森のかけら | 大五木材


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20110326 天に向かいし毅然と逞しく・・・①先日、長女の小学校の卒業式がありました。お母さんから離れるのが嫌だと泣いて、幼稚園バスにも乗れなかった娘が本当に小学校に行けるのだろうかと心配し、大きなランドセルに吊り下げられるように通い始めた小学1年生。自宅は小学校圏の端っこにあたり、すぐ数百メートル先は隣の校区になるため、毎日結構な距離を歩かねばならないのですが、初めて通った通学路は果てしなく遠く感じたことでしょう。あれからたくさんの事がありました。あっという間の6年間、つくづく時の流れの速さに驚かされます。

 

20110326 天に向かいし毅然と逞しく・・・②田舎の、同級生が15人の小さな小学校で育った私に、町の大きな小学校には当初妙な違和感がありましたが、愛媛木材青年協議会の『どうぞうのいす』活動などで、市内のいろいろな小学校に行くようになると、それも払拭され、今までの暮らしには存在しなかった「小学校」というカテゴリーが、大きな存在感を占めるようになってきました。家内が元小学校教諭という事もあって、PTA活動や本の読み聞かせなどに熱心で、そちらには不真面目だった私も時々足を通わせていただきました。

 

20110326 天に向かいし毅然と逞しく・・・③式典の挨拶では、皆さんが東日本大地震の事に触れられていましたが、卒業式を迎えるはずだった多くの子ども達が亡くなったり、小学校が倒壊し卒業式どころではなくなってしまった事を思うと、子を持つ親としても心が痛みます。と同時に、こうしてたくさんの方に囲まれ無事に卒業式を迎えることの出来る事のありがたさを痛感します。被災地から遠く離れた娘達にも、その事は深く記憶に刻まれていることでしょう。いろろな思いを胸に彼らは学びの舎を巣立っていきます。

 

20110326 天に向かいし毅然と逞しく・・・④遥か昔の懐かしい記憶が私の脳裏をかすめます。あの頃、30数年後にこうして自分の子どもが小学校を卒業する姿など想像することどころか、材木屋という職業に就いているとは夢にも思いませんでした。あの頃たくさんの夢を抱いていました。子ども達の晴れ晴れした姿を見ながら、1曲の歌詞が頭に浮かんでいました。以前リコーのTVCMで流れていた、吉田拓郎さんの名曲を手嶌葵さんがカヴァーした「流星のフレーズ。

 

20110326 天に向かいし毅然と逞しく・・・⑤誰もが必ずしも夢を叶えられるわけではないけれど、決して諦めない気持ちを持っていてほしいです。今、こういう時だからこそ人をいたわり、支えあう気持ちが真摯に伝わるのかもしれません。正面きって真面目に思いを語る事を茶化したり笑いに転化する嫌な時代が続いていました。しかし、この国難を受けて、日本中の空気が何か少し変わってきているような気がします。逆境に立ち向かう時、人はピュアな気持ちになれるのだと思います。潮見小学校の象徴として、数々の子ども達の成長を見守ってきたホソイトスギも、50年ほど前に県内の220校の小中学校に植えられましたが、現在も残っているのはこの1本だけ。酷暑や台風など幾多の厳しい季節を耐え、校舎を追い抜かんがばかりに育ったホソイトスギは何も語りませんが、その姿に人生を重ねて見ている方は多いと思います。真っ直ぐに天を目指すこの木のように、今日の心を忘れず、正直に毅然と逞しく人生を歩んでほしいものです。




20110325 パタゴニアまで何マイル?①先日、ある映画の試写会に行きました。場所は、市内の唯一のアート系の映画館・シネマルナティックさんです。いつも何かと美味しい情報と珈琲をいただいている、ブルーマーブルの藤山さんからお誘いを受けました。どうやら普通の映画試写ではないようなご様子。どういう映画か尋ねてみると、「パタゴニアの映画」という事。パタゴニア?!以前ならば即答で断っていた話ですが、藤山さんに『かけらの新しい扉』を開いてもらって以来、「世界を目指すかけら屋」にお断りする理由は見当たりません。

 

20110325 パタゴニアまで何マイル?②自らが望まないところに運もご縁もやっては来ません。ほんのわずかでも扉に隙間が出来たのならば、後はそこに楔を打ち込んででも強引に隙間を作って、体をねじり込ませなければなりません。躊躇なんてしていたら、運や縁はあっという間に脇をすり抜けてしまいます。このご縁をどういう起点にするか、自分の仕事とどう結びついてくるか。そのためにはまず己を知り、相手を知ることだと思います。【森のかけら】にも中南米~南米産の樹種もたくさんあります。さあ、ローマの次は、パタゴニアだ~!

 

20110325 パタゴニアまで何マイル?③前置きが長くなりましたが、上映されたのは『180°SOUTH/ワンエイティ・サウス』という映画です。まったく予備知識ゼロで観たものですから、アウトドアやクライマーの世界ではかなり有名であろうキーワードにも反応出来ませんでしたが、そっち系にはまったく疎い私なりの感想・・・映画のストーリーは、ひとりのアメリカの青年が、彼にとっての英雄の足跡を追って異国の地を訪ね、彼らがそうしたようにパタゴニアの高峰コルコバト山を目指すという、一種のロードムービーのようなドキュメントフィルムです。その道程を通じて、環境や現代社会の歪みを思い知らされる事になるわけです。

20110325 パタゴニアまで何マイル?④明確な起承転結があるわけではなく、映画は目前の青年とその風景を終始淡々と映し出します。私が学生時代に、こういうロードムービー系の映画が流行りました。それは、主人公が自分が何者かを見つける旅であったり、心の空白を埋める旅であったり、失った誰かを探す旅であったりと、目的はそれぞれですが、いずれも延々と続く大陸のロードのように平坦で淡々とした内容でした。その代表格がヴィム・ヴェンダースの映画『パリ、テキサス』です。しかし自我の確立の無い学生の身には、そのテーマは重く、理解不能でした。40歳を過ぎた今観れば、理解できるというよりも感じる部分はあるかもしれませんが、基本がインドア派の人間なので、やはり今回も主人公のモチベーションは理解出来ませんでした。なぜ彼らはそこを目指すのか?なぜ山を登るのか?現代の科学が、鳥が空を飛ぶ構造を解明したとしても、鳥が空を飛ぼうとする心までは解明できないように、人の心は複雑怪奇なものです。

 

20110325 パタゴニアまで何マイル?⑤自然を愛するクライマーの主人公は、山を登らないことではからずも失われる環境を体現し、語るメッセンジャーとなるわけです。変な政治的なメッセージやイデオロギー性が無い分、素直に受け止められました。ただ青臭く環境破壊反対!などとシュプレヒコールを叫ぶつもりはありません。環境問題はそれぞれの立場で考えなければ決して解決する事はありません。私は私なりの立場で、森の事を考えるばかりですが、観た人それぞれが何らかの触発を受ける映画だと思います。松山での公開は6月からということです。是非ご覧下さい。




20110324 胸騒ぎのクロガネモチ・・・2①いろいろ悩んだ末に、厚み50mmぐらいのタイコ挽にしてもらいました。結構曲がりのある材だったので、どう木取りをすれば一番ロスが少ないかを思案したのですが、1枚でカウンター材というよりは、数枚を幅剥ぎしてテーブルなどを取る事が出来る方に考えました。画像のように桟積みして、これから最低でも1年ぐらいは寝かせるつもりです。乾燥機に入れればもっと早く使えるのですが、名前通りもっちりした質感のこの材が天然乾燥でどう乾いていくかも興味があるのでひたすら待ってみます。

 

20110324 胸騒ぎのクロガネモチ・・・2②その存在を忘れた頃がほぼ使い時、というぐらいの気長な忍耐が必要ですが、「木」としての命を奪ったのですから、「材」として再生させ、付き合う覚悟と責任として、それぐらいの時間は当然の事です。これで40~50年でしたから、高齢木になれば尚更のことでしょう。無理矢理強制的に乾かせてすぐに使おうとするから、木もねじれたり反ったりと暴れます。なにお非科学的な話を、と思われるかもしれませんが、木をただのマテリアルとしてしまったからこそ林業の衰退が始まったのではないでしょうか。

 

20110324 胸騒ぎのクロガネモチ・・・2③木を伐ったり、削ったり、加工する際に多少なりとも畏敬の念や感謝の気持ちも感じないようでは、木目の妙味や木柄の雅趣などを語る資格はないと思います。そこに至るまでの森での生き様に思いをはせ、森の恵みを大切に使うという部分の欠落は、木材業に携わる人間にとって根幹をなす部分だと思うのです。そこから、端材も捨てずに大切に使う、粗末に扱わない、という考え方が生まれてくるのではないかと思うのですが。ですので、クロガネモチの端材もここまでしっかり活用させていただきます!

 

20110324 胸騒ぎのクロガネモチ・・・2④よく、こんなモノ何に使うのか?と尋ねるお方がいらっしゃいますが、それこそが材木屋の本懐!さまざまな経験と知恵と工夫で、どう活かすか考えるのが楽しみであり商売の醍醐味だと思うのですが、それを放棄してどうするつもりなのかと逆に訊きたいぐらいです。アートや飲食、ブライダル、医療など異分野とをつなぐ『森の出口』がつながって以来、その可能性は更に高まっています。クロガネモチは、カネモチ(金持ち)を連想させるところから縁起が良いともされますが、こういう伝承も使えます!

 

20110324 胸騒ぎのクロガネモチ・・・2⑤樹形はモチノキによく似ているのですが、新枝や葉が柄が黒っぽく、葉が乾燥すると黒褐色になるところから黒鉄(鉄の古称であるクロガネ)を連想させ、そこからこの名前がついたとされています。私もこれだけ大きなクロガネモチを使うのはこれが初めてなのですが、こうした新たな材との邂逅にはいつもドキドキして心が騒ぐのです。今まであれだけ臨んで手に入らなかったクロガネモチ、さあこれから長い時間を掛けてたっぷりと骨まで味わい尽くさせていただこうと思っています。その経緯はいずれ忘れた頃に・・・。




20110323 胸騒ぎのクロガネモチ・・・1①善意で分けていただいたクロガネモチですが、出来れば長いままで・・・などど図々しいお願いをして、かなり搬出しにくい傾斜地であったにも関わらず、3mの長さで切り出していただけました!通常クロガネモチというと、庭木の印象が強く、自生のものでこれだけ大きい物が入手できたのは僥倖というほかありません。当然この大きなものは、乾かして大きいなりに活用させていただきます。ちゃっかり、【森のかけら】用の端材もいただきました。それにしても重たかった~!

 

20110323 胸騒ぎのクロガネモチ・・・1②翌日には早速、瀬村製材所さんに持ち込んで製材していただきました。直径は根元で直径500㎜を越えるサイズでしたが、樹齢はおよそ40年~50年。年輪はそれほど密ではなく、すくすくと成長しておりました。枝振りがいい事から公園などでも植栽されるという事でしたが、伐採する瞬間は何か切ない気持ちになります。その思いを忘れないためにも、きっち骨までしゃぶって使わせていただきます!さて、どういう形に製材するか・・・最終的な形(これで何を作るか)を描きながらの悩みどころ、楽しみどころです。

 

20110323 胸騒ぎのクロガネモチ・・・1③娘や息子たちの通う小学校の校庭にもクロガネモチが植えてあります。常緑の広葉樹で、濃い緑の葉には光沢があり、常に緑の葉を蓄えている姿と、赤い実の美しいコントラストも人気の原因だと思われます。また、クロガネモチを含むモチノキ科の木は、その樹皮から「鳥もち」が採れる事が名前の由来となっています。実際に材の小口を触るとしっとりとした粘り気を感じます。樹皮は薄く、老木になったり、伐採後に乾くと気持ちがいいぐらいにツルンと剥げ落ちます。これって、剥ぎ始めたら止まりません!

 

20110323 胸騒ぎのクロガネモチ・・・1④これからどうやって「鳥もち」が精製出来るのかよく分かりませんが、子どもの頃はよく鳥もちを使って鳥を虫を狙ったものです。今では「鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律」によって、鳥もちによる鳥獣の捕獲は禁止されています。今では鳥もちなんてもう製造していないのでしょうか?その捕獲手段の良し悪しは別としても、それぞれの木の特質を生かしたこういう商品を、活かし残す道があれば良いのではいかと思うのですが。明日に続きます・・・。




★今日のかけら・#042 【黒鉄黐/クロガネモチ モチノキ科モチノキ属・広葉樹・愛媛産

20110322 クロガネモチに「チャンス」①森のかけら240】の「日本の120種リスト」に名を連ねていながらも、当初から欠品してた『クロガネモチ』がようやく大量に入手する事が出来ました。「マルカーノ・郁生」こと、サンシン暖炉大成郁生君が、薪ストーブの薪用に伐採した木の中から、一部を分けてくれました。「今日、クロガネモチ伐採しますよ」との知らせを受けて、伐採地の山へ向かいました。既にたくさんのクヌギやカシが伐採され、ストックヤードにうず高く積み上げられていました。その傍らにチェーンソーを手にし防護ゴーグルをつけた2人の男の姿が!

20110322 クロガネモチに「チャンス」②ひとりは勿論、マルカーノ郁生君。そしてもうひとりは、彼の小学・中学校の同級生である『植しん』の桑原朋意さん。『植しん』さんには以前にも剪定した庭木を分けていただきました。桑原さんは、造園や庭木の剪定、伐採、消毒、除草、移植などをされている庭師です。外国風に言えばGardener(ガーデナー。庭師と聞いて私の脳裏に思い浮かぶのは、名優ピーター・セラーズが初老の庭師の姿を、枯れの境地で演た映画『チャンス』(1979)です。

 

20110322 クロガネモチに「チャンス」③稀代の喜劇役者ピーター・セラーズの遺作にして、心温まるハートウォーミングな秀作です。ろくに読み書きも出来ず、ほとんど屋敷から出たこともない住み込みの初老の庭師・チャンスが、ひょんな事から注目され、本人の意思とは関係なく財界でのしあがっていき、遂には大統領候補に・・・?!という内容で、映画のタイトルに冠した主人公の名前に含みがありますが、果たしてそれは彼にとって本当に幸運だったのか?人々はチャンスの庭の手入れ方法を、何かの暗喩だと勝手に解釈していくのですが、彼には他意も野望もありません。庭の手入れ方法だけでなく、何かを極めた人の言葉は、それだけで多くの含蓄があるということでしょう。特に生き物や自然が相手の仕事の場合、人の思い通りにはならない関係性が、人とのコミュニケーションや仕事、人生にも相通じるものがあるのでしょう。逆を返せば、多くのものが数値化したり単純には図式化できない複雑因果な事象が絡み合って成り立っているという事でしょう。

 

20110322 クロガネモチに「チャンス」④さて話が脱線しましたが、マルカーノ・郁生チャンス・朋意の見事なチェーンソー・ワークを撮ろうと思ったら、何とデジカメにメモリーカードを入れ忘れるという失態!その活躍ぶりはご想像下さい。そして遂に大きなクロガネモチをゲット!今までいろいろ探していたのですが全然縁がなかったクロガネモチですが、これで【森のかけら】数年分どころか、テーブルでも作れるぐらいの材が手に入りました。左の画像はあくまでも端材。早速その原木を製材所にて伐採してもらいました。詳しくは明日!




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