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先日の新聞で、『ヒマラヤ雪男、正体はヒグマ』というUMAファンには心胆を寒からしめる記事が掲載されました。各種メディアでも取り上げられていましたが、合成写真などの悪意ある捏造と違い、多数の目撃者が存在する未知の生物を、「見間違い」と結論けて報道するということは、かなり珍しい事なのではないでしょうか。それだけ、調査されたデータに信憑性があるという事なのでしょう。「以前からヒマと認識していた」との現地住民のコメントもありましたが、UMAにとっても棲みづらい世界になりました・・・。
研究者の方の『偉業』を讃える一方で、この発表が一体誰のためになるのか、考えてしまいます。もともと原住民が売名目的で、怪物を作り出したわけではなく、1832年にイギリスの登山家が偶然撮影した大きな生物の足跡を、地元住民に確認したところ、目に見えない動物『イエティ』(現地の言葉で「岩場の動物」の意)のものであると言い伝えられていて、それをイギリス隊が論文で発表。さらに現地の証言を基に雪男の想像図を描き、世界は「東洋の神秘・雪男」を熱狂的に受け入れました。
しかし、ヒマラヤの他の地方では昔からイエティをチベットヒグマと認識していたとも言われていて、イギリス探検隊の大いなる「誤解」が作り出した怪物でもあったのです。聞き取りをしたシェルバの民族は、チベットヒグマの存在を知らなかったというのですから無理もありません。まだまだ地球が未開の地を沢山有していた時代、妄想がイメージを膨らまし雪山に棲む謎の生き物を産み落としたのです。しかし浪漫はやがて、他の多くのUMA同様に、資金調達や売名目的に利用される運命を辿ります。
イエティの正体がヒグマだと気付いていた登山家たちもいたようですが、「シェルパ民族の信仰を壊したくない」と公表しなかったとか。その「優しさ」がUMAを近代にまで生きながらえさせてきた大きな要因です。これだけ科学技術と情報が進歩した時代、UMAが生き残るには相応の覚悟が必要になります。研究者の方の目的は謎の解明でしょうが、謎が謎でなくなった時、研究の目的そのものの消失でもあります。謎を生活の糧にする人が沢山いる限り、UMAは地上に存在するのです。
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