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弊社で今年もっとも多く家具材として使ったホワイトオークですが、最後の納品にもやはりホワイトオークが絡むことになりました。今年最後に無垢の家具を納品させていただいたのは、㈱ワンズさんが西予市宇和町で施工された現場。イエローバーチのダイニングテーブルとホワイトオークのセンターテーブル2台を収めさせていただきました。1週間前にはこの辺りにも大雪が降って交通渋滞が起こり少し心配していましたが、納品当日は幸いにも天候に恵まれ日和の中での納品となりました。
1階、2階ともに床材にはバーチ(カバ)を使っていただいた事もあり、テーブルの素材を何にするかいろいろと悩まれたようですが、結局ダイニングテーブルも同じバーチでご注文いただきました。床とテーブルを合したいというご要望は少なくありません。フローリングのバーチは、強い濃淡や小節、カスリ、筋などがタップリ含まれたラスティック・グレードです。好みはひとそれぞれでしょうが、個人的には節のないスマートなものよりも、こういう癖の強いやんちゃな木の方が私は好きです。
ただし家具材としてはあまり癖の強い木を使うのは考えものです。もしも使う場合には、それをうまく溶け込ませるためのそれなりのデザインや仕様、部位を慎重に考えなければなりません。また基本的にはご注文に応じて家具を製作するわけですから、作り手側の趣味や嗜好を押し付けるわけにはいきません。今回のようなベーシックなデザインの場合には、あまり癖の強い木を使うのは考えもので、個性を浮き上らせすぎてしまいます。何事もバランスが大切、という事で今回は無節のスマートな素材で製作。
バーチには、イエローバーチやレッドバーチなど色調に合わせて分類されていますが、その中でも濃淡差はあります。同じ白黄系の木でも、メープルに比べるとその差がより顕著です。それが良いか悪いかというのではなく、好みの問題。植物性オイルを塗ると濡れ色になって、その差は更にはっきりしますが、それも経年変化でやがていい具合に馴染んでいくので、数年も経つとほとんど大差がなくなります。そのダイニングテーブルと別に作らせていただいたセンターテーブルの話については明日・・・
今年は年も押し迫った最後の最後まで忙しく家具の仕事をさせていただきました。弊社はあくまでも材木屋であって、家具屋というわけではありませんが、木の素材を選びながら作れる家具としてお声をかけていただけるのはありがたい事です。ひと口に家具材といっても、国内外合わせるとその素材となる樹種は多岐にわたります。そもそもこれは建築用材、これは家具用材という明確な線引きがあって分礼されているわけではありませんので、作るべき家具への適性が備わっていれば問題ないと考えています。
非常に重硬で割裂しやすいとか、ねじれたり暴れやすいという『クヌギ』のような木は難しいものの(それでも最近はその暴れん坊のクヌギを使った家具作りへの取り組みが九州でなされているそうで、ひとの情熱恐るべし!一方でそうせざるをえないほどにクヌギの成長力が旺盛だという事もありますが)、脚や棚など荷重を受ける部材さえ注意すればどんな材もそれなりに使えると思いますし今までにも使ってきました。クヌギについても何らかの形での『出口』を検討しているところです。
そのように沢山の種類があって、ひとの好みも千差万別とはいいながらも、年間を通して統計をとってみれば、一番多く家具材に使った木、使われた木のランキングの上位は、毎年ほぼ同じ面子になります。これはあくまでも弊社における統計ですから一般的な家具屋のそれとは随分違うと重いますが、それを踏まえてうえでランキング上位を発表すると、1位がホワイトオーク、2位がブラック・ウォールナット、3位がブラック・チェリー。多少変動はあれ、毎年ほぼこの3種が上位を占めます。
その後に、イエローバーチ、レッドオーク、ハードメープルなどの北米広葉樹、ヤマザクラ、オニグルミ、ケヤキ、トチ、クリ、クスノキなどの国産広葉樹、ブビンガなどのアフリカ産広葉樹と続くわけで、ほぼ9割が硬質広葉樹。これは使用量のランキングなので、金額ベースとなると圧倒的にブラック・ウォールナットが独走の1位です。年明けからは円安の影響で輸入材一斉値上げのオファーがきていて、かなり影響を受けそうですが・・・では明日は今年もたっぷり使わせてもらったホワイトオークの家具について。
これは、少し前にある方から依頼を受けて作ったブラック・チェリーのドミノです。サイズはあくまでもご依頼のサイズに合わせたので、本来のドミノよりも少々小ぶりです。カットしただけで塗装もしていないので、色が淡白で従来のブラック・チェリーの赤身が見受けられませんが、オイル塗装すれば本来の深みのある美しい赤身が現れます。今回は無塗装での納品でしたが、それでもこの小さなドミノからでも本物の木の味わいというものは感じていただけたようで、依頼主にはこちらの想定以上にとても喜んでいただけました。
日々、木に囲まれた環境で木に携わる仕事をしていると、どうしても木に対する感覚(または感情)が麻痺してしまい、とりわけスギやヒノキなどの汎用性のある材や、ブラック・チェリーやブラック・ウォールナットなどの高額な材でも接する事が多い木については、ついついその価値が材積と比重すると勘違いしてしまいそうになることがあります。つまり端材には端材程度の価値しかないと「諦めてしまう」という、モッタイナイ教の本質に背く悪しき思想!
この端材にはこれだけの価値しかないと、決めつけてしまった瞬間に端材の命運は決まるのです。誰かが言いました、『そこに使えない端材があるのではない。使えない脳みそがあるだけだ!』端材を、ゴミにするのも宝にするのも己次第。その事はいつも肝に命じているつもりでいたものの、あまりに小さなサイズについては、昔加工中に指先を僅かですが切断した事がトラウマとなって、「使えない端材」と分類していた自分がいまいた。このドミノの原材料もまさにそうやって「使えない烙印」を押してしまっていた端材。
だからといって決して燃やしたりはせずに、いずれアイデアが浮かべば使おうとまとめて保管はしておくのですが、結局「使えない端材」とインプットしてしまうと、どこにどれぐらい置いていたかも忘れてしまい、その存在が無かった事と一緒になってしまうのです。今回はそんなサイズの端材を使ってドミノを作ってみたのですが、予想以上に反響があって、材の木取りにも柔軟性があり、かつボリュームも見込めそうな事から、今後いろいろな樹種での商品化に取り組んでみようかと考えています。世の中、捨てる神あれば拾う神あり・・・。
12月14日に開催した『第4回青空市』のひとコマ。弊社の土場で不定期に開催しているもので、家内のネットワークの雑貨屋さんや木工屋さん、飲食店関係のアマ・プロの方々が集まってのイベントです。それほど広範囲に告知もしていなかったのですが、口コミで沢山の方が集まっていただきました。大五木材・女子部主導のイベントなので、私はもっぱらお手伝いですが、取引先の工務店で建築中の施主さんもご来店。
お施主さんと具体的に木の事について時間やかかってくる電話を気にせずゆっくり膝詰めで話す機会も少ないので、倉庫の中も案内させていただき、床材や装飾材、家具材などの事についてもお話させていただきました。そういう意味でこういう機会はありがたい反面、お相手できるのは私ひとりなのでどうしても時間が重なってしまい、しばらくお待ちいただく事もあります。時間制にでもすればいいのかもしれませんが、こちらが対応できる時間にも限りがあるのでなかなか悩ましいところ。
それでも熱心に木の話を聞いていただき、実物の確認などもしていただけたので、こちらも安堵しました。以前に比べると、木の好きな施主さんとの間を取り持っていただく設計士さんや工務店さんも随分慣れて来られたので、私が直接施主さんにご説明しなくともスムーズに話が進む場面も増えてきて、楽な反面やっぱりそればかりでは物足りないというか、寂しさもありまして時にはお話もさせていただきたい。
さてイベントの方は、天気に恵まれたこともあって、屋外に設置した木の玉プールにもひとが溢れ、我が家の座敷では、おはなし屋のえっちゃんが子どもたちに絵本を読んでくれるコーナーもあって、狭い座敷はひとで埋め尽くされるなど、子どもたちの姿で溢れておりました。座敷に掲げた遺影の両親も、どういう思いでこの光景を眺めたことか。まさか材木屋でこういうイベントが行われ、幼児や子どもたちで溢れようとは・・・父よ母よ、あなたの息子は試行錯誤しながらも前へ前へと進んでおります。
紹介するのがすっかり遅くなってしまいましたが、先月お洒落なアパレルショップ『HUG』さんの外内装にふんだんに木材を使っていただきました。手掛けたのは、店舗&家具専門の『K′craft 』川上陽介君(有限会社 すずかけ商会 代表取締役)。以前に、自社のカフェショップを施工した様子をこのブログでも紹介させていただきましたが、今回は千舟町の人気のアパレルショップ。建築中は何度となく足を運んで木材を納品させていただいたものの、シートが掛かっていたり養生していたので、完成後改めてお邪魔しました。
レディス、メンズのアメリカンカジュアルな洋服を扱う店なので、客として行ってもらえればとも誘ってもらったものの、私にはどうにもご縁がななさそうなので撮影班として伺いました。飲食店の場合は、甘いもの系(ケーキ屋さんとかでも)でもとりあえず一度はお邪魔するものの、洋服に関しては(特に弊社とご縁のある店が若者向けの店という事もあって)なかなか気軽には足が向かず、今回のように記録用の写真を残すこともままなりません。
ウッディでカジュアルな雰囲気という事で、木をダイナミックにタップリと使っていただきました。仕上げをホワイトで着色しているので分かりづらいかもしれませんが、壁面内装に使われているのは、愛媛県産のスギ板。愛媛県産材の指定とか別にあったわけではないのですが、こういう場合もっとも汎用性が高いのが、地元ですぐに大量に安価で入手出来るスギという事になるのです。真っ白に仕上がったお陰で、スギ本来の和風テイストは影を潜めて、すっかりカントリー風な空間に!
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