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本日も『コブシ(辛夷)』の話。銘木屋に行くと、床の間や茶室などの飾り柱や落とし掛けとしてさり気なくコブシが提案されていたのです。ただし残念ながら若かった私はまだ『かけらの洗礼』を受けてなく、スギやヒノキといった今日目の前を駆け抜けていく飯のタネとしての木にしか興味を抱けれない人間でしたので、コブシと聞いても何の感慨もありませんでした。タイムトラベル出来るならばその当時に戻って、自分を覚醒させてやりたいものです。
コブシは大きくなってもせいぜい15m程度にしか成長しないのと量がまとまらない事から、加工して材として利用される事はほとんどありません。私も【森のかけら】で35㎜角に削ってみるまで、コブシの木肌を見たことがありませんでした。材面の色調は淡い灰白色で正直それほど特徴があるわけではありません。時に小物や漆器木地にも利用される事もありますが、コブシとしての利用の多くは皮付きのまま使う床柱や化粧垂木がほとんどでしょう。
コブシの丸太の樹形には雅な趣きと樹皮にはワビサビの風合いがあるため好んで使われます。今まであまり『コブシ』と意識して使ってきたわけではありませんが、茶室や床の間に雰囲気のある木として何度か収めさせていただきましたし、何気に仕入れていました。そのうちの1本が残っていて先の現場でご提案させていただいたのです。改めてコブシとして意識した頃には在庫もなくなっているというのが皮肉なものですが・・・。
どちらにせよそいうい丸太は直径がせいぜい60〜90㎜程度のものなので、【森のかけら】には使えませんでした。直径が100㎜もある丸太であれば『かけら』になるのではとよく勘違いされるのですが、芯は使えませんので、35㎜角のかけらを取るためには木の曲がり具合も考慮するならば最低でも直径180〜200㎜ぐらいは必要になります。かけら用のコブシは、宮城県の材木屋さんから大き目の材を分けていただきました。明日に続く・・・
★今日のかけら・#047【辛夷/コブシ】 モクセイ科モクセイ属・広葉樹・宮城産
先日の『陶工房もちの木』さんの内装に使っていただいた木の紹介の際に少しだけ触れましたが、ニレの踏み台の小壁に使われた『コブシ(辛夷)』の丸太。このコブシという木は、ホオノキやモクレンなどと同じホオノキ科の落葉高木で、成長すると15mほどになります。北海道から九州、そして朝鮮半島にまで広く分布して、花木としても植栽されているのですが、野生のものとなると四国に関しては徳島県内でわずかに自生しているだけだそうです。
四国の山中でコブシに似た木を見つけたら、それはコブシではなく同じモクレン科モクレン属で日本固有種の『タマシバ』の事だという事です。日本海側にはコブシよりも小型で葉の細いこのタムシバが、北日本ではコブシよりはやや葉の大きな変種『キタコブシ』が分布していますが、なるほど辞典を見れば確かにコブシとキタコブシ、タマシバ、それぞれ花の形、似たようなというかそっくり!自慢じゃありませんが私にはその違いが分かりません。
北日本の方には街路樹や公園木としても馴染みの深い木だと思うのですが、私がこのコブシの名前を初めて知ったのは、「白樺 青空 南風 こぶし咲く あの丘 北国の ああ 北国の春 ・・・♪」で始まる千昌夫の名曲『北国の春』。この曲でコブシという木の存在を知りました。ただ当時はコブシの木や花の事などまったく知りませんでしたので、コブシの咲いている風景がどういうものなのかよく分からず、漠然としたイメージでしかありませんでした。
それから10数年後、まさか自分がコブシを扱うような仕事をするとは想像もしていませんでしたが、『陶工房もちの木』さんでも使わせていただいたようにコブシはもっぱら樹皮がついた丸太のままで使われます。コブシ=拳という言葉のイメージからすると何だかズシリと重たい硬質の木のように思われるかもしれませんが、実際のコブシを持ってみれば材としてはかなり軽量の部類に入る方の木です。それでは明日からコブシの性質や名前の由来について。
昨日に続いて『オフセット・クレジット』についての話です。昨日の最後に、この制度はある種の『ふるさと納税』のように考えていると書きましたが、一昨年購入させていただいた久万高原町のオフセット・クレジット分がすべて使い終わりました(弊社の場合シール1枚100g相当に換算して商品に付加しています)ので、今回は私の故郷である西予市野村町から購入させていただく事にしまいた。といっても恥ずかしいぐらいの微々たる量ですが・・・。
まあこういう事は言うよりも実行する事が大切ですので、これを足掛かりに少しずつ買い増していきたいと思っています。ちょうど西予市でその担当をしていたのが、中学・高校の同級生の酒井康次君だったという事もあって、すぐに話が繋がりました。大学から松山に出てきましたのでもう故郷で暮らした年数の倍近くを松山で過ごした事になりますが、生まれ故郷に対する感謝の念は当然あり、わずかながらでも御恩返しはせねばなりません。
日頃から西予市森林組合さんから材を分けていただいている事もあり、来年度には西予市の木を使った商品にこのオフセット・クレジットのシールを貼った商品を制作したいと考えているところです。先日その酒井君と水口君がわざわざ、その購入証を届けに来てくれたのですが、これがまた立派なもので、わずかしか購入してない私としては恐縮するばかり・・・。その素敵な購入証をデザインしたのは宇和町在住の上田球乃さんでした。
また西予市は平成25年に「四国西予ジオパーク」に選ばれました。ジオパークとは、地層構造や地形など大地に関わる自然遺産を主な見どころとする自然の中の公園で、国際的には、世界ジオパークネットワークが世界ジオパークを認定するもので、日本国内では6カ所(四国では室戸が選定)が選定されています。その国内版が日本ジオパークで、今まで25地域でしたが新たに7地域が認定され、その中に愛媛県西予市も選ばれたのです。
東西に長い西予市は、四国カルスト・大野ヶ原から宇和海のリアス式海岸まで多彩な地形が独自の景観を形成し、多彩な自然遺産の宝庫です。平成の大合併で5町が合併して生まれた市ですが、その5町の特産品などを象形文字のようなデザインでジオパークのマークを描いたのは『おとなの部活動』のメンバーである宇和町在住の井上真季さん。何だか恐ろしいまでに繋がります。この連鎖はオフセット(相殺)ではなく相乗させていかねば!!
『オフセット・クレジット』、現在この考え方が一般的にどれぐらい浸透しているのでしょうか。環境省がこの考え方を提唱したのが2008年で、その後オフセット・クレジット(J−VER)は国内クレジット制度と統合され2013年に制度の運用が開始されました。初めてこの話を聞いた時、すぐには理解できずに何度も何度も聞き直しました。説明されている方自身も実感が乏しく何だか雲を掴むような話だった印象がありますが、もうあれから数年。
まだまだ市民権を持っているような実感はないのですが・・・。今さらですがザックリ説明するとオフセット(offset)というのは「相殺」という意味で、経済活動などによって排出したCO2を、植林や森林保護活動などによって固定化あるいは吸収されたCO2で相殺したと考え、トータルでCO2の排出量を減らしたとみなす考え方です。具体的には、山で木を伐採すると木の中に含まれるCO2は固定化されます。それをクレジット化させて売買させるのです。
それを都会の企業が買う事で、その企業は間接的にCO2の排出量を削減させたとみなすというもの。つまり従来の山の仕事が劇的に変わって何かをするというモノではなく、今まで通りの山での仕事(伐採や植林)を数値化して取引しているだけなので、実質的に形のあるものを売買しているわけではありません。世界市場を相手にして日本に経済活動の根幹を担うような大企業ならいざ知らず、町の小さな会社にとってはちょっと縁遠く感じる制度かもしれません。
いまひとつこの考え方が浸透しないのはその分かりにくさにあるのだと思います。町の小さな会社が購入してどうするの?というのが本音だと思います。弊社も微々たる量ですが、昨年久万高原町で購入させていただきました。購入後の利用方法はそれぞれの企業に任されており、弊社では1枚のシールで約100g相当のCO2の排出量を削減したものとみなして『森のしるし』や『誕生木ストラップ』などの商品にそのシールを貼り付けています。
購入者は商品だけでなく、イベントや経済活動で排出されるCO2とオフセットさせることも出来るし、温暖化防止に取り組んでいるという事で企業のイメージアップや、地域貢献・地域活性化も含めたCSR活動に応用することも出来ます。現状はむしろ木に関する企業よりも、異業種の企業の方が沢山かつ有意義に利用されているように感じます。この制度については賛否もありますが、私はある種の『ふるさと納税』のような感覚で考えています。
毎年のことなのですが3月になると年度内予算を消化したりする都合もあるのかもしれませんが、学校などの公共施設から【森のかけら】への注文が増加する傾向があります。どういう事情であれこちらにとってはありがたいことなので、おとなの事情を詮索するつもりはありませんが、想定以上に急に注文が増えるともともと品薄の『かけら』について欠品が発生して大変ご迷惑をお掛けする事になってしまうので、それがとっても心苦しいのです。
先日も東北地方からのご注文が重なったため、品薄だった『秋田杉』に欠品が発生!東北だけに限らず、それぞれ地元の木が含まれているのであればそれはキープしたいのは心情。【森のかけら】は、240種の中から在庫のある100種または36種をセレクトして桐箱に詰めるという商品ですが、『自分で好きな木を選ぶコース』か、こちらにすべての選択を委ねていただく『お任せコース』の2通りがあります。圧倒的に自分で選ぶ方が多いです。
木材関係の仕事をされている方でもなければ、名前を聞いた事も無い木が多いでしょうから、お任せいただく場合もあるのですが、その際でも「これとこれとこれは入れて欲しい」という指定が入る場合があります。特に『ご当地』の木については必ず入れて欲しいという特記が付きます。四国からであれば四国の木、長野であれば長野の木、北海道であれば北海道の木という具合。入荷見込みの無い場合は心を鬼にして諦めていただくしかないのですが・・・
なるべく欠品を解消したいのはやまやまでして、今回も欠品した『秋田杉』も何とかせねばという事でついに禁じ手の封印を解く事に!そう、少し大きめの板の端っこを、気づかれないうちにそっといただくのです。牛のお尻の肉を少しいただいてステーキにするなんて漫画のような話。別に堂々といただければいいのでしょうが、端材を基本原料としているため大きな板からおすそ分けをいただくなんて事はどうしても気が引けるのです。
そんな中で、せめて少しでも本体に負担の少ない手術をすることは命題ですので、なるべく丸味があるものとか傷や割れのあるものを探し出します。不謹慎ながら、そういう時は「どうにかもうこれならおすそ分けをいただいても仕方がない」と諦めのつくような材が現れますようになんて祈ってしまうのです。たまたま丸味付きの秋田杉が出て来てくれましたので、そっとそお〜と、端っこの方を少しだけおすそ分けさせていただきました、感謝!
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