森のかけら | 大五木材


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20131126 1 .bmpこの数ヶ月、大好きな映画に行けない日々が続いていましたが、このたび堂々と仕事中に映画の話を持ち込めることに!それが、11月9日に全国東宝系映画館で封切される三谷幸喜監督の『清須会議』なのです。歴史好きな方には常識ですが、清須会議とは、天正10年に天下統一を目前に無念の死を遂げた織田信長亡き後の後継者を決めるため、信長の重臣たち一堂が清洲城に集まり議論を交わすという、およそ戦国時代らしくない「合議のいくさ」の事です。

 

20131126 2 .bmp映画は会議前後の5日間が舞台となっています。三谷監督が書かれた小説「清須会議」をベースにしていて、大筋では史実に忠実ではあるものの至る所に三谷節が折り込まれている内容だという事です。三谷ファンの私としては公開が非常に楽しみなのですが、それが弊社の仕事と何の関係があるのかというと、先日紹介した「森のしるし」との家紋つながり。清須会議に参加する重臣たちはそれぞれに家紋があり、それは武将たちのもうひとつの顔。

 

20131126 4 .bmp特に清須会議の主な登場人物たちの家紋は個性的かつ有名なものが多いので、その家紋を見るだけで誰の紋なのか分かるほど。ならばこの歴史的イベントを家紋で表現しようと作ったのが、「森のしるし・清須会議の主役たち」バージョン。織田信長、豊臣秀吉、前田利家、柴田勝家、丹羽長秀、池田恒興、黒田官兵衛、滝川一益、前田玄以、堀 秀政の10人。「森のしるし」を作り始めた頃から、有名な合戦などをそれぞれの家紋を組み合わせる構想はありました。

 

20131126 3 .bmpただ組み合わせて自己満足していても仕方がないと周辺から冷たい視線を浴びる中、捨てる神あれば拾う神あり。ガチャポンなどの産業機械器具卸売業をされている㈱マキシム愛媛牛嶋社長がそのお人。私の妄想に輪をかけたような同方向の感性をお持ちの方で、話がトントン拍子に進み「清須会議」上映の松山市内の映画館のロビーにこの家紋の入ったガチャポンを設置していただくことになりました。さあ、いざ家紋の戦場に出陣ですぞ~!1回¥200、目指せ!コンプリート。




20131025 1 .bmpところで、何でこんなところに場違いなシュロの木が!?と思うことはよくあるのですが、実はこれ野良生えのシュロ、「ノラジュロ」で、鳥たちが運んでたまたまその地で適して生えたものです。現在、増えすぎたシュロによる環境への影響が深刻な問題となっていて、害樹として駆除する動きもあります。しかしこのシュロ、一見するとか細く見えるものの、地中深く張り巡らされた根は撤去するのも容易ではなく、樹皮以上に手強いのです。野良生えの生命力や恐るべし!

 

20131025 2 .bmpそんなノラジュロを沢山のロスを出しながらもどうにかこうにか「かけらサイズ」にまで仕上げたものの、今度はなんと鼠に齧られてしまうという悲劇に見舞われました!かなり乾燥が進んでいたと思っていたのですが、鼠の好む匂いか味があるのか、数ある「かけら」の中でも、「シュロのかけら」だけを選び出して齧っているのです。しかも、外に放置しておいたわけではなく、きちんと棚に並べて収納して、外からは簡単に開けられないような状態であったにも関わらず!

 

20131025 3 .bmpまあ、そういう経緯もあってシュロの製品化は断念したのですが、ノラジュロって至る所にあって案外簡単に伐採したものも手に入るので、もう一度考えてみようかとも・・・。さて、話は戻って伐採した木の事ですが、直径こそそれほどでもなかったものの長さがありましたので、軽トラックで2台満載分いただきました。樹形から類推するにモチノキだという事は分かっていたのですが、今回はその枝や葉っぱまで入手できたので、持ち帰って詳しく葉っぱを調べました。

 

20131025 4 .bmp   その枝や葉っぱが対生で葉脈が透けて見えるという特徴から、『トウネズミモチ』と判断。こういう形で辛抱強く時間と手間をかけて集めていけば、愛媛県内でも多様な樹種が集められます。持ち帰った材は、早速翌日製材して乾燥させるために桟積み。丸太のままで置いておくと、何に使おうか迷っているうちに、割れや虫害にあったり、腐食や青染みが発生し使い物にならなくなります。 今回は、『森のかけら』、『モザイクボード』に狙いを定めてサイズを決定しました。




20131024 1 .bmp町内の道祖神の祠がある所に生えていた数本の木の根元が崩れて、いつ倒壊するか分からない危険な状態にあるという事で、伐採される事になりました。まあまあ大きな木でしたが、伐採後は廃棄するということでしたので、それではあまりにモッタイナイ!お願いして分けていただく事にしました。今まで気にして見た事もなかったのですが、よくみると確かに根元の土がごっそり崩落していて、根っこが半分以上も剥き出しになっていて、今にも道路に倒れてきそうな状態でした。

 

20131024 2 .bmp町内の役員産方がお祓いをして、造園業者の方の手により伐採開始。大小含めて5、6本の木を伐るのですが、その祠のある位置が道路から数メートル上がった高台にあるので、クレーン車で吊り上げながらのかなり大掛かりな作業となりました。その日伐採したのはネズミモチサクラの木。サクラは結構大きい木でしたが、中は案の定深い洞(ウロ)が入っていました。昔ならば建築に適さない木には目にもくれませんでしたが、これはこれで充分に使い道があります。

 

20131024 3 .bmp何より高台から町内を見守ってくれていた木、大切に使わせていただかねば!その隣には「棕櫚(シュロ)」の木もあり、こちらも伐採するのでどうかと勧められたのですが、丁重にお断りさせていただきました。ヤシ科ヤシ属の被子植物シュロですが、これがなかなか手強くて、以前『森のかけら240』のリストを選定する際に、是非シュロも加えようとした事があったのですが、あえなく断念しました。それまで「材」としてのシュロを気にした事がありませんでした。

 

20131024 4 .bmpシュロを割ったらどういう風になっているのかも知らなかったのですが、製材してビックリ!その切り口はこんな感じで年輪は見当たりません。例えるならば、粒々のある山芋をカットしたような断面です。シュロの樹皮は昔からシュロ縄などに利用されるほど強靭なのですが、その樹皮が製材すると鋸に巻きついて大変な事になるのです。何とかうまく製材したとしても、水分をたっぷりと含んでいるため、乾燥過程で大きく変形収縮してしまうのです。この話、明日に続く・・・




10月の誕生木である『クリ』の特徴などについては昨日説明させていただきましたので、本日はその出口商品について。太古の昔より、貴重な食料としても我々のご先祖様のお腹を満たしてきてわけですから、出口商品としても「食」にまつわる身近なものとして考えました。そして出来上がったのが、こちらの『波栗膳(なみくりぜん)』です。これは『名栗』加工ではなく、『鎌倉彫り』風に表面を削り凹凸をつけて、海の中でさざ波が起きているイメージを表現したつもりです。

栗は枕木として使われている印象から、非常に重たいと思われている人も多いようですが、しっかり乾かせば案外軽いものです。この波栗膳は小ぶりなサイズですが、持ってみるとその軽さに驚かれるかもしれません。在庫にある兵庫県産の栗を使いましたので、幅の小さなものは2枚で幅剥ぎにしてから削っているものもあります。仕上げは、鎌倉彫りに習って漆でとも考えたのですが、まずはクリの柔らかい素顔を知ってもらいたかったので植物性オイルのクリアー塗装で仕上げました。

サイズは、長さ300mmx幅200mmx厚み22mmで、デザインは9月の『ホオのカッティングボード』に引き続いてJUNE STUDIOの佐伯勇樹さんにお願いしました。緩やかで大味なところがクリの素朴な味わいだと思ってはいるのですが、表面を削り凹凸による変化を与える事で、地味なクリの木目が一変します。立ち木としてのクリや食用としてのクリは馴染み深いでしょうが、建築資材を含め「材」としてのクリは今では決して身近なものではなくなってしまっています。

大きなクリの木でなければ役に立たないという固定概念からは生まれにくい商品もあります。小さなクリの木でも工夫して使えば、生活の身近なところで充分役に立つということ分かっていただきたいと思います。今回作っているクリは兵庫県で伐採されたものです。名栗技法の発祥の地が兵庫であるという事も何かのご縁でしょうか。愛媛の地にもクリの木は沢山あります。それらは小ささゆえに建築資材として見過ごされてきましたが、今後は小さなクリを生かす出口の1つに出来ればと考えています。

波栗膳(なみくりぜん)・・・¥4、000(消費税・送料別途) ※サイズは1種類のみ 誕生木解説書付き 右写真挿入




後手後手に回ってしまっておりますが、『誕生木』先月だけで終ったわけではありません。試作に手間取り今月もすっかりご紹介が遅れてしまいましたが、この取り組みは今年1年間だけで考えているわけではありませんので、ひと回りもすればきっちり12ヶ月分の誕生木商品が出揃います。まあ、それぐらい気長にお付き合いいただければ・・・。という事で、10月の誕生木は、食べても美味しい秋の味覚『』です。栗は食べるだけではなく、用材としても非常に有用です。

日本人との関わりも深く、青森県の三内丸山遺跡の直径1mものクリの巨木を使った大型掘立柱建物跡が発見され事から、縄文人とクリの深い関係が証明されています。縄文時代といえば、今から4000~5500年も前の事ですから、いかに人間とクリの付き合いが長かったことかお分かりいただけるでしょう。調査研究から、当時から既に食料としてのクリの栽培も行われていてことも分かっており、クリは食と住の両面で縄文人の暮らしを支える重要な存在でした。

「大きなクリの木の下であなたと私~♪」と、童謡でも詠われたように、かつては大きなクリの木があり建築資材、主に土台などとして利用されてきました。派手な木目ではないもの耐久性、耐水性に優れて性質を有しており、コンクリート製に替えられるまでは、鉄道の枕木として欠かせない存在でもありました。虫害や腐食にも強いものの、あくまでも赤味部分の話で、むしろ辺材の白太部分は甘い実をつける木の宿命として虫害に侵される事も少なくありません。

そんなクリの表面を手斧(ちょうな)で波型に削って仕上げる『名栗(ナグリ)』という工法があります。これは、今でもクリの産地として有名な丹波篠山に住んでいた鵜子久兵衛という人が編み出した技法で、クリの木を殴って削る工法との語呂合わせ感覚からこう呼ばれるようになったと言われています。この技法は現在でも和室や茶室、商業店舗などでも使われております。大阪にある橘商店さんは、創業明治43年の名栗専門の老舗で、その技術を連綿と継承されています。

名栗専門店『橘商店さん』詳しくはこちら⇒http://www.naguri.co.jp/

橘商店・橘明夫社長のブログはこちら⇒http://ameblo.jp/naguriya/




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