森のかけら | 大五木材


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20120925 1秋風が吹く頃になると無性に観たくなる映画があり、先日も久し振りにDVDで鑑賞。季節的には夏が舞台なのですが、作品から得られる物悲しい印象が秋に似合うのです。その映画は、1992年にロバート・レッドフォードが監督した秀作『リバー・ランズ・スルー・イット』。1910~1920年代の古き良きアメリカのモンタナ州ミズーラが映画の舞台。原作者であるノーマン・マクリーンの目を通して描かれた家族の物語、それはもうひとつの兄弟版『スタンド・バイ・ミー』でもあります・・・牧師で厳格な父と母、真面目で学業優秀な兄、そして社交的で才能もありながあそれを持て余し気味の弟。そんな家族をつないできたのはモンタナの大自然でのフライフィッシング。何も喋らなくても竿を振るだけで理解しあえた少年時代。やがて時は流れ、兄弟はそれぞれの進路に進む・・・。

 

20120925 2兄は都会の大学講師に、弟は地元の新聞記者になるものの、生来のギャンブル好きが災いしてトラブルが絶えず日々を刹那的に生きている。久し振りに帰省した兄弟はフライフィッシングの竿を握る・・・。折に触れて登場する鱒(マス)釣の風景は、太陽光線が水面に反射して絵画のような美しさ。以前にも触れましたが、私は魚に触るのが苦手で、情けない話ですが子供の頃から、あの魚の鱗のヌメッとした感覚がどうしても馴染めません。そんな私ですら釣りに行きたくさせてくれる映画です。

 

20120925 3彼ら親子にとって釣りはただの遊びではありません。親子が渓流で竿を構える時、言葉はなくとも共有する時間に互いの心に強い絆が生まれます。釣りをキャッチボールに置き換えてみれば、多くの少年が経験した大人の世界への通過儀礼を連想するでしょう。映画の中でフライフィッシングは、あたかもセレモニーのようの静謐で神聖にも見えます。自分もいずれこうやって息子と竿を競ったりする日が来るのだろうか、歳とともに自分の立場も子供から親の視点へと変わっていきました。

 

20120925 4秀才肌の堅物の兄と無鉄砲な弟というアメリカ映画にありがちな兄弟の構図は、えてして弟の視点が描かれる事が多く、成長と共に対立していくパターンが定番ですが、この映画では青年時代に一度殴りあいはするものの以後互いの距離感を保ちながら成長していきます。モンスターが出たり、天変地異が起こるわけでもなく物語りは淡々と進行していきます。川はどんな時も変わらず流れていきます。・・・岩は太古から雨に濡れてきた。岩の下には言葉が隠れている・・・明日に続く。 




20120924  1昨日の続き・・・『森のしるし』も1万5千個ほどの実績も出て、少量での受注にも対応できるノウハウも少しは身についてきました。ネックとなっていた納期についても、データさえ揃っていれば、200~300個の注文でおよそ2週間以内で仕上げられるようになりました(樹種やサイズなどの条件はありますが)。今回はすべての条件がうまく揃ったのでおよそ1週間で納品できました。それで何よりも嬉しかったのは、藤山さんに大切なイベントに間に合い、お役に立てたうえに喜んでいただけたことです。

 

20120924  2必ずしもすべてを思い通りにコントロールできるわけではない自然素材・木を扱っていると、ついついこちらの事情を優先してしまいがちになりますが(材が揃わない、乾燥が間に合わない、量が足りない)、お買い求めいただく人に喜んでいただいてこその商品です。特に廉価で沢山の方の手に届くノベルティグッズを目指した『森のしるし』の場合は、ある程度の柔軟な対応力あってこそ。多少1個単価が上がっても、総額を抑えて短期間に少量の注文に応えたいと思います。

 

20120924  3詳細については個別対応になりますが、ご興味のある方は是非弊社までお問い合わせ下さい。ご結婚のお祝いをさせていただくべきところですが、逆にこちらが商売のタネまでいただくようになってしまい恐縮です。イベントに先立つ数週間前には、2枚の秋田杉の耳付き板のテーブルの隙間を埋めるリメイク工事もさせていただきました。各種イベント会場や情報発信基地として信じられないくらい大勢の人が集まるブルーマーブルでは、お店が人で溢れる事もしばしば!

 

20120924  4結婚報告会のパーティーに参加できなかったのは本当に残念でしたが、週末の愛媛新聞の『途上国支援のフェアトレード』特集でも藤山さんが登場。藤山さんのお店で修行されていて独立された方とのお仕事が舞い込んだり、短期間での私における『フジヤマ度』は尋常ならぬ頻度!何か新しいものが生まれる前兆でしょうか!?勢いのある方と組むのは商売の鉄則、是非本格コラボ商品の開発よろしくお願い致します。僭越ながら夫婦の間にもフェアトレードの精神が肝要かと・・・(笑)。藤山さん、美佳さんどうぞ末永くお幸せに、おめでとうございます!




20120923 1日頃からいつも大変お世話になっているブルーマーブル藤山健さんがこのたびお店で盛大な結婚報告会を挙行されました。私もお誘いいただいていたのですが、子供たちの運動会等々と重なり残念ながら出席させていただくことが出来ませんでした。会の詳しい様子については、参加された方々からご報告もあると思いますのが、私も影からお手伝いをさせていただく事が出来ました。藤山さんが気を遣っていただき、そのイベントの出席者に配られる記念品をご発注いただいたのです。

 

20120923 2お店のロゴをあしらった『ブルーマーブルのしるし』です。「繁栄」の木言葉を持つビーチ(ブナ)に、藤山さんデザインのブルーマーブルのロゴマークをあしらった木製メッセージ・マグネットです。思えば、お店のオープンに際しても『秋田杉』のメインテーブルや栓のカウンターなど納入させていただき、オープニングの際にも『ハリエンジュ』の『円(まる)い森・コースター』をお使いいただきました。それからは『Loopto』や『えひめイズム』、その他多くのイベント等でご一緒させていただき、

 

20120924 3施主と納品業者という関係を超えた深いお付き合いをさせていただいております。カメラの事や映画の事など趣味にも相通ずるものがあり、互いのネットワークもかなりリンクしていて、人の繋がりが広がるほどに藤山さんの存在感が増してくるのを実感させらえます。また、運命としか言えないようなタイミングで出会ったり繋がっていたり、あの人とこの人が藤山さんで繋がっていたりと、お世辞抜きに本当に何かの力で導かれたような思いがしています。人は出会うべきして最良のタイミングで会うものかと。

 

20120924 4さて、それで今回記念品を納めさせていただき、またまた商売のヒントもいただきました。従来のこの商品は大きなイベントや展示会でのノベルティグッズを想定して、1000個単位のオーダーメイドで注文を受けていました(ロゴやデザイン制作費は別途)。そちらの販路もそれで順調なのですが、個人レベルで結婚式やパーティ、小さなイベントなど2~300個単位での注文が可能なら頼みたいという問い合わせも多かったのですが、今までは対応能力も乏しく見合わせていました。




20120922 1世の中には信じられないくらい罰当たりな人間もいるものです。少し前に高知県の取引先の方から、こういう話を聞きました。ある小さな町に何百年も町の歴史を見守ってきた大層立派な御神木があったそうです。数百年経っていたとはいえ、まだまだ青々しい葉をつけていた御神木が、ある日突然樹勢が弱り枯れ始めてしまったのです。すると翌日、見知らぬ顔の男達が町に現れ、その御神木を見て「このまま放っておけばすっかり枯れて腐り二束三文になる。今なら私がOO円で買おう」

 

20120922 2といって足元を見た非常識な値段を提示してくるのだそうです。樹齢数百年の御神木に見合うような価格ではないのだけれど、枯らしてしまいもっと価値が下がる事を恐れて、男の言いなりで売ってしまった・・・という話。犯人が自ら火をつけ消化の先導を切るというあまりにもステレオタイプのマッチポンプ話でしたので、てっきり昔話かと思って「いつの時代の話ですか?」と聞き返したら、つい最近実際にあった実話だというのです!今時そんな芝居がかった詐欺があるとは驚き!しかもその対象が「御神木」とは・・・

20120922 3枯れた御神木をよく調べてみると、木の根元にドリルで開けられたような穴が数個開いていて、そこに除草剤などの劇薬を投入して故意に枯らしたという事のようです。後でやって来た男達が犯人なのか証拠はないようですが、そう何度も使える手口ではないでしょう。顔がばれるし、当然怪しまれますから。しかも原木ですから、原木市場か製材所に持ち込むか、自分のところで製材しなければお金になりません。運ぶのもひと苦労、どこの誰がそんな手の込んだ詐欺を・・・

 

20120922 4話を聞いたのは1ヶ月ぐらい前のことでしたが、ちょっと気になったので調べてみたら、なんと同様の事件が高知で相次いでいました。あまりに罰当たりで言葉もありません。それからしばらくすると愛媛でも同じ手口の事件が起きたとか!枯れたからといって、それが犯人が確実に手に出来るというわけでもないだろうに、どういう意図なのでしょうか。ただの愉快犯?それにしても、彼らが断ち切った代償はあまりに大きい。祟りも畏れぬ不届き者の犯人に告ぐ!天に唾するその愚行、恥ずかしくはないか?!心は痛まぬか?!木が泣いている・・・。




1002699月19日は、わが愛媛の生んだ偉大な俳人・正岡子規の亡くなった日、『糸瓜忌(へちまき)』でした。それとはまったく関係なくたまたまの一致だったのですが、その前日に娘(小5)が「音読聞いてください」と持ってきた国語の教科書には正岡子規の名がありました。短歌を読むという内容の項目で、代表的な短歌として子規の作品が掲載されていました。(私の認識では)決してメジャーなモノではないと思っていたのですが、教科書に載るぐらいですから実はメジャーな歌なんでしょう、認識不足・・・。

 

20120921 2その短歌は、『ビードロのガラス戸すかし向ひ家の棟の薺の花咲ける見ゆ』。体の弱かった子規が病室のベッドから詠んだ歌。解説には・・・その病室から外界を眺めるとき、己の世界をくっきりと際立たせる境界が必要になる。それがガラスなのだろう。「ガラス窓」という一連もあるくらい、子規は執拗にガラスを通した風景を詠んでいる。子規にとってガラスを通して外界をみることも、また一つの「幻視」だったのだろう。直接に見つめる場合とはまた違う世界を、子規はその晩年に見つめていた。

 

20120921 3我々の字宙とはまた違う小宇宙にその濃密な生を送った子規。小宇宙にいて外界を幻視すること、それはとりもなおさず己の精神の核を幻視し続けることでもあったのだろう・・・とありました。34歳の若さで亡くなった子規の歌には、己の末期を悟ったような諦観の刹那さが感じられるものが多い一方で、あっけらかんと目の前で繰り広げられる光景を無邪気に詠んだユニークなものも多々あります。それはまるで光と影のように位置関係。死の不安があるからこそに、今そこにある精一杯の生を五感全てで享受しょうとしたのでしょうか。

 

20120921 4私の好きな句、『のどかさや娘が眠る猫が鳴く』。この時子規は既に脊椎カリエスという病気で苦しい病床にあったそうです。そんな病人の「私」が、思わず床から離れてしまうほどにのどかで天真爛漫な春であったことよ、と詠った歌だそうです。俳句や短歌に詳しいわけではありませんが、道後周辺の配達の際に、子規記念記念博物館に『今月の句』として掲げられる子規の句は、試験の暗記で苦しんだ学生時代に比べると、すーっと心に入ってきます。

 

20120921 5事務所に戻るまで覚えておこうと、何度も言葉を繰り返しているうちに、その情景が思い浮かんできて、文学の世界の浸った気分で独り悦に入っております。深い意味や伏されたテーマは分からずとも、そういう楽しみ方があってもいいのでは。子規の句からは瑞々しいその時々の情景が想起され、食べ物の場合はシズル感まで香り立つようで、私は希代の名コピーライターだったと思うのです。子規が生きていたら、木の魅力をどう詠んだでしょうか。人に伝える事の難しさを痛感する今日この頃です。




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