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以前にこのブログで、「愛媛のカラマツ」に事について触れたことがありますが、その「愛媛産カラマツ」がこのたび弊社に初入荷。といってもその数はわずかなのですが、それでも私にとっては感慨深い木なのであります。愛媛にもカラマツが知ってから、何とか手に入れられないか市場を巡ったり、相談したりしたものの、そもそも絶対量が少ないうえに、売れる見込みのないような木は山から下りてもきませんし、市場にも並んだりしないものです。木が欲しくば山に行け!が鉄則なのです。
厳密に言えば、山に行くというより、川上で直接山から木を伐り出す人とつながれという事。今回入手したのは、拙ブログに書いた故郷・野村町のカラマツではなく、久万高原町産のものです。原木を手配してくれたのは、いつも久万高原町の広葉樹を世話してくれている成川木材の成川尚司君。彼こそが私にとっての『川上の人』。愛媛の広葉樹があるのなら欲しいとオファーを出していたら、気にかけていてくれて早速手配してくれました。ある程度分布はあるのかもしれませんが、ご縁があるかどうか。
長野のカラマツで無垢のフローリングや木の物語りに開眼した経緯があったので、そのカラマツが地元の愛媛で揃うという事は特別な感情が湧きあがるほど嬉しいことなのです。一般的には、いくら面白い木があってもある程度の供給量が見込めないと相手にされないのが、住宅部材としての木材(銘木という特殊な用途は別として)の評価だと思うのですが、弊社のような小さな小さな世界でものづくりをする会社にとっては、例え原木1本でも充分な供給能力があるという事になるのです。
例えここに並んでいるわずか3枚の板からでも【森のかけら】に換算すれば数百個は作れますし、『誕生木ストラップ』や『森のしるし』とかになれば、さらにその数倍の量が確保できます。板に加工して売れば、買っていただいたその人ひとりの喜びですが、小物を作って沢山配ればそれだけ多くの喜びを提供できたとも考えられます。使えるならば大きなものは大きく使うべきだし、効率だけを求めるわけではなくて、その木が最大に活かせられる『出口』を探せという事なのです。
枝の多い事で知られるカラマツですが、短くカットして製材してもらったこともあり、節の少ない板も取れています。そういうものはなるべく木柄を活かしてそのまま板材として販売させていただくつもりですが、節の沢山あるような部分については、それこそ『森のしるし』や【森のかけら】用に加工する予定です。一般的に市場で流通していない材に対して、愛媛でほとんどなかったルートが徐々に出来上がってきているので、この調子なら『愛媛のかけら・36』が出来る日も近いのでは~!?
掌の中で楽しめる小さな森こと『森のこだま』。本物の卵よりの少し小さなぐらいの大きさ(高さ49mm、楕円形で最大径39~40mm程度、最終工程は手作業による磨き仕上げなので多少の誤差はあります)で、おとなの手だと片手に3,4個は乗せる事が出来るぐらいのサイズです。造り始めた当時は、触感が滑らかで気持ちがいいという程度の判断基準で樹種を選んでいましたが、『誕生木・12の樹の物語』が出来てからは、その12ヶ月の誕生木を中心に製作しています。
この『誕生木』と『こだま』という組み合わせが、生まれ出ずる命の象徴のような感覚で受けいれられ、想定以上の反響があり、実は現在製作が全然間に合っていない状況なのです。ある程度までは機械で削りますが、最終工程が手磨きということもあり、1日でそれほど大量に作れるものでもありません。更に弊社に入荷後、植物性オイルを塗って乾燥させて、最終磨きをしますので、100個単位の注文となると一ヶ月ぐらいかかってしまう事もあります。嬉しい悲鳴なのですが・・・。
自分の誕生月のものを買うという事になると、12ヶ月すべてを同等に揃えておかないとならないのですが、ちょうど生まれたばかりのお子さんの記念にとか、もうすぐ生まれる友人の赤ちゃんへのプレゼントに、という動機付けでお買い求めになる方もいらして、当月を含めた2、3ヶ月前後の誕生月のこだまのご注文が多く、今ですと9、10、11、12月あたりのご注文を多くいただいております。ただしそれらは現在在庫がほとんど無い状態でして納期も少しいただいております。
左の画像はちょうど先日、その中で12月の誕生木である『モミ(樅)』の塗装と仕上げ磨きをしているところです。タオル生地の上にズラッと並んだ「モミのこだま」たちを眺めていると、今まさにここから何かが生まれてくるような感じがして妙に神聖な気分になったりもします。ただしモミは軟らかい木ですので、加工中の小さな生傷が絶えません!軟らかい分、キズの直しも容易ではあるのですが、それも数が多くなってくると結構な時間がかかります。
手のかかる子どもほど可愛いともいいますが、同様に手のかかる『こだま』ほど可愛いもので、手をかければかけるほど愛おしさも増してくるものです。しかし中にはどうにもならないやんちゃ坊主が時々でてくるもので、そういうものは今のところ分けておりますが、『夢のかけら』のようにいずれ別の形で世に出すつもりです。本来の『森のこだま』についても供給能力が乏しく、長らくお待たせするのは大変心苦しいのですが、世の中「待っていただけるうちが花」とも申しまして・・・
昨日の続き・・・メープルやオーク、タモ、チーク、ブラック・ウォールナット、ブラック・チェリーなどの広葉樹が主流となっています。しかし昔に在庫しておいたヒノキのフローリングの一部がわずかながら残っていて、長らく悩みの種となっていました。一部には最終仕上げまで終えてパッケージしたものもあったのですが、ヒノキは仕上げて長期間保存しておくと、材中からじわじわとヤニ(脂)がにじみ出てくることがあります。当然、保管状態にもよるのでしょうが、このヤニがなかなかの曲者!
アピトンのようなザラメ状のヤニとも、ダグラスファー(米松)のようなどろりとした水飴状のヤニでもなく、じわっと浮き上ってくるような独特のヤニです。それでもそれに超仕上げを掛けてやれば(かなりしつこいものでも2、3度通せば)綺麗になります。昔は大工さんもそういうことに精通していましたので、むしろよく乾いているからいいなんて言われたりする人もいたぐらいなのですが、今は完全に仕上がったものを現場に届ける時代。ヤニの出たヒノキは問題外とされてしまいます。
そもそも弊社においてはヒノキのフローリングという需要は細っているので、どうしたものかと思案していましたが、数年前からそれらを削り直してカットして、別のものに御色直しして使っています。木の小物商品の分野にも進出したことがきっかけとなり、木製のオリジナル商品が出来ないかという問い合わせをいただくようになりました。県産材を使って欲しいという要望のある場合は別に対応していますが、地域指定の無い場合にはこのヒノキのフローリングが大変重宝しています。
大きなモノは大きく使え、と昔から教えられてきたこともあり、初めは4mモノの完成したフローリングを短くカットして割り返すことに罪悪感も覚えたり、申し訳ない気持ちにもなったものですが、計算してみればその方が余程高く売れる事も分かりなしたし、いま必要の無い物を大工さんに無理矢理押し売りして迷惑がられるよりも、子供たち向け商品などに生まれ変わって喜ばれることの方がヒノキにとってもよっぽどいいのでは、などと勝手に都合よく解釈して今日も新たな出口に向けて加工中〜!
まだ私が本格的に広葉樹の内装材に目覚める前、今から20数年前のこと。弊社においても、松山という地域においても、内装材の王様として絶対的な力を持って君臨していたのが、『ヒノキ』でした。和室の化粧柱柱などの主要部材から始まり造作材から、床、天井などオールマイティに使える素材として、豊富に流通していました。しかし、まだその当時松山周辺では、専門のヒノキのフローリング工場といったものはなくて、都度加工所に持ち込んで作ってもらうという感覚でした。
なので、県外の市場などに行って加工してあるヒノキの製品を仕入れて在庫しておくという形を取っていました。まだ本格的にプレカットが普及していない頃のことですから、弊社の土場でも大工さんたちが材を刻みに入られていました。その作業の中で、仕入れてきたヒノキのフローリング(当時は、縁甲板と呼んでいましたが)を自ら仕上げされていました。加工してあるといっても荒加工までなので、最後の仕上げ(超仕上げ)は、専用の機械で1枚ずつ仕上げていくのです。
大きい現場になれば数百枚もあるそれらの板を、1枚1枚超仕上げ機に通して仕上げていくのですが、荒々しかったヒノキの表面が赤ちゃんのほっぺたみたいにツルツルになって出て来て、薄い鉋屑がシュルシュルと飛び出してきて、あたりにヒノキの香りが広がるのです。今にして思えば、なんだか随分のんびりしていて「贅沢な時代」だっと思います。それから年月が流れ、弊社においてはこちらから進んでヒノキのフローリングの提案をしたり、在庫に置くという事はほとんどなくなりました。
当時はそれなりにヒノキのフローリングの需要もあり、在庫を仕入れても回転していましたので、無節の4mものなどは私にとっては(今考えてみても)決して安い買い物ではなかったものの、たいしたリスクも感じずに仕入れていました。それが愛媛にもバブル崩壊の影響がジワジワと広がってくると、木材についても低価格化の波が襲いヒノキから現地で加工した輸入材のフローリングに主役の座が取って代わられました。その時期に私自身の『広葉樹への目覚め』もあり弊社に方向転換。明日に続く・・・
弊社の2階では、無垢のフローリングや木製家具などを展示販売しておりますが、隣のスペースでは木のおもちゃなどをはじめ木のクラフト商品を展示販売しています。外観からでは想像も出来ないと思いますので、来られた方のみ知る人ぞ知る世界です。そちらは家内が担当していて、『木のもの屋・森羅(しんら)』という名前で、『木の玉プール』の管理なども行っています。全国の作家さんが作られた数々の商品群の中に、弊社の端材から生まれた変な木のモノたちも紛れ込んでいます。
上の変なものの正体は、【森のかけら】になる夢叶わず、『夢のかけら』にもなれなかった『かけら』から生まれた『クギ人間』です!不本意ながら傷や割れ、虫喰い、欠損、収縮などなどによりA品たる【森のかけら】に含める事が出来ないモノが発生してしまいます。それらを『夢のかけら』として30個セットで廉価で販売させていただいています。B品とはいえ、そこにもそれなりの一線がありまして、B扱いもどうかなというレベルのかけらが時々出来る事があるのです。
しかしその「かけら」だって、モッタイナイの素(もと)から生まれしモノ。そのまま焼却炉へ入れるなどという人でなしのような事は出来ません。ですが商品としては相当に厳しいものがありますので、彼らの活かし方は子供たちの手に委ねる事に。「かけら」に釘を数本打ち付けただけのものですが、それで生まれたのがこの『クギ人間』なのです。他にも目玉をつけたり、マジックで顔を描いた木のロボット(木ボットくん)など、子どもの発想で捨てられる端材に命が蘇りました。
こちらは部屋から外へ出た『クギ人間』。いい感じに日焼けして『エイジングかけら』に変身しました!作ろうと思って作ったものではありませんが、折角一度手に入れたご縁のある木たちですから、第二の命を無駄にさせるなんてモッタイナイことは出来ません。木を伐る、木を商いの道具とする、という事についてはさまざまな意見があろうと思います。私は巡り合った木は骨の髄までしっかり味わい、私の元に来たことが不運ではないことにしたいだけ。だってそんなことしたらモッタイナイ、モッタイナイ!
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