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好奇心旺盛の私は、趣味と実益を兼ねて国内外のさまざまな木を集めておりますが、すこしずつつまみ食いするレベルで、それぞれの木が大量にストックされているわけではありません。例えばひとつの樹種をとってみても、長さ、幅、厚み、耳の有無、節の有無、杢目、木柄、産地、それだけでも無数の組み合わせがあって、全部揃えようなんて考えるなんて狂気の沙汰。またそうなったらそうなったで、すべてを味わい尽くすなんて事もできなくなるので、身の丈に合った在庫で愉しむに限る。
小さな弊社の倉庫の中にもいろいろな広葉樹が所せまいと並べてありますが、同じ樹種は同じスペースで管理したいものの、長さや幅、厚み、そして重さなどの問題から、全部が全部まとめて管理する事は出来ません。なので、枠材とか棚板を全部同じ樹種で揃えるとかなると、台帳を片手に、あれはどこに置いたか、どの木の下に並べたかと、大捜査が始まります。特にあと1枚とかが足りない時って、確かあそこに残っていたはず・・・と記憶を手掛かりに板をめくって担いで奥へ、下へ・・・。
先日も『オニグルミ』が必要になって捜索が始まったのですが、台帳にも記憶の隅にも確かに倉庫のどこかに3mのオニグルミが残っている(た)はずなのに、どうしても見つけられず。かなり雑多に置いているように見えても、大体の見当をつけて置き分けているので、どこに何があるのかおおよそのイメージはあるものの、お客さんが木を見に来られたら必要以上に材を引っ張り出して並べたりして、出す時は勢いもあってかなり重たい気も無理してでも引っ張り出すものの、商談が終わるとトーンダウン。
特に重たい板をもう一度元の場所に担いでいくには、モチベーションが上がらないことが多く、入口付近にそのままにしておいて、またお客さんが来られると同じような事を繰り返すため、木の下に埋没してしまう事態に陥ります。結局その時はオニグルミを見つけることが出来ず・・・。消えてしまう事はないので、使って(売って)しまったのに、記録のつけ忘れたのか、まだ残っていてほしいという欲望が強すぎて、脳内イメージで勝手に在庫にしてしまっていたのかも、脳内在庫。
弊社の倉庫に木を探しに来られて、ご案内させていただく時に強いインパクトを与えることのできる木がいくつかあります。例えば、世界で一番重たい木(リグナムバイタ)や、世界遺産の木(屋久杉)、日本でもっとも重たい木(イスノキ)といった、「世界」や「日本」という知的好奇心をそそられるランキングワードで語られる木などです。一方、決して珍しくはないものの一般の方があまり触れる機会が少ない事から、紹介すると予想以上の反応をしていただける木が幾つかあります。 |
代表的なモノとしては『ニッケイ(肉桂)』。見た目は何の変哲も無い板ですが、その樹皮を剥ぎ取ると、そこからは鼻腔を刺激するシナモンの甘い香りがして、多くの方が驚かれます。そういう風に、見た目的にはインパクトは無くとも、ひと皮剥くと実は・・・的な木は、木の面白さや奥深さを端的に伝えることが出来ることから、私としてはマストアイテムとして欠かせない存在。そういう意味では、この『キハダ(黄蘗)』という木にも、いつもお世話になっております。 |
材の詳しい特徴や名前の由来については、以前に『今日のかけら』で書かせていただきましたので、そちらをご覧いただきたいのですが、一見すると何の特徴も無い薄汚れた木にしか見えないかもしれませんが、そのコルク質の樹皮を強めに剥ぎ取ると、鮮やかすぎる「黄色」が現れます。あまりの鮮やかさと、元の茶褐色の板の差から、「え~っ!?」という反応を得ることの出来る木です。ハゼノキやニガキも黄色い木ですが、それらは材面が黄色いのですが、キハダは内皮部分のみ。 |
昨日に引き続いてブラックチェリーのテーブルの話ですが、このテーブルと椅子以外にも床材も納品させていただいています。今回納めさせていただいたのは、カバ(バーチ)のラスティック・グレードのユニFJフローリング。ラスティック・グレードというのは、赤身や色ムラ、節などを豪快に含んだ野趣溢れたナチュラな風合いの等級のモノです。同じラスティックでもベースが淡黄白色なので、雄々しいナラ(オーク)に比べると荒々しさがやや控えめに感じられると思います。
見る角度とライティングによっては、印象が随分変わりますが、同じグレードのメープルの供給が不安定になって以後、ラスティック・グレードを支えてきてくれている一種です。現在このグレードの弊社の取り扱い樹種としては、ナラ、カバ、アカシア、ブラックウォールナットなどがあります。樹種によっては、抜け節が多くてあまり取り込めなかったり、赤身と辺材との差があり過ぎてうまく商品化出来ない等の事情もあり、すべての木でこういうグレードがあるというわけではありません。
カバのフローリングとブラックチェリーのテーブルに花を添えているのが、飛騨産業さんのブラックウォールナットとナラのスピンドルチェアー。以前は、同じ岐阜県の柏木工さんの椅子1本でしたが、昨年から飛騨産業さんの家具も取り扱わせていただいております。同じ家具でもテーブルと椅子では作りそのものが根本的に違うので、地元で製作を依頼しているのはベンチ程度までで、今のところ椅子については大手の家具メーカーから仕入れさせていただいております。
スピンドルや曲げ細工に関しては、餅は餅屋。専用の設備がなければあまりに手がかかり過ぎて現実的な話にはなりません。数ある飛騨産業さんの椅子アイテムの中でも、ブラックウォールナットとナラの組み合わせが、弊社ではもっとも人気がありますが、私も個人的に大好きです。しかし残念ながらその素材であるブラックウォールナットが、この秋から暴騰していて、最終製品の価格にも転嫁されてきました。もともとブラック・チェリーなどに比べてもそれぞれの節が大きいのと、辺材との差が明瞭で組み合わせが難しく、『歩留まり』が極端に悪いことから、効率も悪いため、材価の値上がりが即商品価格に響いてしまいます。それにも関わらず人気に衰えのないあたりがブラックウォールナットの底力といったところでしょうか。
本日は家具の納品をさせていただくためにワンズさんの南予の新築現場に伺いました。作らせていただいたのは、ブラックチェリーのダイニングテーブル。ブラックチェリーは、ブラックウォールナットと並んで北米産広葉樹の人気を二分する木で、とりわけ女性の方から高い支持を受けています。特徴は日本のヤマザクラと非常によく似ていますが、樹そのものの大きさが圧倒的に違いますので、節や暴れ、ねじれも少なくて3mや4mの長い材でも杢目がシュッと通っていて、優美で上品。
ブラックウォールナットとブラックチェリー、この二大巨頭は不思議とどちらかの流れができると、一方に偏った注文が多くなることが多いのですが、ここ暫くブラックウォールナットの流れが続いていて、久しぶりにブラックチェリーの出番となりました。テーブルこそブラックチェリーですが、4脚揃えさせていただいた飛騨産業さんのスピンドルチェアーはブラックウォールナット+ナラという事で、奇しくもこの場に二大巨頭が揃い踏みという事になりました。
画像を見てもらえば分かるように、全身ほぼ赤身で揃えた赤備えとなっていますが、いくらブラックチェリーといえども当然白太(辺材)もあります。仕上がりは赤身で揃えるという事に重きを置いていますので、テーブルの天板は木表・木裏込々で幅剥ぎしています。それも樹が大きくて節が少なく木目が整っているというブラックチェリーならでは。仕上げは当然のことながら植物性オイル、材の中に眠っていた赤色が濡れ色になり、より濃厚になって現れてきています。
室内照明や反射の影響もありますが、実物は画像よりもやや赤みを帯びた褐色です。一端落ち着くとその後はゆっくりと時間をかけて濃くなっていくのですが、加工直後は光の影響を非常に受けやすい木なので、非常に気を使います。例えばこのようなテーブルに仕上げてもらった後でも、夏の強い日差しだとものの数10分でも直射日光に当たっていれば、その部分だけ濃い褐色になって、日の当たってない部分との差は明瞭。夏に限らず冬場でも、直射日光は非常に危険です。塗装の工程で迂闊にマスキングテープなどでも貼っていたまま、日に当ててしまうと大変な事になるので、取り扱いには細心の注意が必要です。ご購入していただいて日頃使っていく分に関しては、室内の照明ではほとんど影響を受けることはないので心配されることはありません。明日に続く・・・
2013年から始まった愛媛の異業種連携事業『おとなの部活動』もいよいよ最終年度を迎えて、事業総括の時期に来ました。今年は、県外へのアウトプットに重きを置いて、岐阜・京都・新潟などでのイベントを企画していますが、同時に4社によるコラボ商品の開発も進めております。こういうものって、会議室のピリピリした緊張感の中ででうんうん唸りながら、苦痛とともに捻り出してくるものではなくて、笑いの中からひらめきと勢いで生まれてくるものだと思っています。
まあそれが売れるのかどうかは別として、皆の気持ちが一つになるかどうかという事が肝心で、そうでなければ異業種で取り組む意味がありません。前置きが長いと、言い訳のように聞こえてしまう、あるいは期待倒れになってしまうのが怖いのですが、4社の笑い声の中からアイデアが飛び出し瞬時のうちに形となってまとまったのが、スギウラ工房の砥部焼玉と、Sa-Rahの布玉、弊社の丸い木、Yaetcoの柑橘を使ったエッセンシャルオイルから出来たモビール。名前はまだない。
それぞれの企業から持ち寄るネタは決まったものの、組み合わせ方やディティールについてはこれから決めていかねばなりませんが、ほぼ全体像は見えてきました。まったく分野の違う4社でのコラボという事で、そのバランスを取ることが肝心な部分ですが、いいおとなが3年もお付き合いしていれば互いの持ちネタや、引き出しの中身も大体想像がつくので、話がまとまりやすいのと、メンバーが皆異常なほどの負けず嫌いだということもあって、出たお題に対して決してNOとは言いません。
商品化にあたっては、まだ最後のひとひねりが必要となりますが、ただの丸い土の塊や発泡スチロールに布を貼ったのに過ぎないモノに異様に惹かれてしまうのはなぜなんでしょうか・・・。形は同じものでも、色味が違うという要素が、実は【森のかけら】の商品コンセプトと合致するので、本能的に惹かれてしまうのだと思いますが、このコラボ企画が元で、弊社単独でも新商品のアイデアが湧いてきて、それはそれで近いうちに商品化するつもりです。嗚呼、それにしても笑いの絶えぬおとなの部活動♬
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