思議に集中しているのが『まな板』。新品の注文から、削り直しまで数日の間に、全然関わりのないところから4、5件続けてお問い合わせをいただきました。個人用から業務用まで、サイズもそれぞれですが、樹種についてはお任せのケースがほとんどで、削り直しの場合はヒノキがほとんど。いずれにしてもプラスチックや合成ゴムのまな板が氾濫する中で、木のまな板にこだわっていただくのはありがたい事です。


現在一般家庭に置いてどれぐらいの割合で「木のまな板」が使われているのか分かりませんが、私の周辺では木のまな板率が多く、異業種のイベントなどに出展しても、年齢を問わず広い世代から「材木屋さんだから木のまな板あるんでしょ~」的な問い合わせを多くいただきます。正直こちらとしては、今更木のまな板なんて売れないだろ~と高をくくって持っていくことがほとんどなかったので、その反省から『ホオのカッティングボード』を作った経緯もあるぐらい木のまな板の頻度高いのです。

さて、こちらが1年ぐらい使用したヒノキのまな板。一般家庭のものではありません(事務所のキッチン)。毎日の調理の際に使われていたわけではありませんが、それでもかなりの刃跡、焦げ跡などが見られます。考えてみれば、住宅の外壁も日々紫外線に晒され、雨風や台風、吹雪などにも耐えなければならないという過酷な条件での耐朽性を求められるわけですが、まな板だってほぼ毎日鋭い刃物を己の体で受け止めて、滝行のように冷たい水や熱湯に浴びるという修羅場に耐えているわけです

あまり気持ちが入ってしまうと明日から包丁を持つ手が震えてしまいそうですが・・・さて、そのヒノキのまな板をひと削りしてみると、こんなに美しい木肌が現れました。もともとはこんなに鮮やかなピンク色のヒノキだったのです。このように何度でも削り直すことができることこそが木のまな板の最大の特徴であり醍醐味であります。失われていたヒノキの香りも再再登場。食いしん坊の事務所のスタッフの皆さんの胃袋をこれからも末永く支えてくれることでしょう。更にまな板の話、明日に続く・・・




GE DIGITAL CAMERA   厚みが30㎜の『モザイクボード』の製作を始めた事をご紹介しましたが(以前は厚みが27㎜)、端材の確保にも何とか目途がついたので今後は30㎜にシフトしていくことになりました。とりあえずある程度の在庫をするために、急ぎで製作に入っていますが、工場に投入する前に弊社で行う荒加工の作業もスタッフがすっかり手慣れて、随分と効率よく出来るようになりました。逆に原料が間に合わなくなる事もしばしばで、端材を集めるのに追われる事もあるぐらい・・・。

 

20141022 2このペースが続くと、端材だけでは間に合わなくなるかもしれません。そうなったらそうなったで頭を切り換えていくしかないのですが、当面はまだ何とか端材でいけそうです。その端材ですが、どの木をどれぐらい入れるかという事について、きっちり計算しながら作っているわけではなく、あくまでもその時々の端材状況によるのですが、あまりに偏りが出過ぎても色彩的な面白さがなくなるので、なるべくいろいろな色彩、木柄の異なる木が混じるように全体のバランスは考えています。

 

Exif_JPEG_PICTUREその中でも欠かせないのが赤、黒(濃い茶)、白、黄といったメリハリの強い木なのですが、案外ありそうでなさそうなのが黄色い木。材そのものとしては、ハゼ(黄櫨)ニガキ(苦木)クワ(桑)、キハダ(黄檗)イエローハードウッド、モビンギなどの広葉樹がありますが、うまい具合に適寸の端材があるかどうかが肝心。大きな材を割って使ってしまったのでは本末転倒!あるところにはあるのでしょうが、今までにすっかり使ってしまったので、現在うちには黄色い木の端材が少ないのです。

 

Exif_JPEG_PICTUREしかし黄色の木が入ると、途端にモザイクボードに『やわらかさ』が出てきますので、黄色は大切な要素。製材した直後は鮮やかな黄金色でも、少し時間が経つと色褪せしていく木は多いのですが(チークなども製材直後は驚くほどの金色ですが、悲しいぐらいのスピードで色が変化します)、少しでも『黄色』を持続させれる木を求めて倉庫内を物色中。倉庫の端材が片付く~と喜々としてモザイクボードを作り始めた頃、まさかこれほど端材に振り回される日が来ようとは想像だにしておりませんでした・・・!




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