森のかけら | 大五木材


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20110223 在るモノねだり・在庫有用論①ワンズ㈱さんのO様邸ではいろいろな樹種の無垢材を使っていただきました。本日は第三弾ですが、ご紹介するのは和室の地板『ブビンガ』です。これを書くにあたって、そういえば以前にもブビンガの事をご紹介したと思い、遡ってみるとやっぱりそれもワンズさんのM様邸の新築現場でした。これって偶然ではなく、完成見学会などで実物の仕上がり具合をご覧になって、この色合いが良いとか、あの質感が良いという事で、次につながる事が多いためです。

 

20110223 在るモノねだり・在庫有用論②同じ樹種でも、耳のあるなし、使い方によってその雰囲気も随分と変わります。今回は大柄な杢目が大胆に交錯したモノを使わせていただきました。あまりに交錯杢理の激しいものは、インパクトがあり過ぎるので大きなモノにしてしまうと、部屋全体の印象を持っていってしまいがちです。そのためワンズさんでも、空間が独立した玄関にカウンターとして使われたり、あるいはこういう風に小さな部材としてワンポイントに使われるなどの工夫されています。こういうスペースに使っていただくととても効果的です!

 

20110223 在るモノねだり・在庫有用論③幅の広い板目のブビンガがありましたので、1枚の板から地板と框を木取りして作らせていただいたので、留め加工を中心に木柄が揃っています。普通では考えられないような贅沢な使い方ですが、それもこういう材が揃っていたからこその選択であり、わざわざこういう材を探してきた訳ではありません。在庫不要論が叫ばれますが、持てるからこそ出来る事もあります。在る材を知り、有効に活かす事でこそ、材の持ち味を最大限に引き出せる事が出来ると思うのです。

 

20110223 在るモノねだり・在庫有用論④流行や時代変化の速さから、商品が消費者嗜好について行けず、「在庫=悪」の図式が出来ていますが、無垢材の場合は必ずしもその図式が当てはまるわけではないと思います。同じものが大量に生産できる工業商品と違い、無垢材との出会いは一期一会です。差し迫って探したところで、希望のサイズや柄の乾燥してすぐに使える材が見つかるというものでもありません。だからといって何でも仕入れていれば、いずれ経営も成り立たなくなります。突出した営業力があればそれも可能でしょうが、弊社にはそんな営業力も資金力もありません。ひがみ根性ではありませんが、(以前も触れましたが)倉庫に眠らせてしまう「塩漬け」には賛成出来ません(結果としてそうなるのと、それを目的とするのでは大違いです!)。まずは、縁あって手に入った(在庫に在る)モノをよく知る事が大切ではないかと思う次第です。実践せねば!




昨日に続いてワンズ㈱さんのO様邸の無垢材のご紹介です。『ブラック・ウォールナット』が敷き詰められたリビングの中央の鎮座ましますのが、『パドックで作らせていただいた少し小さめの可愛いセンターテーブルです。凹凸のある変形サイズではなく、ふたつのテーブルをずらして並べているだけです。長さが1200X幅が400X高さ400㎜で、お子さんがちょこんと座ってお絵かきや勉強も出来るサイズです。このまま隣の和室の床板敷きのコーナーにも丁度収まります。


今回は内装とのバランスを考えて、あまり杢目が激しくないものをとのご要望でしたので、ご提案させていただいたのがこのパドックでした。通常、パドックというと削ると鮮烈な紅色を放つもの㊧ですが、このパドックは非常に色合いが落ち着いています。鮮やかな紅色も経年変化でアサメラのように茶褐色に退色していくのですが、これは退色してこうなったという訳でもありません。ご縁があって天然乾燥で20年近く経過した材が手に入り、その一部を使いましたが、信じられないくらい色合いが落ち着いています。

人工乾燥機で強制的に急激に乾燥させたものではなく、知らず知らずうちに倉庫の奥で時を経たものなので、こういう風に色合いが経年変化したのかもしれませんが、まぎれもなくパドックです。柾目という事もあるのでしょうが、一般的なパドックとは随分印象が変わります。こちらが塗装前の状態ですが、更に色合いが淡白で、到底パドックとは思えません。この材料は、耳の無いストレートカットの挽き板です。パドックといえば辺材の白身と赤身のコントラストも面白さのひとつですが、こちらはこういう素直な柾目の取れる大径木ですから全身赤身で、耳付板のパドックとはひと味もふた味も違った雰囲気があります。今まで〔パドックで柾目〕、という概念がありませんでしたが、まだこの手の挽き材がかなりあるので、しばらくはシャープな柾目のパドッククをご提供できます。しかし、この在庫が切れたら、柾目のパドックなんてあり得ない贅沢でしょう。


今回製作してもらったのも、ウッドワークかずとよさん。いつもながら要望に完璧に応えていただきました。写真では写しきれなかったのですが、込み栓には、アクセントとして貴重な黒檀を!趣味で家具やクラフトをされる方は増えてきましたが、それを仕事・生業として無垢材を扱える本当の職人さんは多くありません。ウッドワークかずとよさんもその仕事ぶりから引く手あまたでかなりの仕事を抱えられているご様子。この世界でも「偏り」が顕著になってきています。

板目と柾目という風に挽き方を変えるだけで、その木の持つ印象や雰囲気は随分変わってきます。家具などをデザインする際には、すっきりした柾目も使い方次第でとても効果的なのですが、柾目の材を取る為には相応の大きさが必要になります。当然同じサイズでも板目と柾目では価格的に随分な開きが生じます。例え価格的な問題をクリアしたとして注文をいただいたとしても、物理的な問題で柾目挽きは出来ない場合があります。いくらでも金は出すから、幻の魚とも言われる貴重な天然のイトウのルイベをすぐに食べさせろ!と言ったって、イトウが釣れなければ食する事は出来ません。どうしてもイトウが欲しければ、釣りキチ三平と谷地坊主を呼ぶしかないのですっ!突然のマニアックな例えかもしれませんが、自然相手の仕事の場合、お金さえ払えば何でも出来ると思ったら大間違い。人間の思惑通りになんかいかないものです。

そこから自然に対する畏敬や畏怖、感謝などが生まれたのですが、それを強引に人間の都合に合わせてお金の力で何でも解決し、欲望を満たしてきた結果が昨今の拝金主義でしょう。思い通りにならないからこそ、それを追い求めたり、それを追求する姿勢は大切だと思いますが、自然の摂理を捻じ曲げてまでそれを満たそうと思うのはどうかと思います。さて、かなり話が飛躍しましたが、そういう意味でも大変貴重なパドックですので、骨の髄までしっかり使いきらせていただこうと思います。右の埃まみれで薄汚れた板をひと削りするとこんない美しい肌が現われます。柾目挽きの方が、乾燥後の狂いも少ないのですが、その表情の妙味を楽しむ広葉樹の場合は、特別な指定がない限り板目挽きにされるのが普通です。そのため稀に柾目の広葉樹を見ると意外な発見や驚きがあったりするものです。今回のパドックはまさにその典型でした。

 




20110221 チョコレート色の床の上で①先日、ワンズ㈱さんのO様邸の完成見学会にお邪魔しました。いつもは予約制の見学会を実施されるのですが、今回は予約なしの完成見学会ということでたくさんの方がお越しになったようです。私が伺ったのは土曜日の午後でしたが、その間もひっきりなしにお客さんの姿がありました。いつもワンズさんのセンスには目を見張らされますが、特にここ数軒の住宅は個性際立つ家が続いています。今回も良い意味で期待を裏切っていただく見事な出来栄えです!

 

20110221 チョコレート色の床の上で②外観は和風のいぶし瓦に化粧破風、化粧軒天と、和風を意識したイメージですが、一歩玄関をくぐると、その雰囲気はガラリと一変します。外観からは想像できないようなモダンでシックなしつらえです。1階の床には、全面無垢の『ブラック・ウォールナット』のフローリングを使っていただきました。1820X90X15のユニFJで、部分的に辺材の白太も入っていますが、それが無垢のナチュラル感を際立たせています。濃淡の茶色の質感から高級感が漂います。ダイニングテーブルやカウンター、家具などにも好まれる、表情のある個性的な木ですから、フローリングに使っても存在感抜群なのですが、その分天井や壁、調度品との組み合わせにセンスが問われます。そのあたりのバランス感覚はさすがです。こういう感覚は習って身につくものではありません。羨ましい天分の才です。

 

20110221 チョコレート色の床の上で③最近では、このブラック・ウォールナットにもラスティック調といって、もっと色ムラや節、白太を大胆に取り込んだ調子のグレードもありますが、こちらは無節で揃えたものです。どちらが良い悪いというものではなく、家のコンセプトやイメージとどううまく調和するものをセレクトするかという事だと思います。今回はこちらの無節仕様を選ばれました。仕上がり具合を見て、その選択の正しさを再確認させていただきました。ブラック・ウォールナットは、北アメリカ東部産のクルミ科で、重硬いというよりは軽軟な部類に入る樹種だと思いますが、その分足元に伝わる温もりは顕著です。是非素足で歩いていただきたいところです。この木の魅力は、その深みのある色合いだけではなく、肌触りにもあります。かつて銃床にも使われてきましたが、やはり色合いよりもその滑らかで温かみのある触感が好まれたのだと思います。

 

20110221 チョコレート色の床の上で④今までワンズさんではフローリング以外にも、家具や内装などで相当な数のブラック・ウォールナットを使っていただきましたが、どの場面で見ても存在感と風格があります。上品さとワイルドな雰囲気を併せ持つ木は決して多くありません。オーダーメイドのキッチンや建具にも使われていますが、使い方、見せ方ひとつでその印象も大きく変わります。次回はこのチョコレート色の床の上に艶やかな色彩の華を添える家具材や造作材をご紹介させていただきます。




20110220 晴れのひのき舞台と木遣り唄①昨年末からずっと練習を繰り返してきて熟練の職人のようになった(?)木梯子の腕前を披露する晴れ舞台がやってまいりました。まさに『晴れのひのき舞台』であります。本年度の松山市消防団出初式。もしも当日雨で中止になれば、来年まで1年繰り越しという事でしたので、何としても開催していただきたいという選手の切実な思いが結実し無事に開催となりました。舞台は堀の内公園。関係者だけで1700名を越える方々が集まる一大イベントです。消防団に入る前には、こういうイベントがある事も知りませんでした。

20110220 晴れのひのき舞台と木遣り唄②こういう場面で、出場選手への激励に使っていただきたいのがこの【木言葉書】の『晴れのひのき舞台』!当日、団本部には多くの関係各所からお祝いの祝電が届いていたようですが、木の国を標榜する我が愛媛県としては、日本一の生産量を誇る愛媛県産の桧で作った【木言葉書】にお祝いの文章をしたため、慶事の際に他県の皆様へ送られてはいかがかと思ったりもするのですが。是非ご検討をお願いします。さて、10時開式の1時間半以上も前から会場に集結し、次第に足元から寒気が伝わってきます。学校を卒業して以来、こういう体育会系のノリで活動を行うこともありませんでしたので、何やら心地良い緊張感もあります。これが走ったり飛んだりですと、悲しいかな思いに体がついていきませんが、そこまでの体力を必要としない一種の様式美を追求した演技ですので、体力は大丈夫ですが否応にも気持ちは高揚します。

 

20110220 晴れのひのき舞台と木遣り唄③ああ、遠い昔中学や高校でバスケットボールをしていた頃の試合前にこういう気持ちになっていたなあと懐かしんでいる間もなく本番が慌しくスタート。訓練の賜物でしょう、無事に演技終了。さすがに本番中は撮影も出来ませんでしたが、周囲の方からは綺麗に揃っていたよとお褒めの言葉をいただきました。第一方面隊から4組が出場したのですが、地区が違うとなかなか話す機会も薄い方とも親密になることが出来ました。昨日の講義もそうですが、最近は独りでそういう場面に臨むことばかりで、チームプレーからは遠ざかっていましたが、ある目的に向かって皆が体を使って事を成すとうチームワークの連帯感を久々に体現して清々しい気分でした。さて、木梯子の演技の中では『木遣(や)り唄』が披露されました。選手は歌うことはありませんでしたが、文字通り木を遣り渡す(運ぶ)という山での仕事に最中に歌われた作業歌・労働歌が起であり、何となく感慨深い気分になりました。

 

20110220 晴れのひのき舞台と木遣り唄④大木を人力で動かす時の合図や掛け声代わりに唄われたようですが、その後町の火消し達の間でも唄われるようになり、さまざまな機械化と共にその意味合いも変化し、作業歌から慶事などで披露される祝い歌へと姿を変えていったようです。現在の山仕事では『木遣り唄』の代わりにチェーンソーの音が響き渡り、牧歌的な雰囲気はなくなりましたが、さまざまにアレンジされながらも歌い継がれる『木遣り唄』には、巨きなるもの(仕事)・こと(祭事)に臨む際の心構えと心意気のようなものが詰まっています。

 

20110220 晴れのひのき舞台と木遣り唄⑤私が初めて『木遣り唄』を聴いたのは、テレビドラマ『前略、おふくろ様』の中で、室田日出男扮する鳶頭が萩原健一を『木遣り唄保存会』に誘う場面。座敷に座って保存会の皆さんが朗々と唄われる場面を観て、なんで板前さんが『木遣り唄』を唄うのか不思議に思っていたのを思い出します。消防出初式では石橋副団長が見事な『木遣り唄』を披露していただき気持ちも高揚しました。実際にこういう場面で聴くと確かに気持ちも引き締まります。若い頃はこういう伝統的な祭事を続ける事への疑問や違和感もありました。

20110220 晴れのひのき舞台と木遣り唄⑥自分が相応の年齢になって、理屈ではなく実践する立場になると、伝統を継承することの意味を身に持って感じます。受け継いでいくのは様式だけではなく、その準備や練習を通して培われる連帯感や責任感、その意義や思い。そういう事が決して窮屈でもない年齢になってきたのかもしれません。それにしても、わずかな訓練期間ではありましたが、同じ目的に向かう仲間がいるというのは本当に頼もしくありがたいものだと痛感しました。それを感じられるだけでも充分に意義あるイベントでした。




20110219 ふるさとでの森林講座①本日は愛媛県生涯学習センターの平成22年度コミュニティ・カレッジふるさとの森林講座』の講師を務めさせていただきました。毎度の事ながら分不相応ではありますが、お声を掛けていただければ自分自身の勉強と思い可能な限りお受けさせていただいております。このコミュニティ・カレッジは、心の豊かさや教養を高め、実社会において必要な知識や技術を取得していただくために、愛媛県生涯学習センターが主催して開催する講義で、愛媛の文学や風土、歴史、自然科学などいろいろなコースがあります。

20110219 ふるさとでの森林講座②それぞれの分野の専門家の方々が年間スケジュールに基づき教鞭を揮われていらっしゃいます。私が担当させていただく『ふるさとの森林講座』は、年4回(1回約2時間)のコースで、これまでの3回は社団法人・愛媛木材協会織田博総務部長が講師を務められました。聞けば、今回がこのコースの締めというだけではなく、今年度のコミュニティ・カレッジ全体の最後のオオトリの講座になるとの事。だからといって実力以上のものは出ません。だからといって、実力以上のものが出る訳ではありませんので、平常心で臨むばかりです。

20110219 ふるさとでの森林講座③私より、ひと回りもふた回りも先輩の皆さん方が開始時刻の30分以上前からお集まりいただき、最終的には30数名の方が受講していただきました。講義といっても学校の先生のようなお話はできませんので、その道に伝わる木の物語や逸話などに基づいた『木の話』を精一杯させていただくばかりです。お陰で、こうしてお話させていただく機会も増えましたので、少しは事前に「ネタの仕込み」も出来るようになりました。思い起こしてみれば、毎回壇上でどの話をするか、バタバタしていましたが、今回話す順番ぐらいは決めておきました。

20110219 ふるさとでの森林講座④ただしレジュメも原稿も一切作りませんので、あまり進行を作りこみ過ぎるとそれに縛られてしまうので、大まかな流れだけ考えておいて、後はその場の雰囲気でフリートークと決めています。でたとこの勢い勝負なので、いつもながらペース配分が悪く、うまくまとめきれませんでした。私にしてみれば精一杯のパフォーマンスですが、話はあっちこっちに脱線、暴走を繰り返し、生来の早口でさぞお聞き苦しかったとは思いますが、何卒ご容赦下さい。

 

20110219 ふるさとでの森林講座⑤こういう場には、大抵(なぜか)あまり木に興味にない方も参加されていたりして、私語や居眠りも多い中、今回は皆さん自主的に参加されているだけあって私語ひとつもなく、メモを取られるなど皆さんとてもご熱心。ジェネレーション・ギャップもあって、なかなか笑いに転化出来なかったのは心残りではありますが、これも糧とさせていただきます。今までは、物語性の顕著な樹種の幾つか絞っていたのですが、講義時間が2時間近くになると、さすがにいつもの持ちネタだけでは不安があるので、新しい樹種も幾つけ加えました。そこそこスムーズに話が出来るようになるには鍛錬が必要です。鍛錬ばかりで一向に上達はしませんが、外国産樹種のレパートリーも少しずつ増やしていこうと思っています。中には熱心に、私の拙い話を何度もお話を聴いていただく奇特な方もいらっしゃるので、飽きられない工夫もせねば!

 

20110219 ふるさとでの森林講座⑥まだまだ荒削りですが、数回こなせば何とかなりそうな予感。国産材だけでなく、世界中のいろいろな木の事もお話したかったので、少し希望が見えてきました。日本の木ばかりが木ではありません。その伐採、利用等を問題視する以前に、まずは世界の木の事を知るべきではないかと思うのです。木に国境や貴賎はありません。お粗末な内容ではありましたが私なりの精一杯です。受講していただいた皆さん、またこういう機会を与えていただいた関係者の皆様にはこの場を借りてお礼を申し上げます。




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