森のかけら | 大五木材


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平成の大合併で全国各地で由緒ある地名が無くなって久しいですが、いまだに何故そんな新名にしてしまったんだろうと疑問に思うことがよくあります。県外に行ってその名前を目にした時に妙な違和感を覚えてしまうのは、まだまだ歴史が浅くて耳慣れしていないという点を考慮したとしても、もうちょっとどうにかならなかったのかと思うものが多い。本来その地にまつわる事象やいわれなどに基づいて名付けられていたもはずのものが、2つの町の名前を組み合わせたような折衷型にされたり、ひらがな表記にしたり、抽象的になりすぎて場所がイメージしづらかったり

この合併後の地名にまつわる話は今更的な話ですが、その名前を何度聞いても何県だったかしら?となかなか記憶できないような地名は観光戦力的にもマイナスではなかろうかと思うのです。市民投票で決めた例も多いようですが、アイドルのなんたら選挙じゃあるまいし、投票して多数決で決めることなんでしょうか。なんだか責任を放棄して、市民に押し付けてしまっているようでそれも疑問に感じます。愛媛に来県された方が、そんな違和感を感じてしまうのではと思っている地名があります。四国中央市、西予市、愛南町

あくまで私の個人的な思いだけなのですが、初めて愛媛に来られた方から、ちょっと戸惑ったとよく聞くのがこの3つの地名。いずれも名前だけ聞くと位置が分りづらいというのと、名前が東西南北、方角だけなので記号化してしまっていて、どういうところなのかイメージしづらいうえに、愛媛県なのかどこなのか記憶に残りづらいというもの。四国中央市は、逆に名前的に振り切りすぎていてある意味で印象には残るのでしょうが、四国の中心都市みたいに誤解される方も多いようです。私はいまだにどうしてのこの名前は馴染めませんが・・・。


私の故郷の野村町も合併して西予市となりました。それまでが愛媛県東宇和郡野村町だったのが、いきなり東から西に変わって当初は違和感しかありませんでした。愛媛は合併前から、東部を東予」、中央部を「中予」、南西部を「南予」と大きく3つの地域に呼び分けていました。合併後はその慣習に従って、東予に対して西予としたのだと思いますが、その南部に位置する地域もその類でいくなら「南予市」という事になるのでしょうが、もともともっと広域に対してその名称が使われていたので苦肉の策で、愛媛の南で「愛南(あいなん)町」となったのだと思います。明日に続く・・・

 




今日のかけら番外篇・E045ウダイカンバ/鵜松明樺】 カバノキ科・カバノキ属・広葉樹

昨日に続いて『カバ』の話です。北海道の市場でカバの木の種類の多さを実感して、その後なるべくそれぞれの木の出所についても訊いて仕入れるようになりました。現在【森のかけら】の追加版も企画しているので、もしかしたカバの仲間も少し増えるかもしれません。その候補の1つともいえるのが、この『ウダイカンバ』。日本固有の木で英語名では、『ジャパニーズレッドバーチ(Japanese Red birth)』。樹皮に特徴があってそこに惹かれて買ったのですが、この不思議な名前の由来もそこにあります。

この樹皮がリング状に剥げて火をつけるとよく燃えて、雨が降っても燃えにくいために鵜飼の時の松明(たいまつ)として利用されていたことが、名前の由来とされています。なので漢字では『鵜松明樺』と書いて『ウダイカンバ』と表わします。明るく火を灯すことから『トモシカンバ』の別名もあります。鵜飼といってもあまり実感が無いかもしれませんが、愛媛では夏の風物詩として親しまれています。愛媛県の大洲市肱川流域で行われる大洲の鵜飼は『日本三大鵜飼』のひとつに数えられるほど有名で、私も3,4度経験したことがあります。

 

その際に松明が使われているかどうか(ましてウダイカンバが)は記憶していませんが、こういうつながりが『森の5かけら』の大切な情報になります。松明にしようと思って仕入れたわけではないのですが、材そのものよりもその特徴的な樹皮が面白そうで、このまま何かのディスプレイや装飾などに使えるのではなかろうかという下心で仕入れてみました。とりあえずは乾燥させないといけないので、桟を積んで並べて乾かせていました。それから数か月が経過。夜中倉庫で残業していると闇に中から聞こえてくる不気味な音・・・

カリカリカリ・・・ええ、その正体は分っています。カミキリムシが樹皮を齧っている音です。仕方ないんです、彼らだって生きていかないといけないんですから。いわばこちらが彼らの終の棲家を奪ってきたんですから。それは諦めているのですが、できれば私の耳に入らないところで齧ってほしい。それならばこちらも見て見ぬふりをして自主退去するまで待たないこともないのです。しかし目の前でカリカリされて、木くずのピラミッドをいくつも建立されてしまっては、さすがに見て見ぬふりはできません。

ウダイカンバの個性的な樹皮を何かに使ってもらえないかと思って、これみよがしに倉庫の事務所の入口近くにも数枚立て掛けていましたが、女性スタッフからそこを通るたびに不気味な音が聞こえますと言われてしまっては、こちらとしてもお咎めなしとスルーするわけにもいかず。カリカリの音の響きからすると、自主退去はまだまだ先のようです。こちらとしても、何かに使えるはずだった樹皮を諦めるので、申し訳ないですが強制撤去していただくことに。こうしてウダイカンバの樹皮は焼却炉の灰となってしまったのです(涙)。

 




今年の春先に岐阜の市場で『ウダイカンバ』の耳突板を少しだけ購入。何に使うというアテがあったわけではないのですが、その名前で買いました。カバについて【森のかけら】では、『シラカバ』と『カバ』の2種類があります。同じカバノキ科の『ミズメザクラ』の項で少し触れましたが、カバってちょっとややこしい木です。そもそもカバというのはカバノキ科カバノキ属の落葉広葉樹の総称で、単にカバという木はなくて、本来はOO カバという風に細かく分けられています。例えばシラカバとかマカバとかウダイカバ、ダケカンバといった具合。

北半球の温帯から亜熱帯にかけて約40種があり、日本国内にはそのうち10数種類が分布しているとされていますが、【森のかけら】では、それらを『シラカバ』と『カバ』の2種類だけに区別しています。ここでもっときちんと分類すれば、一気に【森のかけら】の種類も増えるのですが、なんでそんなザックリした『カバ』なんてくくりにしてわざわざ出口を狭くしているのかと思われるかもしれませんが、そもそも建築業界ではカバに限らず、木に関してそれほど細かな分類を求めていないのです。なので川上側も原木レベルでわざわざ細かく分類して出材しません

カバ科の木については、ザックリと『カバ』として扱われてきました。これはあくまで私の経験ですが、少なくとも愛媛ではそういういう状況で、周囲がそうだったのでそういうものなんだろうと思いこんでいました。たまに久万の山に行くと木工作家さんが、これは『マカバ』だとか『オノオレカンバ』だとかいってカバの木を細かく分類して使い分けられていました。その時はまだ【森のかけら】も作っていませんでしたし、通常の仕事でそういった分類は求められていなかったので、特別にそのことについて深く興味が湧くようなことはありませんでした。

建築で使うような大きさのカバの原木にそれぞれ個別の名前が付けられていたのを初めて見たのは、北海道に行った時です。原木市場にズラリと並んだ丸太にはそれぞれきちんと『苗字と名前』の木札が貼り付けられていました。それが私にはちょっとした衝撃で、今にして思えばそうやって知らず知らずのうちに『多樹種異常溺愛症候群』に発症してしまっていたのかもしれません。もし【森のかけら】を作るのが後2,3年遅れていたら『カバ』はもっと種類が増えていたかもしれません。カバの木の話、明日に続きます・・・

 




少し前に、今年も地元の中学生の職業体験の話を書きましたが、実は今年はその他に2つの中学校からも同様の依頼がありまして、内宮中学校津田中学校から中学生が材木屋に体験学習にやって来ます。いずれの学校とも職業体験を受け入れるのは初めてですが、内宮中学校は会社から数百mの所にあるもっとも近所の中学校。その間がちょうど校区の境なので、うちの子どもたちは数百m先の内宮中ではなく、校区の端っこにあたる数キロ先の鴨川中学校に通いました。遠いと随分と泣きも入りましたがお陰で足腰は鍛えられたみたい。

今回は中学二年の男子ふたり。鴨川中学の生徒はは、うちのこどもたちも卒業生であることや、住んでいるのが同じ校区ということもあってまったく緊張感もありませんでしたが(これは今年に限らず毎年)、内宮中のふたりはかなり緊張していてガチガチ。話を訊いてみたら、ふたりはクラスも違って、話をするのもこの職業体験が初めてという事でした。緊張感あるのも無理はない。鴨中の子たちは、同じクラスの仲の良い友達が来ることが多いのでリラックスしているもの当然なのですが、この緊張感溢れるふたりがとてもまじめに仕事に取り組んでくれて好感が持てました。

今まで沢山の子どもたちがやって来てくれましたが、まだ中学生ですから将来の仕事に対して漠然として思いしかなくて、材木屋になろうなんて思って大五木材を選んで来たのはわが愚息ぐらい。中には軽いイベントぐらいの感覚で来ている子もいますが、今回のふたりはそもそも互いが親しくないことや、材木屋という場所や環境に慣れていないこともあってか、終始無言で仕事に取り組んでいました。それでも最後は緊張感も解けて木の仕事を楽しんでくれてようです。この後数週間後にまた2日間来てくれます。

流通系の材木屋で一体何を体験させているのだと思われているかもしれません。実際に子供たちに訊いても、チェーンソーで木を伐るとか、家を建てると思っていたようだし、確認にやって来られた先生も作業風景を見て初めて大五木材の仕事を理解されます。子どもたちに体験してもらうのは、従来の『材木屋』としての仕事ではなく、『木のもの屋』としての仕事で、体験する子どもたちも戸惑いがあるかもしれません。きっと今の方向に向かっていなかったら、体験してもらう仕事もなかったし、そもそも職場体験をお受けできていなかったと思います。ここまで辿り着くのに随分遠回りしましたが、いま材木屋としてとても心地いい場所にいます

 




愛媛県が、愛媛の魅力的な農林水産物をデータベース化して商品カタログとして発刊している『愛媛のいいモノすごいモノ』は、定期的に内容が更新されていますが、今回の更新にあたって弊社でも内容を一部変更させていただきました。この冊子に掲載しているのは非食品で、そのジャンルも水引、紙製品、和紙、タオル、菊間瓦、民芸品、工芸品、生活雑貨、木製品と多岐にわたっています。県内全域から選出されていますので、この一冊で愛媛のいいモノ、すごいモノをご覧いただけます。ページをめくって眺めると、改めてこういう商品もあるのかと気づかされます。

弊社ではもともとは【森のかけら】を掲載してもらっていたのですが、今度は『モザイクボードで掲載していただきました。最近、広告を出しませんか?というお誘いを受けることが多くなってきましたが、零細材木屋には資金を有償の宣伝に回せるだけの余裕が無いので、お金のかかる宣伝はすべてお断りさせていただいております。ですので、こういう形で自社の商品を宣伝できるのはとてもありがたい。基本的には口コミにまさる宣伝は無いと思っていますが、独りで静かに商品を見たいって方もいらっしゃいますので紙媒体も必要。

これだけネット社会になって、本だって音楽だって現物を買わなくたって配信でいける時代になっても、やっぱり昭和生まれとしましては、次に何があるのか期待しながら紙のページをめくる触感と紙の肌触り、開いたページから匂いたつ鼻をつくようなインクの匂いは愛おしい。本なりレコードなりCDなり、手に触れる現物が無いとどうしても不安になってしまうのです。特に私のように妄想癖の強い人間ですと、触れてその存在を確認できるものがないと、あれもこれもすべて自分の妄想の中の事だったのではないかなんて思ってしまうので。

冊子には、木製品関係で知り合いの方の商品もいくつか掲載されています。愛媛県は林産県でありながら、川下の非建築としての出口が脆弱で他県の林産地に比べても木工品などの商品が非常に少ないのが現状です。出材される素材がスギ・ヒノキの針葉樹がほとんどという背景もありますが、今後もっと多くの人が木に関わってもらって、もっと多くの多様な出口を開拓して、もっと多くの材が世に出て行ければ、地元の人が「愛媛で作られた木のモノ」を目にする、買う、使う機会も増えてくると思います。

 




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