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クリの木が虫に喰われやすいという事はこのブログでも何度かご紹介してきましたが、現在虫喰いのクリの板は弊社の倉庫にもいくらかあります。昔は、虫穴のある木なんてもってのほか、いかに安かろうとも売れないものを買ってどうするのかとタブー視されたものです。なので、削って虫穴でも出てきたりしたものならガックリしたものですが、今は時に意識的に虫喰いの木を買うことも。1つにはそれらの木を使って【森のかけら】や『森のりんご』などを作る目的があります。
しかしそれは、虫喰いといういわゆる『欠点』部分を否定したもので、虫の喰ってないところで小さな商品を作ろうという試み。材を無駄なく利用という目的ではあるものの、虫喰い部分そのものは使うことなく廃棄するので、結局のところ虫喰い部分に利用価値を見出してはいませんでした。それが現在は、虫喰いそのものも否定することなく、それも『森の履歴書』として寛容な気持ちで受け入れて使おうという事で、あえて虫喰いの材を意識的に仕入れるようにしています。
もちろん適材適所の法則にのっといているので、何でもかんでも虫喰いの木を仕入れているわけではありませんが。それで例えばクリの板ですが、中にはこれぐらびっしりと全身を喰われてしまうものもあります。普通のまともな材木屋であれば、決して仕入れる材ではないでしょうが、この木とて好きで虫に喰われたわけではありません。だからといって決して虫歓迎というわけではないのですが、眼前にある虫喰いの木は『それはそれとして、それも個性なのだと認める』という達観で臨む。
すると不思議なもので、虫穴だって気にしない、虫穴も嫌いじゃない、という方も集まって来られるもの。マニアがマニアを呼ぶように、そういう人の元にはそういう人が集まってくるというのは本当の話。木材ってどんな材であっても絶対褒めれるポイントがいくつかあって、ついつい分かりやすい部分(節が無いとか、杢目が美しいとか)ばかりに目がいきがちですが、こういう材にもそういうポイントが自然と見えてくるようになると、フェチレベルも結構高め。
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