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数ヶ月前に担当者の方が取材に来られていたのですが、今月の『日本政策金融公庫』の『調査月報』に、【森のかけら】が掲載されました。『ミジカな資源をチカラに変える』というコーナーです。最初に問い合わせがあった時、「えっ、うちでいいの?」という感覚でしたが、訊けば「中小・零細企業向けの記事」という事で、安心して取材を受けさせていただきました。いつもの事なのですが、取材を受けたというよりは、一方的に数時間勝手に喋ったっていう感じです。よく根気よく聞いていただけたものだと感心するほどでした。拙い話をうまくまとめていただき、実像以上のものに仕上ていただき恐縮ですが、【森のかけら】の存在を知っていただく機会が増えたという事はたいへんありがたい事です。
それまでお取引があったわけでもないのですが、偶然弊社のホームページをご覧になって、『変な材木屋』に興味を持たれたようです。まさか天下の『日本政策金融公庫』さんが目をつけていただくとは思いもしませんでしたが、ホームページ開設以来、いろいろな方と出会う機会が飛躍的に増えました。今更ながらですが、本当にホームページを作ってよかったと思います。
このホームページ誕生にしてから、いろいろな人が関わっていただきました。そもそも、愛媛県の『デザイン活用売れるものづくり支援事業』に申し込んだ事がきっかけですが、そこを起点に【森のかけら】は雪の坂道を転がっていくようなスピードで、大きくなっていきました。いろいろな人や物が磁石の同極のように引っ付きパワーアップしていくのが、楽しくて仕方がありませんでした。県庁の木崎さん、工業技術センターの岡田所長、藤田さん、エスデザインスタジオの佐野さん、パルスデザインの大内さん・・・数え切れない多くの方が【森のかけら】に携わり、ご指導ご協力いただきました。
また、『デザイン活用・・・事業』に申し込むま以前に、【森のかけら】は出来上がっていましたが、それは単に私個人の思いが結実し形になったもので、今思えば個人商店のプライベートな商品だったような気がします。当時は他者の意見を聞かないことが、こだわることだと頑なに信じている部分がありました。また、当時異業種の方とのお付き合いもありませんでしたし、今のような関係が形成できるとは夢にも思いませんでした。
今回の取材でも長時間を要しましたが、【森のかけら】誕生のいきさつは簡単に喋れるものではありません。その意味では、このホームページやブログをご覧いただければ、かなり分かっていただけるのではないかと思います。それまでは、ご来店いただき私の長~い『森のかけら誕生物語』に数時間耳を傾けていただくか、数十枚にわたる分厚い資料を送らせていただくしかありませんでしたので、短時間で多くの方とスムーズにお話が出来るようになった事は、私にとって革命的な出来事でした。
最近ご来店いただく方は、かなりの方がホームページをご覧になっていただいているようで、しごく自然に話の導入部分に立つ事が出来ます。先方も、『そういう人間』だという認識で来て頂けるので、こちらも初めからそういうスタンスでお話ができるので気持ち的にも随分楽です。
ホームページが縁で出会い、出版社の方が紙に印刷していただいた物を読むというのは妙な感じがしますが、パソコンの画面で見る以上に、自分の言葉が紙に印刷されたものを読むのは感慨深いものがあります。今週、木材や住宅とは関係ない雑誌社からの取材をいくつか受けましたが、かつて学生の頃、一度はそういう道を志した者としては、取材を受ける立場になったことが不思議な感覚です。
記事の最後の『取材メモ』でコメントを書かれていましたが、その末文に次の一節を添えていただきました。『売れ残った木材の山を「もったいない」と思えた瞬間から、いくつもの希望のかけらが光りを放ちはじめた。世の中には、明るいところでは見えないものが確かにあるのだ。』
不況の今だからこそ光るものがあり、見直されるものがあると思います。かけら仲間が増えるほどに、森は大きく豊穣になっていくのです。塩谷さん、素敵な出会いをありがとうございました。
★今日のかけら・#031 【ヨーロッパビーチ】 European Beech ブナ科・広葉樹・スウェーデン産

本日は、【ヨーロッパビーチ】の小割りをしています。【ビーチ】というと聞きなれないかもしれませんが、【西洋ブナ】のことです。今弊社に入荷しているのは、スウェーデン産のものです。個体差はあるのでしょうが、日本の【ブナ】に比べると少し重たいです。中には肩に担ぐとズシリと、肩に食い込んでくる重たいものもあります。データでみると、日本のブナは気乾比重0.62でブナの仲間ではもっとも軽く、ヨーロッパビーチは0.72という事のようですが、こういうのはあくまで統計的なもので、実体験としてはもっと差があるように感じます。『材木屋の肩量り』は結構正確ですぞ!
重さのバラつきは乾燥具合によるところも多いと思います。ビーチはどちらかというと乾燥は速やかに出来る木だと思うのですが、しっかり乾燥させたと思っても収縮が出ることが多く、気の抜けない木です。厚みのあるものだと、よく乾いていると思って切断してみると、材の中央部の水抜けが悪く、淡い褐色に変色していたりすることもあります。外部から乾燥が進み、中央部に集まった水分がバランスよく蒸発しなかったのではないかと思います。小口が赤いのは目印として赤く塗っているだけです。

ビーチはしっかり乾燥させれば非常に汎用性の高い木でもあります。有名な『ワイチェアー』の素材としても知られるように、蒸し曲げにはとても強い適性を発揮します。また仕上がると淡い乳白色なので、癖のない色合が人気で、家具のほかにも木製玩具、ろくろ細工や楽器や日用品、樽桶、ブラシなどの柄、化粧単板、そして勿論フローリングなどあらゆるものに対応可能です。その触感がツルツルしていて、レーザー印字との相性も抜群です。
【森のかけら】や【円い森】では、数10種類もの木を加工していて、中には色合いや木目が似ているものもありますが、その中でビーチはかなり分かりやすい樹種です。全体的に小さな淡い胡麻塩模様が現れるからです。ビーチは、日本をはじめヨーロッパ、アメリカ、アジアや北アフリカなど北半球に広く分布している樹種で、産地の名前を冠につけて、『ヨーロッパビーチ』とか『アメリカンビーチ』、『スラブビーチ』などと呼ばれます。多少の違いはあるものの、どれも性質は似ています。見た目には、日本のブナよりは経年変化でやや赤褐色になる程度の違いがあります。また日本のブナよりははるかに通直で大径木が得られます。画像はラフ(荒)材ですので、少しくすんでいますが削ると美白に変身します!
弊社ではよくキャビネットなどの家具の材料として使っていましたが、【森のかけら】を作り始めて以来、この木の汎用性の高さと相性の良さには改めて感心させられます。そう思って周囲を見回すと、ビーチは色々なところで使われています。100円ショップの木製品も白っぽいのはほとんどビーチです。弊社の【木の物屋・森羅】の陳列スペースに並んでいる外国産の玩具もやはりビーチが多かったです。今回も住宅とは関係のないところからのご注文です。ビーチの可能性はまだまだ広がりそうです。
ビーチブック「木の本、本の木」
2011年 7月 13日 水曜日 at 10:54 PM 2. 木のはなし
一昨日のブログで、本棚とビーチとの相性が良いのは、深いドラマがあるのですがそれは明日のお楽しみ!と謳っておきながら、その事をすっかり忘れておりました。如何に勢いだけで書いているかという事の実証です・・・。1日遅れになりましたが、本日こそはその話をさせていただきます。太古の昔、鉄器を手にするようになった人類は木の棒や小片に文字を書いて占いなどをするようになりました。それぞれ地域で、その地に生育する木を使い、占いの内容に合わせてさまざまな木が使われたそうです。
その中には当然、色目が淡白で肌が精な「ビーチ」も使われていました。かつて魔法の文字と見なされ、ゲンルマン民族の間で使われていた「ルーン文字」が、8世紀頃に言葉や文字を形成する「記号としてのアルファベット」に変化しました。占いや礼拝などに使われていた神聖なシンボルは記号と化し、その後多くの民族の間で使われるようになりました。「文字」を意味する英語の「レター/Letters」は、ラテン語の「リッテラ/Littera」から来ていますが、ドイツ語では「ブーフシュターベン/Buchstaben」といいます。それを英訳すると、「ビーチスティック/Beechsticks」となります。訳すると「ビーチの棒」という意味です。その後、文字を記したビーチの薄い板束ねて、大切な知識を保存する巻物のようなものが生まれます。つまり、それが「ブック/Book(本)」になったというのです。
太古の昔より、ブックとビーチには切っても切れない深い関わりがあったのです。ゲルマン民族をはじめとすヨーロッパ人にとって、ビーチは建築や家具としての材を与えてくれる森の恵みとしてだけではなく、知恵や文化を育んでくれる側面もあったのです。またビーチの実は昔から、たんぱく質を豊富に含む貴重な食料としての役割も果たしてきました。海外でそれほど(文化的にも)高い評価を受けてきた木が、日本においては「木で無い」とまで卑下され「橅」という漢字まであてられたブナですが、もしかしたらその裏に隠されたエピソードがあるのではないかと考えております。木に深い造詣と愛情を持って接してきた我らが先人達の見識が、それだけではあまりにも狭いような気がするのです。何か秘められたサイド・ストーリーの影がちらついて仕方が無いのです・・・。
それはさておき、そういう訳ですから「ビーチと本棚」の相性が良くて当たり前!本来のあるべき姿に落ち着いたとも言えるのです。そう考えれば、ビーチ独特の胡麻塩模様がアルファベットのくずし字のようにも見えてきたりして・・・?単純に「材」として人間の暮らしに関わってきた木と、知恵や文化を育んできた木とでは歴史の重みが違う?いえいえ、ほんの少しだけ身が詰まっていて比重が高いだけです。人間の文化が始まるずっとずっと前から、ビーチは姿を変えてはいませんから。これからは、「本棚にはビーチを」!
遅ればせながら今日から、『8月の適材適所』を発送しています。ここ数ヶ月すっかり1月遅れが常習化しており反省しているのですが・・・決して確信犯ではないです!なんとか今月は月内にお届け出来るように仕上るつもりです。手書きの拙文ですが、楽しみにしていただいている奇特な皆さん、今しばしお待ちを!
その『適材適所』の私の欄で(右半分のページ)、アフリカ産のマメ科の木【エコップ・ナガ】を取り上げさせていただきました。紙面に限りがあるので、そこで書ききれなかった補足です。別にネタばれのような内容ではないので、『適材適所』がお手元に届く前にこちらをご覧になっても問題ありません。多少内容はかぶりますが。もともと、このエコップの板は和室の床材(とこざい)の床板や地板用に製材・加工された物で、厚みは35㎜と少々薄いのですが、長さは4000㎜で、広いものは幅が750㎜もあるので、厚みさえ納得してもらえればカウンターにも有用です。
マメ科の木らしく木目がくっきりと際立っていて、上品な雰囲気が漂います。画像の板は無塗装ですが、オイルを塗るとやや濡れ色の濃い茶褐色になります。そもそも高い精度が求められる床の間材用に乾燥させてあるので、このサイズでありながら信じられないくらい乾いています。しかも、ワイドプレーナーで加工してありますので、この後の加工作業はかなり軽減されます。木目も床の間を前提としているので、全体的にもかなり整っています。
上の画像の小口に緑のテープが巻いてあるのは幅350㎜です。このサイズだと住宅のカウンターとしても少し狭いかもしれませんが、4000㎜の長物で反りや狂いがないという事が最大のウリなので、出来れば長さを切らずに長いままで使っていただきたいです。一般的に木目のくっきりした木は、長く木取りするとベタ反りしやすい傾向がありますが、このエコップはねじれもほとんどなく、長いまま使える木です。
これだけのサイズで、材が安定していて即納できるというのは本当に貴重です。耳を擦り落としたストレート・カットですが、厚みが薄い分だけカウンターにも似合います。カウンターとしても有用ですが、ダイニングテーブルとしても使えます。ただしどちらの場合も、長いまま使う場合は、念のため反り防止のアリ桟を入れることをお忘れなく。今この状態では安定していても、現場の状況次第では反ったり割れることもありますので、あまりに過剰に期待するのは禁物です。
「エコップは何故【森のかけら】に入ってないのですか?」という質問を受けましたが、荒材で35㎜しかありませんので、この板からは【森のかけら】は作れません。たまたまこの板はありますが、これ以外のエコップは入手予定がありません。目の前まだリスト未掲載の木が大量にありながら、それから【森のかけら】を作り出せないというのは臍(ほぞ)を噛む重いです。簡単に手に入らないからこそ価値や感動もひとしおなのですが・・・。
あまり聞き慣れない名前でしょうが、『エコップ・ナガ』、材があるだけの供給です。是非この機会に使ってみようと思われる方はお早目にご連絡下さい。価格は、このままの現状渡しで、最小サイズから最大で¥60,000~¥130,000/枚(消費税・送料別)です。
以前ちらっと予告しておりましたが、【森のかけら】シリーズに新商品が加わりました。高さ46㎜、直径55㎜の丸く加工された小さな木のケース、その名も【円き箱】!『まるきはこ』と呼んでください。命名は私がしましたが、『円き』(青い海とか、清き心のような意味合いの円き)+『木箱』(木製の箱)の造語で、【円き箱】です。名は体を現わすと申しますが、この名前で形も用途も分かっていただけるのではと、自分ではかなり満足しております。もともと薬を収納するための『ピルケース』にしようと思い開発したのですが、仕上がりが非常に良かったので、指輪や宝石を収納するジュエリーケースや小物入れとしての用途も検討しています。当然、塗装は植物性油です。樹種によっては触感がザラッとする物もあります。それも木の個性で、いいんではないでしょうか。
約60㎜角程度の塊から削りだして作っています。木製だから機密性が悪いと思われるかもしれませんが、加工の制度が非常に高く、しっかり締めるとぴったり閉まります。全てではありませんが、木目が綺麗に繋がっているものは形もとても美しく、自分でも惚れ惚れします。もっと薄い材料から作る事も出来ますが、この一体感を見てしまうとやはり、塊から削りだすしかありません!
【森のかけら】が35㎜角なので、荒材だと40~45㎜の材料が必要になります。通常、住宅の枠材や家具などに使われる材料は、厚みが25~35㎜が主流です。それをあえて35㎜にしたのは、掌で握ったときの存在感と重さを感じて欲しかったからです。わずか数㎜の差ですが、主流でなない物はどんどん手に入りにくい流通システムになっていて、簡単には手に入らない物もあります。しかし物は考えようで、なかなか手に入らない物を探すというプロセスを経ることによって、産地の事や特性や供給側の事など知ることも出来るわけです。むしろ容易ではないからこそ愛着も湧くということもあります。
それに輪を掛けて【円き箱】は、荒材で60㎜角サイズが必要という事ですから、ますます原料集めのハードルが高くなります。このサイズの端材となると、厚盤の座卓などの天板か、框などの肉厚な物に限られます。そのサイズになると樹種もかなり絞られ偏ってきます。そのためまだ5,6種類しか仕上がっていません。なんとか今月末までには、その倍ぐらいにはなると思うのですが、そこから先は今のところ未定です。まあ、一気に全部揃わない方が楽しみも長いので、いえ、決して言い訳ではなく・・・。
画像には写っていませんが、この中に簡単なミニ解説書が入ります。これ単体というよりは、中に何かを入れてセットで販売をした方がいいと思うので、ジュエリー関係、アクセサリー関係、雑貨ショップ関係の方などご興味のある方是非、ご検討をお願い致します。ちなみに価格は、今のところどれでも¥1,500/個(消費税・送料は別途です)。弊社でも『ある物』を収納しての販売を考えています。それはまた改めて。
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